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  • 平成28年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第3 総務省|
  • 平成27年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

国有提供施設等所在市町村助成交付金の交付額算定のための報告について


平成27年度決算検査報告参照

1 本院が要求した改善の処置

総務省は、国有財産法(昭和23年法律第73号)に規定する国有財産のうち、在日合衆国軍隊の用に供するためアメリカ合衆国に使用させている土地、建物及び工作物(以下「提供国有財産」という。)並びに自衛隊が使用する飛行場等の用に供する土地、建物及び工作物(以下、これらを合わせて「算定対象国有財産」という。)が所在する市町村(特別区にあっては東京都)に対して、国有提供施設等所在市町村助成交付金(以下「市町村助成交付金」という。)を交付している。都道府県知事は、毎年度、管内市町村の区域内に当該年の3月31日現在において所在する算定対象国有財産の価格の合算額を総務大臣に報告しなければならないこととなっている。総務省は、この報告に当たり、都道府県に対して、国有提供施設等報告書(以下「報告書」という。)等を作成させていて、報告書等に基づき市町村助成交付金の交付額の算定を行っている。報告書等に計上される提供国有財産は新たな提供又は返還があれば異動が生ずることになることから、都道府県は、毎年度、在日合衆国軍隊の用に供するために新築した建物等で当該年の3月31日現在において提供されていない国有財産(以下「未提供国有財産」という。)、未提供国有財産であったものが実際に在日合衆国軍隊の用に供するために新たに提供された国有財産(以下「新規提供国有財産」という。)及び在日合衆国軍隊の用に供する必要がなくなり返還された国有財産(以下「返還国有財産」という。)を正確に把握しなければならないことになる。「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定」(昭和35年条約第7号)に基づく施設及び区域の提供、返還等に関する協定が締結された場合においては、防衛省は、関係各省各庁に防衛事務次官名による通知(以下「防衛省通知」という。)を行うこととなっており、防衛省通知は、当該施設及び区域が所在する市町村が存する都道府県知事にも通知されている。しかし、3都県において、提供国有財産に異動があるかを正確に把握しないまま、未提供国有財産及び返還国有財産を算定対象国有財産に含めて報告書等が作成されているのに、総務省において、これらの報告を基に市町村助成交付金の交付額を算定している事態が見受けられた。

したがって、総務省において、都道府県に対して、報告書等に未提供国有財産及び返還国有財産を計上しないこととする取扱いを明示するとともに、新規提供国有財産及び返還国有財産について防衛省通知に記載されている情報を用いて的確に把握して報告書等を作成することを周知するよう、総務大臣に対して平成28年10月に、会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求した。

2 当局が講じた処置

本院は、総務本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、総務省は、本院指摘の趣旨に沿い、29年4月に都道府県に対して事務連絡を発して、報告書等に未提供国有財産及び返還国有財産を計上しないこととする取扱いを明示するとともに、新規提供国有財産及び返還国有財産について防衛省通知に記載されている情報を用いて的確に把握して報告書等を作成することを周知する処置を講じていた。