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  • 平成29年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第1 内閣府(内閣府本府)|
  • 平成28年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

子ども・子育て支援全国総合システムの運用状況について


平成28年度決算検査報告参照

1 本院が表示した意見

内閣府は、市町村(特別区を含む。以下同じ。)、都道府県及び国の間で子ども・子育て支援新制度(以下「新制度」という。)の施行状況に関する情報の共有等を行う子ども・子育て支援全国総合システム(以下「総合システム」という。)を構築している。内閣府は、総合システム構築の目的について、①新制度の実施に関する各種の情報を収集して分析することにより、新制度の更なる充実等に活用するとともに、これらの情報の公表により国民に対する説明責任を果たすこと、②都道府県等から認可等を受けた保育所等で市町村から財政支援の対象となることの確認を受けた施設(以下「確認施設」という。)に関する最新の情報を収集するとともに都道府県において出力できるようにして、保護者に対して確認施設の選択に資する最新の情報をいち早く公表できるようにすること、③財政支援のうち国の負担金の市町村等における交付申請等に関する事務を支援し、当該事務を効率的に行えるようにすることなどであるとしている。しかし、総合システムに登録情報の全てを登録している市区町は一部に限られており、内閣府において登録された情報を分析するなどして新制度の更なる充実等に活用することなどが困難となっていたり、総合システムの入力、出力方式等が市区町等における業務の実態等を踏まえたものとなっておらず、市町村等における交付申請等に関する事務を効率的に行えるようになっていなかったり、総合システムに登録された情報を活用した情報の公表が十分に行われておらず、また、総合システムから出力される電子データ等が保護者の確認施設の選択に資するものとはなっていなかったりするなど、総合システムの構築の目的が十分に達成されていない状況となっている事態が見受けられた。

したがって、内閣総理大臣に対して平成29年10月に、会計検査院法第36条の規定により次のとおり意見を表示した。

  • ア 総合システムに収集する情報により、新制度の更なる充実等の検討に向けた分析等をどのように行うか、国民に対する説明責任等を果たすためにどのような公表を行うか、それらのために必要な登録情報をどのような範囲のものとするかなどという点について具体的に検討すること
  • イ アを踏まえて、市町村等における業務の実態等や総合システムの運用状況を的確に把握したり、登録が進まない要因を分析したりするなどして、市町村等における交付申請等に関する業務の効率化や一層効果的な子育て支援等の実施が図られるよう、また、都道府県における確認施設に関する情報の公表が保護者の確認施設の選択に資するものとなるよう、登録情報の範囲、総合システムへの入力、出力方式等、総合システムの運用等について見直しなどを行うこと

2 当局の処置状況

本院は、内閣府本府において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、内閣府は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。

ア 29年11月から30年6月にかけて新制度の更なる充実等の検討に向けた分析等、国民に対する説明責任等を果たすための公表及びそれらのために必要な登録情報の範囲について検討して、新制度の更なる充実等の検討に向けた分析等については既存の調査等により情報を収集して実施することとし、国民に対する説明責任等を果たすための公表については独立行政法人福祉医療機構が運営しているシステムにより行うこととし、同システムに確認施設の設置者等が施設の基本情報を入力して都道府県等が確認等した上で、インターネット上で公表することとした。そして、総合システムに登録する情報については、市町村等における交付申請等に関する業務の効率化に必要な項目及び業務管理に必要な項目に限ることとした。

イ アの検討と併せて、29年12月から30年3月にかけて市町村に対するアンケート調査、都道府県等に対する聞き取り調査及び市町村等における交付申請等の業務の実態等に関する調査研究を行い、市町村等における業務の実態等や総合システムの運用状況を把握したり、登録が進まない要因を分析したりした。

一方、内閣府は、登録情報の具体的な範囲、総合システムへの入力、出力方式等、総合システムの運用等については、総合システムの更新等に合わせて、引き続き見直しなどを行っていくこととしている。