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  • 平成30年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第2 内閣府(内閣府本府)|
  • 不当事項|
  • 補助金|
  • (2) 補助対象事業費を過大に精算するなどしていたもの

企業主導型保育事業における企業主導型保育施設の整備費を過大に精算するなどしていたもの[内閣府本府](8)


(1件 不当と認める国庫補助金 28,279,000円)

企業主導型保育事業は、子ども・子育て支援法(平成24年法律第65号)に基づき、多様な就労形態に対応する保育サービスの拡大を行い、保育所等の待機児童の解消を図り、仕事と子育てとの両立に資することを目的として平成28年度に創設されたものであり、「平成28年度企業主導型保育事業等の実施について」(平成28年府子本第305号、雇児発0502第1号)等(以下「実施要綱」という。)に基づき、厚生年金保険法(昭和29年法律第115号)第82条第1項に規定する事業主等(以下「一般事業主」という。)に雇用されている従業員等が監護する乳児又は幼児の保育を、一般事業主が整備する企業主導型保育施設等において行うものである。

内閣府本府は、「平成28年度企業主導型保育事業費補助金の国庫補助について」(平成28年府子本第442号)等に基づき、補助事業者に対して企業主導型保育事業費補助金(以下「補助金」という。)を交付することとしており、28、29両年度は公募により選定した公益財団法人児童育成協会(以下「協会」という。)を補助事業者として補助金を交付している。

そして、協会は、実施要綱に基づき、補助金を原資として企業主導型保育事業を実施する一般事業主等(以下「事業主体」という。)に対して、企業主導型保育施設の整備に要する費用(以下「整備費」という。)等の助成を行っている(以下、協会が整備費の助成のために事業主体に対して交付する助成金を「助成金」という。)。

 「平成28年度企業主導型保育事業助成要領」(平成28年5月公益財団法人児童育成協会制定)等によれば、事業主体は、企業主導型保育施設の整備完了後に事業完了報告書等を協会に提出し、協会は、同報告書等を審査することなどとされている。また、助成金の交付額は、①工事の種目ごとに定められた基準額を合計した額を算出し、②助成対象となる経費の実支出額と、総事業費から残存物件の処分による収入等を控除した額とを比較していずれか少ない方の額に4分の3を乗じた額を算出した上で、①の額と②の額とを比較して、いずれか少ない方の額を選定するなどして算定することとされている。

本院が、28、29両年度に27事業主体が整備した企業主導型保育施設28施設において会計実地検査を行ったところ、1事業主体において、次のとおり適正とは認められない事態が見受けられた。

 
部局等
補助事業者等 間接補助事業者等
(事業主体)
補助事業等
年度
事業費
左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費 不当と認める国庫補助金等相当額
            千円 千円 千円 千円
(8) 内閣府本府 公益財団法人児童育成協会
株式会社
Top Counselings
企業主導型保育 28、29 86,983 65,236 37,706 28,279

株式会社Top Counselings(以下「会社」という。)は、富山県富山市内に所在する建物の改修等工事を実施し、当該建物の一部において企業主導型保育施設を開設することとして、協会に助成金の申請を行っていた。そして、会社は、29年3月に請負業者と請負契約を締結して、28、29両年度に助成対象となる保育室等の整備を工事費計86,503,341円で実施したとして請負業者に対して同額を支払うとともに、当該改修等工事に係る事務費を合算するなどして、助成対象となる経費の実支出額が計86,983,100円であったとして協会に事業完了報告を行い、協会から助成金計65,236,000円の交付を受けていた。

しかし、会社が協会に提出した事業完了報告書は虚偽の内容のものであり、上記の工事費86,503,341円は金額が水増しされたものであって、実際に会社が請負業者に支払っていた工事費は63,558,000円であった。さらに、この63,558,000円は建物全体の改修等に要した工事費であり、企業主導型保育施設とは関係のない部分の改修等に要した費用15,530,297円が含まれていた。

したがって、実際の工事費に基づくなどして適正な助成対象となる経費の実支出額を算出すると計49,276,423円となり、これに係る助成金交付額は36,957,000円となることから、前記の助成金交付額65,236,000円との差額28,279,000円が過大に精算されるなどしていて、不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、会社において事業の適正な実施に対する認識が著しく欠けていたこと、協会において事業完了報告書等の審査及び確認が十分でなかったこと、内閣府本府において協会に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。