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  • 平成30年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第8 厚生労働省|
  • 不当事項|
  • 補助金

(14) 被災者支援総合交付金により実施した事業において、事業費を過大に精算していたもの[厚生労働本省](134)


1件 不当と認める国庫補助金 2,731,000円

被災者支援総合交付金(以下「交付金」という。)は、被災者支援総合交付金実施要綱(平成28年復本第437号・厚生労働省発社援0401第10号等)等に基づき、東日本大震災に伴う避難生活の長期化や、住宅再建により災害公営住宅等への移転の進捗等、被災者を取り巻く環境の変化に対応することなどにより、被災者の心身の健康の維持向上、生活の安定等に寄与することを目的として、都道府県又は市町村等が作成した被災者支援事業計画(以下「事業計画」という。)に基づく事業に要する経費を対象に、国が交付するものである。そして、その交付対象事業は、被災者見守り・相談支援事業等とされている。

本院が2県及び26市町において会計実地検査を行ったところ、1県において次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。

 
部局等
補助事業者
(事業主体)
補助事業
年度
交付対象事業費 左に対する交付金交付額 不当と認める交付対象事業費 不当と認める交付金相当額
          千円 千円 千円 千円
(134)
厚生労働本省
宮城県
被災者支援総合交付金 28 1,999,038 1,999,038 2,731 2,731

宮城県は、平成28年度に、事業計画に基づき、同県の市町村等が取り組む被災者見守り・相談支援事業等に対し、宮城県被災者支援総合交付金(被災地域福祉推進事業分)(以下「県補助金」という。)を交付していた。

そして、同県は、県補助金について、同県の市町村等から29年3月に事業が完了したとする実績報告書等の提出を受けて確認して、交付金の実績報告書等を作成し同年4月に厚生労働省に提出するなどして、同省から1,999,038,000円(交付対象事業費同額)の交付金の交付を受けていた。

しかし、同県石巻市は、既に消費税(地方消費税を含む。以下同じ。)相当額が含まれるなどしていた経費に、誤って更に消費税率8%を乗じた額を加算して算定した387,433,093円を実績額とするなどした県補助金の実績報告書等を作成して同県に提出していた。そして、同県は、同市の実績報告書等に計上された県補助金の交付額をそのまま交付金の実績報告書等に計上していた。

したがって、消費税相当額等を除いた経費に、消費税率8%を乗ずるなどして適正な交付対象事業費を算定すると1,996,307,000円となり、前記の交付対象事業費1,999,038,000円との差額2,731,000円が過大に精算されていて、これに係る交付金2,731,000円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、同県において、実績報告書等の確認が十分でなかったことなどによると認められる。