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  • 国会及び内閣に対する報告(随時報告)
  • 会計検査院法第30条の2の規定に基づく報告書
  • 平成30年11月

租税特別措置(中小企業等の貸倒引当金の特例)の適用状況及び検証状況について


前文

租税特別措置(以下「特別措置」という。)は、国による特定の政策目的を実現するための特別な政策手段であるとされ、「公平・中立・簡素」という税制の基本原則の例外措置として設けられているものである。

特別措置に関しては、行政機関が行う政策の評価に関する法律(平成13年法律第86号)等により、税額又は所得の金額を減少させる法人税関係特別措置について政策評価が義務付けられている。また、租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律(平成22年法律第8号)が平成22年4月に施行され、適用法人数、適用額の総額等を把握する適用実態調査、適用実態調査により明らかとなった結果の国会への報告等がなされることとなっている。

 「経済財政運営と改革の基本方針2018」(平成30年6月閣議決定)によれば、現在、我が国では、厳しい財政状況の下、歳出改革の加速・拡大を図るとともに、31年10月に予定されている消費税率の引上げを実施し、安定的な財源を確保することが課題であるとされている。そして、持続的な経済成長を維持・促進するとともに経済成長を阻害しない安定的な税収基盤を構築する観点から、税体系全般にわたる見直しを進めること、特別措置については、毎年度、適用状況や政策効果を見極めながら必要な見直しを行うこととされており、税制に対する国民の関心は高いものとなっている。このような状況の中、法人税に係る特別措置のうち、中小企業等の貸倒引当金の特例については、昭和60年度以降(金融保険業については56年度以降)、法定繰入率の見直しが行われていなかったり、41年度に2年間の時限措置として貸倒引当金の繰入限度額を割増しする措置が創設されて以降、累次にわたる延長が行われていたりしている。

本報告書は、以上のような状況を踏まえて、法人税に係る特別措置の一つである中小企業等の貸倒引当金の特例の適用状況並びに関係省庁及び財務省による検証状況について検査を行い、その状況を取りまとめたことから、会計検査院法(昭和22年法律第73号)第30条の2の規定に基づき、会計検査院長から衆議院議長、参議院議長及び内閣総理大臣に対して報告するものである。

平成30年11月

会計検査院


目次

1 検査の背景

(1) 租税特別措置の趣旨

(2) 特別措置を取り巻く状況

(3) 貸倒引当金に係る特例の概要

ア 企業会計における貸倒引当金
イ 法人税法における貸倒引当金
ウ 繰入限度額の算出
エ 法定繰入率により繰入限度額を算出する措置
オ 割増特例

(4) 貸倒引当金に係る特例の主な沿革

ア 法定繰入率により繰入限度額を算出する措置
イ 割増特例

(5) 期末一括評価債権額に含まれる仮受消費税相当額

(6) 繰入率特例及び割増特例の適用実績等

ア 業種別の適用実績
イ 業種別における資本金階級別の適用実績
ウ 業種別における所得階級別の適用実績

(7) 関係省庁及び財務省における特別措置の検証

ア 関係省庁における特別措置に関する政策評価法等に基づく検証
イ 税制改正要望の際の検証

2 検査の観点、着眼点、対象及び方法

(1) 検査の観点及び着眼点

(2) 検査の対象及び方法

3 検査の状況

(1) 繰入率特例の適用状況等

ア 法定繰入率と貸倒損失発生率とのかい離の状況等
イ 期末一括評価債権額に含まれる仮受消費税相当額等の状況

(2) 割増特例の適用状況

ア 協同組織金融機関における自己資本比率等の状況
イ e-Taxデータを基に分析した割増適用法人における割増適用減税額等の状況

(3) 貸倒引当金の特例の検証状況

ア 関係省庁における特別措置に関する政策評価法等に基づく検証状況
イ 税制改正要望の際の検証状況

4 所見

(1) 検査の状況の概要

ア 繰入率特例の適用状況等
イ 割増特例の適用状況
ウ 貸倒引当金の特例の検証状況

(2) 所見

別表

本文及び図表中の数値は、原則として、表示単位未満を切り捨てている。このため、図表中の数値を集計しても計が一致しないものがある。

事例一覧

[貸倒実績率が1000分の0.1となっており、法定繰入率とかい離しているなどの事態]

<事例1>

[仮受消費税相当額を期末一括評価債権額に含めて繰入限度額を算出しているため、損金の算入額が必ずしも合理的なものとはなっていないと思料される事態]

<事例2>

[割増適用金融機関において、自己資本比率及び利益剰余金の額の状況からみて、財務基盤が充実していると思料される事態]

<事例3>