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  • 令和2年度|
  • 第4章 国会及び内閣に対する報告並びに国会からの検査要請事項に関する報告等

第4節 国民の関心の高い事項等に関する検査状況


1 国民の関心の高い事項等に関する検査の取組方針

近年、我が国の社会経済は、今後本格化する人口減少、少子高齢化に伴う社会保障費の増大、潜在成長力の伸び悩み、大規模自然災害の頻発等の難しい課題に直面している。そのような中にあって、今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、我が国の社会経済に甚大な影響をもたらしており、同感染症への対応が喫緊の課題となっている。一方、我が国の財政状況をみると、公債残高は、連年の公債発行により増加の一途をたどっており、財政健全化が課題となっている。また、国会においては、国会による財政統制を充実し強化する観点から、予算の執行結果を把握して次の予算に反映させることの重要性等が議論されている。

このような中で、本院は、その使命を的確に果たすために毎年次策定している会計検査の基本方針に従って、我が国の社会経済の動向、財政の現状、行政における様々な取組等を踏まえて国民の期待に応える検査に努めており、特に、国会等で議論された事項、新聞等で報道された事項その他の国民の関心の高い事項については、必要に応じて機動的、弾力的な検査を行うなど、適時適切に対応することとしている。

2 検査の状況

(1)検査の結果、検査報告に掲記したもの

上記国民の関心の高い事項等としては、新型コロナウイルス感染症対策関係経費等や、大規模自然災害の頻発等により関心が一層高まっている国民生活の安全性の確保、少子高齢化及び情報化の進展等を背景とした社会保障及び情報通信(IT)といった分野が挙げられる。また、厳しい財政の現状等を踏まえて、予算・経理の適正な執行はもとより、制度・事業の効果、資産、基金等のストック等に対する国民の関心は引き続き高いものとなっている。

これら国民の関心の高い事項等について、正確性、合規性、経済性、効率性、有効性等の多角的な観点から検査を行った結果、「第3章 個別の検査結果」及び「第4章 国会及び内閣に対する報告並びに国会からの検査要請事項に関する報告等」に掲記した主なものを示すと、次のとおりである。

ア 新型コロナウイルス感染症対策関係経費等に関するもの

イ 国民生活の安全性の確保に関するもの

ウ 社会保障に関するもの

エ 情報通信(IT)に関するもの

オ 制度・事業の効果等に関するもの

カ 資金、基金等のストックに関するもの

キ 予算の適正な執行、会計経理の適正な処理等に関するもの

アからキまでに掲げたもののほか、国民の関心の高い事項等について検査を行った結果、「国の債務について」(特定検査対象に関する検査状況)、「申告不要配当特例等を適用している個人株主が上場会社から支払を受けた配当に係る課税の状況等について」(特定検査対象に関する検査状況)及び「北陸新幹線(金沢・敦賀間)の整備に係る工期遅延及び事業費増加の状況等について」(特定検査対象に関する検査状況)を「第4章 国会及び内閣に対する報告並びに国会からの検査要請事項に関する報告等」に掲記した。

(2)その他の検査の状況

(1)のほか、国会法第105条の規定に基づく検査要請が行われた「東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた取組状況等について」「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策の実施状況等について」「農林水産分野におけるTPP等関連政策大綱に基づく施策の実施状況等について」及び「放射性物質汚染対処特措法3事業等の入札、落札、契約金額等の状況について」について検査を実施している。

3 本院の所見

本院は、今後も我が国の社会経済の動向、財政の現状等を踏まえて国民の期待に応える検査に努めるために、国会等で議論された事項等の国民の関心の高い事項については、必要に応じて機動的、弾力的な検査を行うなど、適時適切に対応するとともに、我が国の財政健全化に向けた様々な取組について留意しながら検査を行っていくこととする。