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  • 令和4年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第6 厚生労働省|
  • 令和3年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(1) 障害児通所支援事業所における児童指導員等加配加算の算定について


(令和3年度決算検査報告参照)

1 本院が要求した適宜の処置及び求めた是正改善の処置

厚生労働省(令和5年4月1日以降はこども家庭庁)は、児童福祉法(昭和22年法律第164号)等に基づき、障害児通所支援に要した費用について、市町村(特別区を含む。)が支弁した障害児通所給付費の2分の1を負担している。そして、障害児通所給付費の算定に当たっては、常時見守りが必要な障害児への支援や障害児の保護者に対する支援方法の指導を行うなど支援の強化を図るために、事業所に配置すべき従業者の員数に加えて、児童指導員等を一人以上配置している場合等に、児童指導員等加配加算を算定することとなっており、児童発達支援管理責任者(以下「管理責任者」という。)を配置していない期間は当該加算を算定できないこととなっている(以下、これを「児童指導員等加配加算の要件」という。)。しかし、9都県及び13市区の96指定障害児通所支援事業者等(以下、指定障害児通所支援事業者等を「事業者」という。)の119事業所において、管理責任者が配置されていない期間であるにもかかわらず、児童指導員等加配加算を算定していたため、障害児通所給付費の支払において児童指導員等加配加算の額が過大となっている事態が見受けられた。そして、厚生労働省は、児童指導員等加配加算の要件について誤解しているなどの都県等及び事業者があるということを十分に把握していなかったため、管理責任者が児童指導員等加配加算の算定に必要な従業者であることについて「障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A」(以下「Q&A」という。)等に記載していなかったり、児童指導員等加配加算の算定に必要な児童指導員等の人数を満たしているかを確認できる届出(以下「加算届」という。)の様式に管理責任者の配置についての記載欄を設けていなかったりして児童指導員等加配加算の要件について十分に周知していないなどしていた。

したがって、厚生労働大臣に対して4年10月に、次のとおり是正の処置を要求し及び是正改善の処置を求めた。

ア 児童指導員等加配加算の額が過大に算定されていた96事業者の119事業所の障害児通所給付費について、返還手続が未済の事業所に対して、9都県及び13市区を通じるなどして、適正な額の算定を行わせた上で、過大に算定されていた障害児通所給付費の返還手続を行わせること(会計検査院法第34条の規定により是正の処置を要求したもの)

イ 都道府県、政令指定都市、中核市又は児童相談所を設置する市等(以下「都道府県等」という。)に対して、Q&A等に記載するなどの方法により児童指導員等加配加算の要件について周知徹底するとともに、管理責任者の配置についての記載欄を設けた加算届の様式を示すなどした上で、児童指導員等加配加算の算定に必要となる従業者を確認する際に事業所における管理責任者の配置状況を確認するよう周知すること(同法第34条の規定により是正改善の処置を求めたもの)

ウ 事業者に対して、都道府県等を通じるなどして、イと同様に、児童指導員等加配加算の要件について周知徹底するとともに、児童指導員等加配加算の算定に必要となる従業者を確認する際に事業所における管理責任者の配置状況を確認するよう周知すること(同法第34条の規定により是正改善の処置を求めたもの)

2 当局の処置状況

本院は、「こども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律」(令和4年法律第76号)に基づき厚生労働省が実施していた障害児通所支援に係る事務が5年4月に移管されたこども家庭庁において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、厚生労働省(5年4月1日以降はこども家庭庁)は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。

ア 児童指導員等加配加算の額が過大に算定されていた96事業者の119事業所のうち返還手続が未済であった92事業者の115事業所については、このうち31事業者の32事業所に対して、5年6月までに、7県及び7市を通じて、適正な額の算定を行わせた上で、過大に算定されていた障害児通所給付費の返還手続を行わせた。

イ 5年3月に都道府県等に対して、事務連絡を発し、Q&Aに記載するなどの方法により児童指導員等加配加算の要件について周知徹底するとともに、管理責任者の配置についての記載欄を設けた加算届の様式を示した上で、児童指導員等加配加算の算定に必要となる従業者を確認する際に事業所における管理責任者の配置状況を確認するよう周知した。

ウ イの事務連絡により、事業者に対して、都道府県等を通じて、イと同様に、児童指導員等加配加算の要件について周知徹底するとともに、児童指導員等加配加算の算定に必要となる従業者を確認する際に事業所における管理責任者の配置状況を確認するよう周知した。

一方、こども家庭庁は、返還手続が未済であった92事業者の115事業所のうち返還手続を行わせた31事業者の32事業所を除く残りの61事業者の83事業所に対して、今後、5都県及び7市区を通じて、適正な額の算定を行わせた上で、過大に算定されていた障害児通所給付費の返還手続を行わせることとしている。