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  • 令和4年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第7 農林水産省|
  • 令和3年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(3) 林業・木材産業改善資金貸付事業の運営について


(令和3年度決算検査報告参照)

1 本院が要求した改善の処置

林野庁は、林業従事者等が林業経営の改善等のために必要とする資金の貸付事業を行う都道府県に対して資金の一部を国庫補助金として交付している。そして、都道府県が造成した林業・木材産業改善資金(以下「改善資金」という。)において、多額の繰越金を発生させている事態について本院が平成13年及び20年に指摘するなどしたところ、林野庁は、貸付けが見込まれない額のうち、国庫補助金に相当する額を国へ自主納付できることとするなどの処置を講じたり、自主納付の考え方に係る通知を発するとともに都道府県に周知徹底を図るなどの処置を講じたりしている。しかし、都道府県において、貸付事業計画に記載する貸付見込額(以下「貸付計画額」という。)及び自主納付の検討対象とすべき額(以下「自主納付検討額」という。)の算定を適切な貸付需要に基づいて行っていなかったこと、林野庁において、上記の通知で示されている算定方法(以下「林野庁通知算定」という。)と異なる独自の算定方法(以下「独自算定」という。)による貸付計画額及び自主納付検討額並びに自主納付検討額を基に決定した自主納付の予定額(以下「自主納付予定額」という。)の内容について根拠資料を提出させたり、これらの算定結果について資金造成総額、実績報告書に記載された貸付実績の金額(以下「貸付実績額」という。)等と比較するなどしたりして、上記の内容及び算定結果の妥当性を検証した上で、疑義があるものについて再検討を求めるなどの十分な確認を行っていなかったことから、自主納付制度が十分に活用されておらず、改善資金が貸付需要に対応した適切な規模とならずに多額の繰越金を発生させている事態が見受けられた。

したがって、林野庁長官に対して令和4年10月に、会計検査院法第36条の規定により次のとおり改善の処置を要求した。

ア 都道府県に対して、適切な貸付需要に基づいて貸付計画額及び自主納付検討額を算定するよう指導を徹底すること

イ 林野庁通知算定と異なる独自算定による貸付計画額及び自主納付検討額並びに自主納付予定額の内容について都道府県から根拠資料を提出させたり、これらの算定結果について資金造成総額、貸付実績額等と比較するなどしたりして、上記の内容及び算定結果の妥当性を検証した上で、疑義があるものについて再検討を求めるなど十分に確認を行う体制を整備すること

2 当局が講じた処置

本院は、林野庁において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、林野庁は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。

ア 4年11月に都道府県に対して通知を発して、適切な貸付需要に基づいて貸付計画額及び自主納付検討額を算定するよう周知徹底するとともに、都道府県に対する説明会やブロック会議において、当該通知に基づいて貸付計画額及び自主納付検討額を算定するよう指導を徹底した。

イ アの通知により、独自算定による貸付計画額及び自主納付検討額並びに自主納付予定額の内容について都道府県から根拠資料を提出させたり、これらの算定結果について、資金造成総額、貸付実績額等と比較したりなどするとともに、上記の内容及び算定結果の妥当性をチェックシートにより検証した上で、疑義があるものについては再検討を求め、必要に応じてヒアリングを行うこととするなど十分に確認を行う体制を整備した。