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  • 令和4年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第7 農林水産省|
  • 令和3年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(5) 国営更新事業に係る附帯施設の機能保全計画の策定状況等の把握等について


(令和3年度決算検査報告参照)

1 本院が要求した改善の処置

農林水産省は、国営かんがい排水事業により造成された既存の農業水利施設の更新等を行う国営更新事業を順次実施している(以下、国営更新事業により更新するなどした農業水利施設を「国営更新施設」という。)。また、都道府県等は、国営更新事業に関連する土地改良事業として、国営更新施設と田畑とを接続するための用排水路等の農業水利施設(以下「附帯施設」という。)の整備、更新等を実施している。このため、国営更新施設と附帯施設とが一体となって機能することにより、国営更新事業はその効果を発揮することとなる。国は、農業水利施設の機能保全対策について、施設の長寿命化とライフサイクルコストの低減を図る戦略的な保全管理を推進することとしている。そして、農政局等は、施設の機能を維持するための対策工法等について取りまとめた機能保全計画が策定されている附帯施設等のうち当該計画における対策工事の開始予定年度を経過した施設について、都道府県に対して対策工事の実施状況等を所定の様式(以下「把握様式」という。)により報告させることとしている。しかし、農政局等において附帯施設の機能保全計画の策定状況を把握していない事態、及び機能保全計画に基づく対策工事が実施されていない附帯施設について劣化の状況が機能保全コストが最も経済的となる最適コストによる対策工事で対応可能な範囲内(以下「最適コスト範囲内」という。)にあることを都道府県等が確認しているかどうかを農政局等において把握していない事態が見受けられた。

したがって、農林水産大臣に対して令和4年10月に、会計検査院法第36条の規定により次のとおり改善の処置を要求した。

ア 把握様式を変更するなどして、農政局等が附帯施設に係る機能保全計画の策定状況を把握するための項目を設けること、また、附帯施設であることを確認できる項目及び附帯施設の劣化の状況が最適コスト範囲内であることについて都道府県等が確認していることを把握するための項目を設けること

イ 農政局等に対して、アで変更した把握様式等に基づき、附帯施設の機能保全計画の策定状況を把握するとともに、策定していない場合は、都道府県等に対して必要に応じて助言を行うことを周知徹底すること。また、附帯施設の劣化の状況が最適コスト範囲内であることについて都道府県等が確認していることを把握するとともに、確認していない場合は、都道府県等に対して必要に応じて助言を行うことを周知徹底すること

ウ 都道府県等に対して、附帯施設の機能保全計画の策定時期の目安を示した上で、機能保全計画を策定することの目的やこれに基づき対策工事を行うことの必要性を周知徹底すること

2 当局が講じた処置

本院は、農林水産本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、農林水産省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。

ア 5年4月に発出した農政局等に対する通知により、把握様式を変更して附帯施設に係る機能保全計画の策定状況を把握するための項目を設けるとともに、附帯施設であることを確認できる項目及び附帯施設の劣化の状況が最適コスト範囲内であることについて都道府県等が確認していることを把握するための項目を設けた。

イ 5年2月に農政局等に対して通知を発出するなどして、変更後の把握様式に基づき、附帯施設の機能保全計画の策定状況を把握するとともに、策定していない場合は、都道府県等に対して必要に応じて助言を行うことを周知徹底した。また、附帯施設の劣化の状況が最適コスト範囲内であることについて都道府県等が確認していることを把握するとともに、確認していない場合は、都道府県等に対して必要に応じて助言を行うことを周知徹底した。

ウ アの通知により、都道府県等に対して、農政局等を通じるなどして、附帯施設の機能保全計画の策定時期の目安を示すとともに、機能保全計画を策定することの目的やこれに基づき対策工事を行うことの必要性について周知徹底した。