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  • 令和4年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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  • (1) 工事の設計が適切でなかったなどのもの

建設発生土の搬出先の決定に係る設計が適切でなかったもの[鳥取県](246)


(1件 不当と認める国庫補助金 4,552,520円)

 
部局等
補助事業者等
(事業主体)
補助事業等
年度
事業費
国庫補助対象事業費
左に対する国庫補助金等交付額
不当と認める事業費
国庫補助対象事業費
不当と認める国庫補助金等相当額
千円 千円 千円 千円
(246)
鳥取県
鳥取市
河川等災害復旧
28、29
56,426
(56,082)
37,406 6,825
(6,825)
4,552

この補助事業は、鳥取市双六原地内において、平成28年台風第16号及び豪雨により被災した市道双六原細見線の道路機能を復旧するために、道路土工、排水構造物工等を鳥取市が実施したものである。このうち、道路土工は、崩壊した土砂等を搬出し、新たに土砂を盛土して路体を復旧するなどしたものである。

同市は、工事により処分する土砂等(以下「建設発生土」という。)の搬出先の決定を、建設発生土の適正な処分と有効利用を図ることなどを目的として鳥取県が制定した「鳥取県県土整備部公共工事建設副産物活用実施要領」(平成25年4月。以下「要領」という。)に基づいて行うこととしている。要領によれば、建設発生土は、当該工事現場や他の公共工事等に利用できない場合は、当該工事現場から20㎞以内に所在する財団法人鳥取県建設技術センター(以下「センター」という。)の事業所又は受入れ可能な地方公共団体等が運営する残土処分場(以下、これらを合わせて「公営処分地」という。)の中で、運搬費及び処分費(以下、これらを合わせて「処分費等」という。)が最も安価となる場所へ搬出することとされている。そして、当該工事現場から20㎞以内に公営処分地がないなどの場合は、当該工事現場から50㎞以内に所在する公営処分地と建設発生土を受け入れる民間施設(以下「民間処分地」という。)の中で、処分費等が最も安価となる場所へ搬出することなどとされている。

同市は、本件の建設発生土の搬出先を検討するに当たり、本件工事現場から搬出先までの搬出距離を地図上で計測したところ、搬出距離が7.3㎞となる位置に最寄りの民間処分地が、20.0㎞となる位置に最寄りの公営処分地が、それぞれ所在するとした上で、要領に基づき、当該公営処分地を搬出先として決定していた。そして、同市は、設計図書である特記仕様書に上記の公営処分地を搬出先とすることを明記した上で、本件の建設発生土を、その土量等を考慮して10tダンプトラックにより搬出することとして設計し、請負業者はこれにより建設発生土を搬出していた。

しかし、同市が上記の搬出距離20.0㎞を計測するに当たり前提としていた搬出経路を確認したところ、車道幅員が約2.2mである箇所や、橋りょうの重量制限が6tであり大型自動車の通行が禁止されている箇所があるなど、車幅が約2.5mの10tダンプトラックが通行できない道路を通行するものとなっていた。

また、搬出先として設計していた公営処分地の利用に当たっては、センターから同市等に発出された「新規建設発生土受入事業所の開所について(通知)」(平成25年4月。以下「通知」という。)において、当該公営処分地周辺の集落内の通行を避けるなどした経路が指定されていたのに、同市が設計で前提としていた搬出経路は、これに従っていなかった。

そこで、上記の搬出経路における現地の状況、通知の内容等を踏まえて、車幅が約2.5mの10tダンプトラックの通行が可能である搬出経路のうち、最短となる搬出経路の距離を改めて計測すると23.3㎞となり、20㎞を超えていた。このため、当該工事現場から20㎞以内に公営処分地がない場合に該当することとなり、最寄りの公営処分地に搬出する場合と最寄りの民間処分地に搬出する場合の処分費等を比較すると、最寄りの民間処分地に搬出する場合の処分費等の方が安価となることから、要領に基づき、最寄りの民間処分地を搬出先として決定すべきであったと認められた。

したがって、本件建設発生土の処分費等は、搬出先の決定に係る設計が適切でなかったため、最寄りの民間処分地を搬出先として設計した場合の処分費等と比べて6,825,368円過大となっていて、これに係る国庫補助金相当額4,552,520円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、同市において、建設発生土の搬出先を検討するに当たり、設計で前提としていた搬出経路における現地の状況の確認及び通知等についての理解が十分でなかったことなどによると認められる。