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  • 昭和24年度|
  • 第5章 不当事項|
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  • 第4 大蔵省|
  • (終戦処理関係の分)|
  • 物件

艦艇の解撤に関し処置当を得ないもの


(432)−(438) 艦艇の解撤に関し処置当を得ないもの

(1) 工事費の精算に当り処置当を得ないもの

 (部)終戦処理費(款)終戦処理業務費(項)兵器類処理費

(432)  福岡財務部外4箇所で、間接費の配賦が多額に過ぎたと認められるものが、佐世保船舶工業株式会社外5会社の分について15,634,577円ある。
 右は、本伴工事と全く業種の異なつた造船工業の原価計算方法により直接労働時間を基準として間接費を配賦したことに因るものであるが、造船工業に比べ材料費が少く労務費が直接原価の大半を占める本件工事について右の方法により間接費を配賦するときは、他の作業部門に比べ負担が過大となり妥当と認められない。本件のような場合には、労務費に材料費等を加算した直接原価を基準として間接費の配賦を行うのが実情に即し合理的であると認められ、現に東京財務部その他においては本件と同様の事例に対しこの方法により工事費の精算を行つている状況である。
 いまこれにより計算すれば、本件間接費旧航空母艦隼鷹外42隻の分53,658,294円は38,023,717円で足り、15,634,577円を減額することができたものである。

(433)  福岡財務部で、佐世保船舶工業株式会社に請け負わせた旧航空母艦笠置の解撤工事精算額のうち4,937,000円は、昭和23年12月同会社が株式会社松庫商店に売り渡した発生材中2,765屯の中割作業費に相当するものであるが、右は契約により買受人が負担したものであるから、これを国の負担する解撤工事費に加算すべきものではない。

(434)  中国海運局外4箇所で、実費を超過して支出したものが株式会社播磨造船所外3会社の分で4,779,093円ある。
 右は、解撤業者が旧航空母艦海鷹外12隻の工事費中役務費等16,310,256円を計算するに当り、過大な予定原価を実費として計上し、あるいは架空の経費を積算したもの等があつたのに、これをそのまま支出したことに因るものである。

(2) 契約更改の処置当を得ないもの

 (部)終戦処理費(款)終戦処理業務費(項)兵器類処理費

(435) 神戸海運局で、株式会社岡田組に請け負わせた旧改装航空母艦大滝山丸の解撤工事費として22,797,050円(うち昭和23年度分18,337,000円)を支出したものがある。
 右は、23年4月概算契約を締結し、9月工事が完了したものであるのに、24年1月に至り神戸財務部長がち昭和21年法律第60号に基く検査を取り消す旨の通知を受けたことを理由として23年4月にさかのぼつて会社の請求額を請負額とした確定契約に更改したものであるが、艦艇解撤工事については概算契約により実施し工事完了後工事に要した実費に基き精算する取扱であるのに、ひとり本件に限り実費を参しやくしない確定契約に更改し概算契約をした場合に比べ多額の支出をするに至つたものである。

(3) 発生諸資材の売渡に当り処置当を得ないもの

 (部)特別収入(款)終戦処理収入(項)終戦処理収入

(436)  福岡財務部外1箇所で、昭和25年3月佐世保船舶工業株式会社外3会社に旧航空母艦隼鷹外16隻の発生器材等を25,894,607円で売り渡したものがある。
 右は、21年3月から24年3月までの間に前記会社が処分済のもので、その価額は有姿のままの評価額から既に会社が負担した補修費を控除した額によるべきであるのに、更に将来の補修見込費等を控除して売り渡したため約1100万円低価となつたものである。

(437)  広島財務部で、昭和25年3月日立造船株式会社外5会社に旧航空母艦龍鳳外34隻の発生諸資材を2,627,837円で売り渡したものがある。
 右は、前記艦艇から発生した諸資材1,092屯を売り渡すに当り、その価格は売渡当時の統制額を基準とし4,128,570円とすべきてあるのに、これを24年3月の統制額を基準としたため約150万円低価となつたものである。

(438)  東京財務部で、昭和24年12月東洋サルベージ株式会社に対し、旧標的艦大指の発生材1,648屯を4,548,781円で売り渡しているが、このうち1,000,000円を収納しただけで3,548,781円は工事費精算支払の際差し引いてこれを徴収することなく、25年11月現在まだ収納されていない。