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  • 昭和32年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の不当事項および是正事項|
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電子機器点検修理の予定価格の積算が過大なため点検修理費が高価と認められるもの


(22) 電子機器点検修理の予定価格の積算が過大なため点検修理費が高価と認められるもの

(組織)防衛庁 (項)防衛庁

 海上自衛隊佐世保地方総監部で、昭和32年4月から7月までの間に、随意契約により日本飛行機株式会社に「TBM−3W」電子機器点検修理工事3件を総額19,121,000円で請け負わせているが、予定価格の積算にあたり調査検討が不十分であったため約190万円高価となっていると認められる。
 右は、「TBM−3W」航空機(5機)に塔載されているレーダー等の電子機器の点検修理を行うもので、別途同時期に調達実施本部で同会社に請け負わせて右5機の機体のオーバーホールを実施させた際これを請け負わせたものである。しかして、その予定価格についてみると、各電子機器別の工費と材料費の合計に15%の一般管理費利益を加算して総額19,221,725円と積算しているが、

(ア) レーダーの修理費については、32年4月契約分(1機)は1,631,750円、5月契約分(2機)は3,347,800円として、1機当りほぼ同額を計上している。しかし、本件契約前の32年3月同一機種についての電子機器修理を同会社に請け負わせた際の契約書に原価調査条項を定めていたのであるから、これにより原価調査を実施していれば、その結果をこれらの予定価格の積算に反映させることができ、1機当り約40万円は減額することができたのに、原価調査を行わないで予定価格を積算したため約120万円が過大となっていると認められ、現に、実績についてみると2契約分の修理費は3,718,000円となっている状況である。

(イ) 材料費のうち燃料費を一機につき地上運転用122,580円、試験飛行用81,720円計204,300円としていて、これは電子機器修理工事完了後領収検査にあたって地上運転9時間、試験飛行6時間を実施するに要するものとして1時間当り13,620円として積算したものであるが、一方、調達実施本部でも機体のオーバーホールの領収検査に必要な燃料費を積算しており、機体の領収検査の試験飛行は電子機器を塔載して行うことになっているから、電子機器の領収検査の試験飛行は機体の領収検査と同時に実施することができるもので、試験飛行用燃料費81,720円は計上の必要がないものであり、また、地上運転用燃料費については、1時間当り9,000円程度、一機当り約8万円で足りるのに122,580円を計上しているため約4万円過大となっていて、結局、電子機器修理工事の燃料費は1機当り約12万円、5機分の計約60万円が過大となっていると認められる。

 以上の修理費および材料費により防衛庁の計算方式をもって計算すると予定価格は約1715万円となり、ひいて契約金額において約190万円が高価となっていると認められる。