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  • 昭和33年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の事項|
  • 第1 総理府|
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  • 物件

防火衣の検収にあたり処置当を得ないもの


(5) 防火衣の検収にあたり処置当を得ないもの

 (組織)防衛庁 (項)防衛庁

 防衛庁調達実施本部で、海上幕僚監部の要求により、昭和34年2月、一般競争契約により株式会社木下防火衣製作所から防火衣182着を単価7,850円総額1,428,700円(うち手袋80双分価額29,600円は未納のため契約解除)で購入しているが、検収処置当を得ないため仕様書と著しく相違した不良品が納入されている。
 右防火衣は、海上自衛隊の艦船に塔載するもので、仕様書によればシリコンゴムで二枚張りとしたオリーブ・ドラブ色の防火綿布を縫製したフード付上衣、ズボンおよび手袋からなっており、生地の裁断は、上衣は前身、後身の二枚、ズボンは左右各一枚、手袋は一枚とし、縫目はそで口、すそ口等一部分を除きバイヤス綿テープをゴムのりで張り付けるよう規定されていて、この検収は34年3月検査担当官が工場に出張のうえ調達実施本部所定の検査を行なった結果、一部のものについて色違い、よごれ、縫い不良を手直しさせたうえ全数合格としたものであるが、34年8月本院会計実地検査の際、海上自衛隊横須賀地方総監部に納入された50着について調査したところ、上衣は二枚断ちとなっているものは5着(その他はすべて4枚断ち)にすぎず、ズボンは左右各一枚断ちのものは皆無(全部二枚断ち)、手袋も縫目にバイヤス綿テープを張ったものは皆無の状況であり、また、綿布の染色も仕様に反しほとんどが色合の異なった青緑色で濃淡区々となっているばかりでなく、ボタン等が腐食していたり、不足した裏綿布に当て布をしたものがあったりするなど仕様書と著しく相違し全数不合格品と認められ、また、その後シリコンゴム加工もしていないことが判明した。なお、他の地方総監部等に納入されたものについても当局調査の結果によれば同様の状況である。