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  • 昭和33年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の事項|
  • 第11 建設省|
  • (一般会計)(道路整備特別会計)|
  • 不当事項|
  • 補助金

公共事業に対する国庫負担金等の経理当を得ないもの


(336)−(345) 公共事業に対する国庫負担金等の経理当を得ないもの

 (一般会計) (組織)建設本省 (項)河川等災害復旧事業費ほか4科目
 (道路整備特別会計) (項)道路事業費ほか1科目

 地方公共団体が施行した公共土木施設の建設、改良および災害復旧等の工事に対する国庫負担金または国庫補助金(以下「国庫負担金」という。)は、道路法(昭和27年法律第180号)、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法(昭和26年法律第97号)等の根拠法規に基づいて交付されるものであるが、本院において、昭和34年中、その経理および工事施行の状況について、全国の工事現場52,095箇所のうち北海道ほか29都府県につきその9.5%に相当する4,979箇所(事業費36,032,217,817円、国庫負担金21,869,965,727円)を実地に検査したところ、従来に比べて改善の跡が認められたが、なお工事の施行が粗漏で補助の目的を達していないもの、設計が過大と認められるもの、設計に対して工事の出来高が不足しているもの、または工事の発生材についての精算処理が適当でないものなどがあり、国庫負担金を除外すべきことの判明したもので除外すべき額1工事10万円以上のものが北海道ほか12府県(注) において16工事5,497,861円あり、右のうち国庫負担金を除外すべき額1工事20万円以上のものをあげると左のとおり10件4,692,345円である。

 (注)  左に掲記した道府県のほか奈良、鳥取、山口、愛媛、長崎各県

道府県名

工事 事業主体 工事費 同上に対する国庫負担(補助)金 同上のうち33年度までの交付済額 国庫負担(補助)工事費から除外すべき額 同上に対する国庫負担(補助)金相当額

(336)

北海道

天塩郡遠別町遠別川33年災害復旧

北海道

4,056,372

3,245,097

3,245,097

576,000

460,800
護岸延長445メートルの復旧にあたり、鉄線じやかごの詰石は径15センチメートル以上のもの771立米を施行したこととしているが、実際は半量程度はじやかごから容易に脱落する小径の不適格材を使用したため工事費576,000円相当額が出来高不足となっている。

(337)

釧路郡釧路村冬窓床川32年災害復旧 釧路村 827,000 661,600 661,600 827,000 661,600
護岸延長128メートルの復旧にあたり、コンクリート擁壁130立米は配合比1:3:6で施行したこととしているが、実際は現場付近で採取した粗悪な骨材を使用した配合の悪いコンクリートで施行しているばかりでなく、基礎部分71立米は玉石を多量に混入しているため強度が著しく低下しており工事の施行が粗漏となっている。
4,883,372 3,902,697 3,906,697 1,403,000 1,122,400
(338) 秋田県 仙北郡協和村村道宮田又線道路改良(企業合理化促進) 協和村 2,826,666 1,884,444 1,884,444 472,000 314,666
道路延長1,081メートルの新設にあたり、上敷砕石420立米を施行したこととしているが、実際は全く施行していないなどのため工事費472,000円相当額が出来高不足となっている。
(339) 栃木県 那須郡那須町県道伊王野棚倉線道路改良分割第2 栃木県 6,267,087 4,178,058 4,178,058 369,000 246,000
道路延長333メートルの新設にあたり、土石切取は硬岩2,284立米、軟岩801立米、砂利交り土砂2,046立米を施行したこととしているが、実際は硬岩1,827立米、軟岩1,263立米、砂利交り土砂1,971立米を施行すれば足りたなどのため工事費369,000円相当額が設計過大となっている。
(340) 富山県 婦負郡婦中町辺呂川27年災害復旧ほか4 婦中町
(旧古里村)
2,650,956 1,932,546 1,932,546 736,956 537,240
護岸延長371メートルおよび道路延長130メートルを2,650,956円で復旧したこととしているが、実際は国庫負担金を下回る1,914,000円で工事を施行したにすぎず、事業主体はその負担したとしている718,410円を全く負担していないばかりでなく18,546円の剰余を生じたこととなっている。
(341) 福井県 福井市県道西田中福井線清水山橋取付道路 福井県 6,821,187 4,547,458 4,547,458 365,000 243,333
橋りょう取付道路延長504メートルの施行にあたり、路側練積石垣2,034平米は胴込コンクリート平米当り0.175立米または0.225立米総量377立米を施行したこととしているが、実際はうち794平米の胴込コンクリートは設計の3分の1程度で、総量283立米を施行したにすぎず、工事費365,000円相当額が出来高不足となっている。
(342) 南条郡今庄町高倉谷川28年災害復旧 福井県 1,285,325 1,253,191 1,253,191 1,058,000 1,0310550
砂防えん堤延長35メートルの復旧にあたり、本体は配合比5.5の玉石コンクリート259立米で施行したこととしているが、実際は玉石108立米を中詰とし、これを厚さ30センチメートルまたは40センチメートル程度の玉石コンクリート151立米で被覆したにすぎず工事の施行が粗漏となっている。
8,106,512 5,800,649 5,800,649 1,423,000 1,274,883
(343) 愛知県 南設楽郡鳳来町県道大野二俣線道路改良 愛知県 9,499,702 6,333,134 6,333,134 458,000 305,333
道路延長517メートルの新設にあたり、残土19,140立米を平均60メートル運搬捨土したこととしているが、実際は14,828立米を施行したにすぎず4,312立米は路側に放置しており工事費458,000円相当額が出来高不足となっている。
(344) 京都府 与謝郡伊根町府道宮津網野久美浜線道路改良 京都府 19,378,000 12,918,666 12,918,666 771,000 514,000
道路延長720メートルの新設にあたり、残土7,784立米は80メートル運搬捨土したこととしているが、実際は海岸沿いにそのまま捨土することができ運搬の要がなかったため工事費771,000円相当額が設計過大となっている。
(345) 大阪府 堺市都市復興事業上水道排水管移設 大阪府 20,680,000 10,095,000 10,095,000 794,039 377,823
土地区画整理のため施行した上水道配水管移設工事費の精算にあたり、その工事費20,680,000円を国庫負担基本額としているが、工事施行により撤去して保有している鉛管35トンの評価額794,039円は右基本額から控除すべきである。
合計 74,292,295 47,049,194 47,049,194 6,426,995 4,692,345