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  • 昭和44年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 政府関係機関その他の団体別の事項|
  • 第2 日本国有鉄道|
  • 意見を表示しまたは処置を要求した事項

蒸気機関車の廃車および全般検査の実施について処置を要求したもの


(2) 蒸気機関車の廃車および全般検査の実施について処置を要求したもの

(昭和45年11月16日付け45検第360号 日本国有鉄道総裁あて)

 日本国有鉄道では、電化、ディーゼル化を進め、蒸気機関車(以下「機関車」という。)を昭和49年度末までに全廃することとしており、43年度に378両、44年度に373両を廃車し、45年度には330両を廃車する予定になっている。他方、機関車については、日本国有鉄道運転規則(昭和30年運輸省令第5号)等の規定により各種定期検査を車両工場等で行なっており、このうちとくに多額の経費(機関車1両当り約540万円から約1030万円)を要する全般検査(4年ごとに全般にわたって必ず行なう検査)を行なったものは、43年度465両35億1927万余円、44年度360両30億8381万余円に上っている。

 しかして、上記のように、大量に廃車が進められてゆく過程においては次回の全般検査の見込時期が到来しない機関車も廃車されること、全般検査の実施には多額の経費を要することにかんがみ、機関車の廃車および全般検査実施の実情を検査した。その結果、全般検査実施後11箇月から2年10箇月程度しか経過してなく、次回全般検査までの期間が2年余あり、また、運転キロからみてもまだ十分に使用することができると認められる機関車を廃車している一方、その廃車と同時期に同形式の機関車の全般検査を行なっている例が相当数見受けられた。そして、この全般検査を行なった機関車のうちには、その後、上記の廃車した機関車の次回全般検査見込時期以前に廃車することになったものが16両あった状況であり、もし、これら16両の機関車について全般検査を実施しないで、上記の廃車した機関車を廃車することなく利用していたとすれば、全般検査の経費を相当額節減できたことになる。

 ついては、今後機関車の廃車および全般検査の実施にあたっては、関係箇所相互間の連絡調整を緊密にして、運転可能なものを有効に利用して極力全般検査に伴う経費の節減を図る要があると認められる。