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  • 昭和47年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 政府関係機関その他の団体別の事項|
  • 第3 日本電信電話公社

日本電信電話公社


(事業概要について)

 昭和47年度末の電話取扱局は2,458局(ほかに郵便局に業務を委託しているもの2,556局がある。)、公衆電話は54万余個、市外電話回線は93万余回線、加入電話等の数は2247万余であり、加入電話等普及率は100人当たり20.8加入、ダイヤル化率は97.8%となっていて、前年度に比べていずれも向上している。加入電話等のうち、事務用電話に比べて利用度の低い住宅用電話が占める割合は、前年度末の49.8%に対し54.2%に増加しており、住宅用電話数が事務用電話数を初めて上回るに至った。また、申込みを受けたが未架設となっている数は加入電話等231万余(うち地域集団電話4万余)で前年度末に比べて30万余減少(地域集団電話では9万余減少)している。

 47年度末の電報取扱局は1,607局(ほかに郵便局に業務を委託しているもの17,283局がある。)であり、同年度中の電報通数は5589万余通で、前年度に比べて802万余通減少しており、電話の増設、加入電信の増加等によって電報通数は逐年減少の傾向を示している。

 47年度末のデータ通信サービスは、公衆データ通信システムサービス(販売在庫管理、科学技術計算、定型計算各システム)12システム、各種データ通信システムサービス(為替、預金、貸付業務等)17システム及び特定通信回線サービス1万余回線等となっている。

 電信電話拡充第4次5箇年計画は47年度をもって終了し、これに要した経費は予定3兆3770億円に対し実績3兆8198億余円となっているが、その主な内容についてみると、その計画に対する実績は、加入電話等の増設において1060万(うち地域集団電話130万)に対し1205万余(うち地域集団電話104万余)、公衆電話の増設において15万個に対し21万余個、電話局の建設において2,000局に対し2,303局、市外局の建設において43局に対し34局、市外電話回線の増設において40万回線に対し49万余回線、データ通信施設において47システムに対し31システム(うち2システムは47年度末現在サービスを終了している。)となっている。

 なお、公衆電気通信法の一部を改正する法律(昭和46年法律第66号)により、47年11月から新しい通話料金制度である広域時分制への移行が実施され、47年度末現在、全国567単位料金区域の34.5%に当たる196区域につき移行を終えた。
 また、沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律(昭和46年法律第129号)に基づき、47年5月、琉球電信電話公社が有していた権利及び義務を承継した。その承継内容は、資産135億8074万余円、負債55億3491万余円及び資本80億4582万余円である。この資本のうち資本金6億1000万円に相当する額は上記の法律に基づき政府から日本電信電話公社に追加出資されたものとされ、これにより47年度末の資本金は188億4758万余円となっている。

(損益について)

 47年度の損益は、営業損益において利益183億7030万余円、営業外損益において損失89億0877万余円で、差し引き94億6153万余円の純利益を生じていて、前年度に欠損金43億3841万余円を計上していたのに比べると137億9994万余円の利益の増加となっている。しかして、上記の純利益は利益積立金として整理した。
 このように利益が生じたのは、前年度に比べて、事業収入の大部分を占める電話収入が、加入者の増加、各種の増収対策及び秋以降の景気の上昇に支えられて1841億5386万余円(16.4%、前年度13.2%)増加したことなどにより総収益が2095億3107万余円(16.7%、前年度12.7%)増加し1兆4624億5667万余円になったのに対し、事業規模の拡大に伴う減価償却費、利子及び債券取扱費等の資本費用は累増したものの給与改定等に基づく人件費の増加率(15.8%、前年度16.8%)が低下したことなどにより、総費用が1957億3112万余円(15.5%、前年度15.0%)の増加にとどまり1兆4529億9513万余円となったことによるものである。この結果、総収支率日本電信電話公社の図1は99.4%(前年度比0.9%低下)になった。なお、ケーブル材料として製造業者に引き渡したくずケーブルについて、従来はさお銅、故鉛を生産受け入れするまでは計理処理をしていなかったが、くずケーブルを引き渡した時点で処理することに変更し、これに伴い、21億0295万余円を雑益に計上している。

 次に、公社の財務諸表に基づいて営業損益を事業別に算定すると、電話事業では、事業収入1兆3758億6563万余円、事業支出1兆2731億3411万余円で、差し引き1027億3152万余円の利益となり、前年度に比べて266億8951万余円増加しており、事業収入利益率日本電信電話公社の図2は7.46%で、前年度に比べて1.07%上昇している。
 また、電信事業(電報、加入電信等を内容とする事業)では、事業収入586億7603万余円、事業支出1430億3725万余円で、差し引き843億6121万余円の損失となり、前年度に比べて100億5406万余円増加しており、事業収支率日本電信電話公社の図3は243.7%で、前年度に比べて57.2%低下している。このうち電報業務においては、47年3月の料金改定等により、収入が約167億3978万円となり、前年度に比べて約81億6924万円増加したが、受付、配達事務に要する人件費等の引き続く上昇により、なお約702億0171万円の損失を生じている。この結果、事業収支率は519.3%となり、前年度に比べて393.2%低下している。