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  • 昭和48年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
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  • 工事

変電所建設の基礎工事の施行に当たり、土留め工費の積算が適切でなかったため、契約額が割高になったもの


(147) 変電所建設の基礎工事の施行に当たり、土留め工費の積算が適切でなかったため、契約額が割高になったもの

科目 (工事勘定) (項)東北新幹線等建設費
部局等の名称 東京建築工事局
工事名 浜松町変電所12建築3く体
工事の概要 周波数変換変電所を建設する基礎工事の一環として基礎ぐい、土留め工(地下連続壁)等を施工する工事
工事費 116,182,600円(当初契約額96,000,000円)
請負人 株式会社銭高組
契約 昭和48年3月随意契約
しゅん功検査 昭和48年10月
支払 昭和48年6月、11月

 この工事は、土留め工費の積算が適切でなかったため、契約額が約1400万円割高になったと認められる。

 (説明)

 この工事のうち土留め工は、変電所地下室設置箇所の周囲にBW工法(注) により鉄筋コンクリートの地下連続壁(延長116m、壁面積1,160m2 、厚さ0.6m、深さ10m)を築造するものである。

 上記の土留め工の工事費については、当初、この種工事の専門業者から徴した見積りを基にして48,020,223円と積算したが、その後施工の過程で発見された地中の礫(れき)、コンクリート片等の障害物を除去するために土留め工の施工を一時中断したため工期が延びるとともに設計数量が変更になったことなどから、施工業者から再度見積りを徴し、この見積りに記載されていた施工数量、工事費をそのまま認めて契約額を18,773,105円増額する契約変更を行っている。
 しかして、上記の当初積算額及び契約変更の際の積算額の内訳についてみると、次のとおり適切でないと認められる点がある。

 (ア) 掘削等に使用する機械器具の損料及び使用料については、当初10,369,002円と積算したが、工事の中断に伴って工事期間が当初の54日間から71日間に延長されることになったことから、全中断期間分として8,243,506円を増額し18,612,508円としている。しかし、上記の機械器具は、工事中断の後に解体撤去し、工事再開前に再び搬入、組立てされていたものであるから、工事中断期間の全部を損料、使用料増額の対象とする必要はなく、上記の積算額は8,149,523円が過大であったと認められる。

 (イ) 掘削機械の運搬費及び仮設設備の仮設費については、工事の開始時及び終了時のほかに(ア)のように工事中断の後に機械や設備をいったん解体撤去し、工事再開時に再び搬入の上組み立てたことから、当初積算額と同額の1,830,000円を増額し3,660,000円としている。しかし、妥当と認められる方法により積み上げ計算すると当初の積算額は592,762円が過大であり、したがって、最終積算額は1,185,524円が過大であったと認められる。

 (ウ) 掘削工費及び排泥土処理費については、当初703m3 分16,739,676円(1m3 当たり掘削費18,175円、排泥土処理費5,630円)と積算したが、その後施工数量が864m3 に増加したとして4,597,668円を増額し21,337,344円としている。しかし、上記の積算単価を妥当と認められる方法により積み上げ計算すると適正単価は掘削費13,225円、排泥土処理費6,054円となり、また、施工数量は設計掘削断面分に余掘り分を見込んでも814m3 程度であって、上記積算額は5,637,129円が過大であったと認められる。

 (エ) コンクリート工事については、コンクリート打設量が当初見積りの773m3 から945m3 に増加したとして、当初積算額5,027,750円を1,017,050円増額し6,044,800円としている。しかし、このコンクリート打設量は、設計断面分に余巻き分を見込んだとしても849m3 程度であり、上記の積算額は439,652円が過大であったと認められる。

 いま、上記の各項により、また、当局の積算において過少積算となっていたガイドウォール等の工費2,885,899円を考慮するなどして工事費を修正計算すると総額102,133,290円となり、本件契約額はこれに比べて約1400万円が割高であったと認められる。

 (注)  BW工法 地中にコンクリートの連続壁を築造する際用いる工法で、一列に配置された数個の回転ビットとその両側に配置されたサイドカッターによって土砂を溝状に掘削し、ポンプで水を循環させて水とともに土砂を排出し、掘削完了後溝に鉄筋コンクリートを打設する。主に地下鉄や建物地下室施工の際の掘削に先立って土留めとして施工される。