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  • 昭和50年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 所管別の事項|
  • 第1 総理府|
  • (防衛庁)|
  • 本院の注意により当局において改善の処置を講じた事項

液体酸素の調達について


(2) 液体酸素の調達について

 航空自衛隊では、航空機とう乗員の吸入用酸素として使用する液体酸素(以下「液酸」という。)を毎年度多量に購入している(昭和50年度購入量603,886l、購入価額6969万余円)。この液酸の受入れ、保管の方法は、液酸製造業者にタンクローリ車で輸送搬入させ、各航空基地に設置してある液酸タンク注入渡しで受け入れ、以後このタンクに貯蔵保管している。そして、このタンクは、航空自衛隊で定める「仕様書」に基づき、基地ごとに異なる使用量に関係なく、比較的容量の小さい規格(2,000l又は3,000l)のものが設置されている。

 しかして、千歳ほか5基地において購入した液酸(50年度購入量470,700l、価格1l当たり101円50〜134円)について検査したところ、配備する航空機の関係から現在の使用量又は近い将来の使用見込量が多量に上るのに、設置されているタンクの容量が小さいため、多くの回数に分割して搬入させていることによって、割高な液酸を購入している状況であった。

 このようなことから、これら各基地のタンクを大型化すれば、一度に多量の液酸を搬入させることができるので、小型のタンクで受け入れる場合より輸送経費の減少などの要素によって割安な価格で液酸を購入することができ、他方、タンクは耐用年数が10年であり、これを大型化することによる設置工事費の増は購入価額の低減分で早期に償却されるところから、以後毎年度相当に経費を節減できると認められた。そして、上記各基地のうち千歳、百里、小松、新田原の4基地については、在来のタンクが更新の時期に来ているのでこれを大型のものに更新すれば経済的であることはもとより、他の松島、那覇両基地についても、更新時期が来ていないタンクを大型のものに取り替えた場合、使用可能な在来のタンクを使用しなくなる不経済を考慮してもなお経済的であると認められた。

 上記について当局の見解をただしたところ、航空自衛隊では、51年5月に液酸使用量の多い基地のタンクを大型化する方針を決定し、7月に前記の「仕様書」を改定し、8月に百里、新田原両基地のタンクを8,100l(又は8,496lの容量のものに大型化するとともに、9月に液酸購入契約を変更(1l当たり70円又は77円)した結果、今後年間600万円程度廉価に購入できるようになった。また、残りの4基地についてもタンクを大型化する計画が進められており、その液酸購入費は年間1300万円程度低減することが見込まれている。