昭和５２年度決算検査報告
| 会計名及び科目 | 国有林野事業特別会計 | (国有林野事業勘定) | (項)国有林野事業費 (項)国有林野治山事業費 |
| (治山勘定) | (項)北海道治山事業費 |
| 部局等の名称 | 旭川営林局ほか７営林局(注) |
| 購入物品 | 造林等の各種事業用及び庁用のシート537枚、安全ロープ199巻、天幕7張、マット3巻及び8枚 |
| 購入価額 | 38,723,600円(うち昭和53年度契約分300,000円) |
| 契約の相手方 | 有限会社渡辺商会ほか13名 |
| 契約 | 昭和52年2月〜53年5月 随意契約 |
| 支払 | 昭和52年4月〜53年5月 68回 |
| (うち53年度支払分2回860,000円) |
これらの物品の不当な価格での売込みに対して適切な処置を講じないままその購入を繰り返したため、購入価額が約３３００万円高価となっていると認められる。
（注） 旭川営林局ほか７営林局 旭川、帯広、札幌、函館、青森、秋田、前橋、長野各営林局
（説明）
これらの物品は、造林等の各種事業用及び庁用として上記各営林局で購入したものである。
しかして、これらの物品は、本院の調査によればいずれも市中で一般に販売されているものであって、これら物品の購入価格と本院が調査した市販価格等とを対比してみると、次のとおり、本件購入価格は市販価格等を著しく上回っている。
| 品目 | (品質・規格) | 単位 | 本件購入単価 | 市販価格等 | |
| 円 | 円 | ||||
| シート | (ポリエチレン製 | 3.6m×5.4m) | 1枚 | 30,000〜 60,000 |
2,000〜 2,250 |
| 〃 | (合成繊維製 | 〃 ) | 〃 | 35,000又は 60,000 |
13,000又は 13,650 |
| 〃 | (綿帆布製 | 〃 ) | 〃 | 43,600〜 62,000 |
12,000〜 15,600 |
| 安全ロープ | (ナイロン製 | 径12mm×100m) | 1巻 | 25,000又は 60,000 |
4,250又は 5,500 |
| 〃 | ( 〃 | 径12mm×200m) | 〃 | 50,000又は 60,000 |
9,500〜 12,300 |
| 天幕 | (ビニロン帆布製 | 3.6m×5.4m) | 1張 | 250,000又は 400,000 |
85,000〜 152,000 |
| マット | (ゴム製 | 0.9m×20m) | 1巻 | 125,000 | 18,000 |
| 〃 | (ビニール製 | 0.9m×1.72又は1.8m) | 1枚 | 60,000又は 100,000 |
12,000又は 22,680 |
そして、これら物品の購入の経緯についてみると、前記の各営林局では、団体等の職員と称する者数名から長時間にわたり執ように物品購入の要請を受けるなど異常な状況のもとで、契約事務を行う権限を持たない経営部長等がその購入及び購入価格を約束し、これに従って契約事務を行う権限を持っている経理課長等は価格調査を行う十分な余裕もないまま上記団体等の職員と称する者から物品納入の依頼を受けた有限会社渡辺商会等と経営部長等が約束した価格により契約を締結し、この種の購入契約を繰り返して行ったものである。
しかし、上記の価格は、これらの物品の販売業者について調査すれば著しく高価であることが判明したと認められるのに、このような事態の再発を防止するための対策も講じないまま同様の購入を繰り返したのは、その処置当を得ないと認められる。
いま、仮に本件物品を市販価格等によって購入したとするとその価額は５，６７３，６１０円となり、本件購入価額はこれに比べて約３３００万円高価となっていると認められる。