日本国有鉄道(以下「国鉄」という。)では、経営の近代化、合理化を図るとともに輸送設備の改善を行い旅客及び貨物の輸送力を増強するなどのため、線路設備、駅設備及び貨物ターミナル等の設備を新増設し、業務改善のための機械、装置等を購入するなど毎年多額の投資を行っている。これを昭和52年度の工事勘定の決算額についてみても安全、公害、合理化等関係3572億0656万余円、新幹線の輸送設備関係3561億4040万余円、大都市圏の輸送設備関係984億9220万余円及び幹線の輸送設備関係944億9041万余円、総額9063億2958万余円の多額に上っている。また、これら経営改善のための設備投資は、数年を目途に計画が進められているものも多く、一連の施設、設備等が完成するまでの間、未しゅん功又は未か働の施設として建設仮勘定に計上されているが、この勘定の52年度末残高をみても1兆4545億2330万余円(うち東北新幹線東京・盛岡間の建設費9663億6074万余円)に及んでいる。
これらの投資のうち貨物関係の施設、設備を中心にその建設状況を調査し、併せて既に完成したこれらの施設、設備や既に各部局に配備されている機械、装置等についてそのか働状況を調査するとともに、これらの投資についてその効果を検討したところ、次のとおり、適当でないと認められる事態が見受けられた。
1 貨物関係等の施設、設備の建設工事が計画に比べて著しく遅延していたり、完成した施設、設備が極めて非効率に使用されているもの | |
1457億3793万余円 |
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2 配備された機械、装置等が全く使用されていなかったり、極めて非効率に使用されているもの | |
124億7251万余円 |
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(1) 携帯用無線機等列車の安全、職員の事故防止、公害の防止等に関する機械、装置 | |
45億0409万余円 | |
(2) マルチプルタイタンパ等の保線機械 | 35億9935万余円 |
(3) 総合回路試験装置等車両の検修用装置、機械 | 18億0131万余円 |
(4) その他コンテナ情報システム装置 | 25億6774万余円 |
計 |
1582億1044万余円 |
これらのうち主な事例は別記のとおりであるが、このように多額の資金を投じて建設された施設、設備又は配備された機械、装置等がその効果を発揮しないままいたずらに年月を経過し、これらの投資額に係る利息(52年度末までの累計推算額約432億円)等の経費負担も年々累増している状況である。
このような事態を生じたのは、施設、設備の建設工事については、用地の取得、支障物件の移転、損失の補償等の交渉及び設計に関する地元地方公共団体等との協議が難航していること、土地収用法(昭和26年法律第219号)に基づく事業認定の手続が停滞していることが主な原因と認められ、また、機械、装置等については、その使用について労使間で合意が得られず調整に時日を要していることが主な原因と認められる。
すなわち、国鉄では、建設工事を推進するに当たって、施設用地の取得等の交渉は、地方公共団体、関係地域住民等の理解と協力を得て進める要があるとして原則として任意協議により行っているが、国鉄の輸送関係施設の増強は広域的輸送需要に対処するたのものであっても、住民が利用する駅等の場合を除いては地域住民に与える直接の便益が少なかったり、新設の路線、施設等により一体となっていた地域が分断されるなど生活環境の変更を伴ったり、ときには当該地域の整備計画が変更を余儀なくされたりするなどの事態を生じ、また、特に近年公害に対する国民的関心の高まりは公的な国鉄の施設、設備等にも及んでおり、これらの施設、設備等から発生する騒音、振動等に対する処理の基準について必ずしも十分な合意が得られていない事情等もあって、これら地元との協議が難航していて、なかには訴訟が提起されひいて行政当局での土地収用法に基づく事業認定手続が停滞し工事を計画どおり行うことが困難になっているものもある状況である。
また、経営の近代化、合理化のために導入した機械、装置及び設備等については、これらの機械等の導入が大なり小なり職員の労働条件の変更を伴うものであるところから、労使間協定等により、事前協議及び団体交渉においてその計画内容、労働条件等について労使間で協議することとしているが、要員の合理化問題、職場環境の整備等、労使間で解決すべき事柄が多いためその調整に長期間を要する事例が少なからず見受けられる一方、当局としては業務上の使用を開始するに先立って当該機械等を試験的に使用して機能の確認を行う必要があることやこれらの試験的使用と並行して要員の再教育、訓練等を行い使用方法を習得させる必要があることなどのため労使間の最終的合意が得られる前にこれらの機械等を購入していて、購入の時期が早すぎたり、購入数量が多すぎたりすることとなったものもあることによると認められる。
しかして、これら関係地域住民等との交渉や労使間の事前の協議は、関係当事者の努力により好転しつつあるものもあるが、既に数年から十数年を経過しているのになお未解決になっているものが数多く見受けられ、このため前記のような事態を招来していると認められる。
国鉄においては、近年多額の損失を生じている財政の再建策の一環として、貨物関係を含む多くの分野で経営の近代化、合理化のための設備投資を行う一方、輸送需要の変動に対処するための線路設備の増強や停車場設備の整備あるいは老朽施設の更新等の投資を必要としているが、前記の貨物関係等の投資や機械、装置等の導入にみられるように、毎年多額の投資を行いながらその効果の発現がはかばかしくない状態が今後も継続すると、経営の改善が進ちょくせず、目下の急務とされる財政の再建にも支障を来たすばかりでなく、輸送需要の変動に対応した的確なサービスの提供が図られないこととなると認められる。
記
1 貨物関係等の施設、設備の建設工事が計画に比べて著しく遅延していたり、完成した施設、設備が極めて非効率に使用されているもの
<事例1>
東京貨物ターミナルほか3貨物ターミナルの新設及び東海道本線大府・名古屋間線路(以下「南方貨物線」という。)の増設
工事件名 | 総工事費 | 52年度までの工事費 | 営業開始時期・設備能力等 | ||
当初計画 | 52年度末現在 | 計画 | 実行・実行予定(53年9月末現在) | ||
八田貨物ターミナル新設 |
千円 18,300,000 |
千円 26,137,000 |
千円 20,534,956 |
・50年3月に年間180万tで営業開始予定 |
・56年3月に年間120万tで営業開始見込み |
鳥飼貨物ターミナル新設 | 12,000,000 | 18,430,000 | 10,105,506 | ・50年3月に年間220万tで営業開始予定 | ・57年3月に年間120万tで営業開始見込み |
南方貨物線増設 | 18,400,000 | 35,777,154 | 25,160,702 | ・46年10月に開通予定26.1km | ・57年10月に開通見込み26.1km |
小計 | 48,700,000 | 80,344,154 | 55,801,164 | ||
東京貨物ターミナル新設 | 43,910,000 | 45,227,124 | 40,943,701 | ・48年10月に年間200万tで営業開始予定 ・50年3月に年間580万tに増強予定 |
・48年10月に年間200万tで営業開始 ・50年3月に年間260万tに増強 ・51年3月に年間360万tに増強 |
箱崎港貨物ターミナル新設 | 6,800,000 | 9,239,700 | 7,611,758 | ・50年3月に年間180万tで営業開始予定 | ・50年3月に年間96万tで営業開始 ・51年7月に年間120万tに増強 |
小計 | 50,710,000 | 54,466,824 | 48,555,459 | ||
合計 | 99,410,000 | 134,810,978 | 104,356,623 |
国鉄では、貨物需要の伸長を図るため特別急行貨物列車の直行定期便でコンテナ貨物を輸送することとし、その拠点基地の体系的な整備を行ってこれらを有機的かつ一体的に運用して貨物輸送の効率化を図ることとしている。
しかして、上掲の東京ほか3貨物ターミナルは、東海道及び山陽方面の拠点基地として新設するものであり、また、南方貨物線は、この貨物専用線を増設することによって、通勤、通学等の輸送需要の増大により過密化してきている東海道本線名古屋付近の旅客の輸送を円滑にするとともに貨物の輸送力を増強し、かつ、この貨物線上に新設する八田貨物ターミナルヘの貨物直行輸送を可能とするため計画されたものである。そして、これらの設備は、46年10月から50年3月までの間に営業を開始する予定で、41年5月から45年2月までの間に新増設工事に着手している。
しかしながら、このうち八田、鳥飼両貨物ターミナル及び南方貨物線は、工事の完成が著しく遅延し、その営業の開始時期は、当初計画より6年から11年遅れ56年3月から57年10月までの間になることが見込まれている状況である。このように工事の完成が遅れているのは、地域分断による発展阻害、都市計画への支障並びに鉄道、フォークリフト、トラック等から発生する騒音、振動及び排出ガス等の公害などを理由とした地元の反対運動があり、特に南方貨物線は、新幹線との並行区間があり新幹線のほかに更に同貨物線の公害が加わることによる反対があるほか、同区間を含む新幹線の騒音、振動の差止め等を求めて訴訟も提起されている状況で、国鉄ではこのような情勢に対処するため防音壁、緩衝地帯の設置、道水路等の整備など各種の公害防止対策、環境保全対策を執る一方、一部について工事の中止、着工の見合わせを行うほか一旦提出した土地収用法に基づく事業認定の申請も取り下げるなどの措置を講じてはいるものの、地元住民の理解を得るに至らず、このため用地買収等が著しく難航していることなどによると認められる。この結果、52年度末までに投資した工事費558億0116万余円は、効果の発現が著しく遅延している。
また、東京、箱崎港両貨物ターミナルはそれぞれ既に48年10月及び50年3月から営業を開始しているが、近代化、省力化及び大量コンテナ取扱いによる荷役の効率化を目的とした自動荷役関係の設備及びこれと結合する電子計算機等(52年度末までに要した工事費相当額21億1723万余円)の導入については、コンテナ取扱量が計画に比べて大幅に減少する見込みとなったことなどから、導入方法の検討に時日を費していることなどのため、労使間の事前協議の正式提示に至らず設備等が未完成のまま遊休している。
しかして、東京、箱崎港両貨物ターミナルの貨物取扱実績(52年度213万t)をみると、景気回復の遅れ、不安定輸送等の影響もあるが、前記の各貨物ターミナル及び貨物線が相互に密接な関連を有する貨物輸送の基幹施設としての機能を発揮することにより貨物輸送の合理化等に資することを目的として計画されたものであるのに、これらのうち上記2基地だけの営業を余儀なくされていることもあって、設備の取扱能力(52年度480万t)に比べ著しく低くなっており、貨物輸送の合理化、効率化のために52年度末までに投資した485億5545万余円はその効果が十分発揮されていないばかりでなく、予定していた顧客サービスも十分に提供されていない結果となっている。
<事例2>
この工事は、在来線を運行する長距離列車の汚物処理の改善を図るため、運転所、電車区等の車両基地に特別急行用及び急行用車両等に取り付けた貯留装置から汚物を抜き取って処理するための地上設備を設置するもので、国鉄ではこの設備を全国に22箇所(注2)
設置する計画で、53年10月までに完成してか働させることを予定していたものである。しかし、53年10月現在実際にか働を開始しているのは品川客車区ほか8箇所にすぎず、残りの13箇所については地元住民の感情的な反対があり、しかも関連する下水道の整備が遅れていることもあって、終末処理の方式等について地元との協議に長期間を要しているなどのため、その進ちょく状況は、(1)全く着工できないもの 田町電車区及び向日町運転所、(2)工事を中止しているもの 南福岡電車区(52年度末までの工事費1億5457万余円)、(3)施工中であるが工事が遅延しているもの 青森運転所ほか9箇所(同23億9542万余円)となっていて、施工中のものもそのか働の開始時期は計画に比べて最長5年余、平均3年程度遅れることが見込まれている状況であり、田町、神領両電車区についてはか働開始の見込みさえ立っていない。
このため、車両に取り付けた貯留装置2千余両分(財産価額約36億円、この価額は本文2(1)の金額に含めてある。)は使用することができないで、暫定的に流し管を取り付けて従来どおり線路に排出しており、公害防止のために取り付けたこの装置がその効用を全く発揮していない。
(注1) 田町電車区列車汚物処理設備新設ほか12工事 田町電車区、向日町運転所、南福岡電車区、尾久客車区東大宮派出所、青森運転所、長野運転所、札幌運転所、函館運転所、神領電車区、高松運転所、早岐客貨車区、鹿児島運転所、大船電車区各列車汚物処理設備新設工事
(注2) 22箇所 (注1)に掲記してある13箇所のほか品川客車区、宮原客車区、仙台運転所、秋田運転区、金沢運転所、新潟運転所、日根野電車区、下関運転所、幕張電車区
2 配備された機械、装置等が全く使用されていなかったり、極めて非効率に使用されているもの
(1) 列車の安全、職員の事故防止、公害の防止等に関する機械、装置
<事例>
機械の名称 | 購入年度 | 数量 | 財産価額 | 配備箇所 |
携帯用無線機 |
45年度から 52年度まで |
台 4,248 |
千円 491,769 |
釧路鉄道管理局ほか26鉄道管理局(注) |
この無線機は、運転士や操車係、車掌、駅員等が操車場、貨物駅等で車両の入換え作業を行う際の相互連絡、又は、列車事故の発生等の際の列車の運転管理のための連絡に使用するもので、従来は手旗又は合図燈等を使って行っていたものを、この無線機を使用することによって構内作業の事故防止、列車の運転管理の近代化及び運転保安度の向上等を図ることを目的として、44年度から52年度までに計26,193台を逐次購入している。
しかして、新しい機器等を導入するに当たって労使間で事前に行うことになっている使用条件等についての協議において、この無線機は、合図信号が断続的に発生し、しかも高音であるため、耳に有害であり、乗務員に精神的負担を与えること、また、一部の無線機については重量の点で作業性が悪いことや無線機置台の取付位置が悪いことなどの主張が出され、一部の操車場、貨物駅等で、その使用開始について労使間の合意が得られないため、上掲の4,248台は全く使用されておらず、従来どおり手旗又は合図燈等を使用して作業が行われている。
(注) 釧路鉄道管理局ほか26鉄道管理局 釧路、旭川、札幌、青函船舶、盛岡、秋田、仙台、新潟、高崎、千葉、東京北、東京南、東京西、長野、静岡、名古屋、金沢、大阪、天王寺、福知山、米子、岡山、広島、門司、大分、熊本、鹿児島各鉄道管理局
(2) 保線機械
<事例1>
これらの機械は、まくら木の更換、砕石のつき固め、軌道の高さの整正等の軌道の保守作業に使用するもので、従来の人力を主体とした作業方式では列車回数の増大等に対処することが困難となってきたので、これらの保線機械を導入することにより作業の近代化、能率の向上を図ることを目的として、39年度から52年度までに計1,700台を逐次購入している。
しかして、これらの機械については、「軌道保守用機械の活用及び今後の導入について(昭和48年9月検第282号)」をもって日本国有鉄道総裁あてに、か働率が低いので有効に活用し、今後の導入についても機械が遊休することのないよう十分配慮をするよう改善の処置を要求しており、これを受けて国鉄では作業要員の養成、教育設備の増強を行い、機械作業のための組織、職制についても改善を行ったことにより、か働率はかなり好転しているものの、上掲の鉄道管理局における労使間の協議で、作業を遂行するための標準人員、各種機械の組合せ等の作業方法のほか、待避線、詰所等の設置、騒音、振動に対する対策などの作業環境の整備等、労働条件について労使間での調整に時日を要し、一部の保線区等に配備している上掲の95台は軌道の保守作業に使用されるに至っていない。
(注1) マルチプルタイタンパ等 マルチプルタイタンパ30台、犬くぎ抜き機11台、犬くぎ打ち機11台、まくら木更換機15台、軌道モータカー13台、バラストスイーパ1台、バラスト作業車1台、バラスト運搬車12台、軌道用草刈機1台
(注2) 札幌鉄道管理局ほか10鉄道管理局 札幌、旭川、青函船舶、秋田、長野、静岡、名古屋、金沢、岡山、門司、鹿児島各鉄道管理局
<事例2>
これらの車両等(以下「保守用車等」という。)は、新幹線の軌道の道床バラスト(砕石)の更換等の保守作業に使用するもので、バラストの更換は、従来は在来線の場合と同様に、更換に必要なバラストをホッパー車に積み込みこれを軌道モータカー等でけん引して搬入し、取り除いたバラストは作業現場の近傍に取り捨てたり、道路から搬出していた。しかし、新幹線車両の増発に伴う作業量の増大や防音壁の設置等により従来の方法では一時に大量のバラストを搬出入することが困難で非能率になってきたため、大量運搬を行うとともに作業の安全、能率の向上を図ることを目的としてバラスト運搬取卸車等を購入し、また、保守作業等の終了後、新幹線車両の走行上の支障物の有無を確認する作業を行ぅためR−300形式確認車を購入するなどして保守作業の近代化を図ることとしたもので、48年度からこれらの保守用車等計104両、13組を逐次購入している。
しかし、これらの保守用車等を配備する予定の保守基地又は中間横取基地(注3)
について、騒音、粉じんなどで基地周辺の環境が悪化するおそれがあるとする関係地域住民との間で協議が難航して、完成が遅延しているため、上掲の保守用車等16両、5組はいずれも使用されておらず、従来どおりの方法で作業が行われている。
(注1) バラスト運搬取卸車等 バラスト運搬取卸車14両、R−300形式確認車1両、緩急車1両、機械式横取装置5組
(注2) 東京保線所ほか2保線所 東京、名古屋、大阪各保線所
(注3) 中間横取基地 保守基地間の距離が長く、作業現場との往復に時間を要し、作業能率が低下するので、保守作業の能率向上と保守機械の故障時における待避を目的として、停車場間及び停車場構内に設けられた保守用車収容設備である。
(3) 車両の検修用装置、機械
<事例>
装置の名称 | 取得年度 | 数量 | 財産価額 | 設置箇所 |
総合回路試験装置 |
49年度から 50年度まで |
一式 |
千円 1,114,587 |
博多総合車両部 |
この装置は、新幹線電車の運行前に行う仕業検査、定められた期間あるいは走行距離ごとに行う交番検査及び臨時検査を行う際に電車に取り付けられている自動列車制御装置の特性及び動作等各種装置の性能等の検査を行うもので、従来は車内と試験室等との間で電話で連絡しながら順次各装置ごとに検査を行い、その結果を手書きで記録していたのに対し、この装置を使用すると操作盤を運転台の中継箱につなぐだけで、自動的に検査及び記録が同時に行われるため、これにより検査及びデータ処理の能率の向上と検査の精度の向上とを図ることを目的として、50年3月、博多総合車両部の開設に伴い設置したものである。しかし、この装置で検査を機械化することによって要員が削減され、また、高能率化による検査作業時間の短縮、作業ダイヤの変更など労働条件の変更を伴うものであり、使用条件についての労使間協議において労使間で合意が得られず、自動列車制御装置の検査について本件装置の一部の機器を、しかも手動で使用しているだけで、その他の検査については全く使用することなく、従来の方式により検査を行っている。
(4) その他
<事例>
装置の名称 | 取得年度 | 数量 | 財産価額 | 設置箇所 |
コンテナ情報システム中央処理装置及び端末装置 |
48年度から 52年度まで |
一式、42組 |
千円 2,567,740 |
中央情報システム管理センター、帯広駅ほか41駅(注) |
このシステムは、中央情報システム管理センターに中央処理装置を、全国147貨物駅に端末装置をそれぞれ設置して、これら各装置間をオンラインシステムで結ぶことによって、荷主の申込みの受付から配達完了までのコンテナ輸送の全過程を管理するもので、従来の業務処理方法では発送日の前日にならないと運送の可否がわからなかったり、到着後の配達日時が不明確であったりなどして荷主が出荷計画を立てにくく、また、事故等の輸送異常時における貨物の所在場所、その他の問合せに対する回答に時間を要し荷主に十分なサービスの提供が困難であったのに対し、これらの装置を設置し、貨物駅の情報を基にコンテナ輸送の全過程を管理することによって集荷配達の日時等が明確になり、到着予報や各種の荷主の問合せに対する即答等が可能となるものでコンテナ取扱量の増進及び荷主へのサービスの向上と、併せて予約の受付、帳票類の機械発行等の事務の合理化とを図ることを目的として、52年度末までに58駅に端末装置を設置することとしていたものである。しかし、本件装置の設置を完了している帯広ほか32駅と、装置の購入、建て家等付帯設備の工事は完了しているが装置が未設置のままとなっている東青森駅ほか8駅計42駅については、要員養成の充実、保守体制の整備、端末取扱者の処遇等使用条件について調整に時日を要しているため使用しておらず、このため中央処理装置も極めて非効率に使用される結果となっている。
(注) 帯広駅ほか41駅 帯広、浜釧路、北旭川、北見、函館、弘前、南長岡、酒田港、水戸、日立、土浦、千葉貨物ターミナル、西浜松、東静岡、岐阜、四日市、富山、南福井、梅小路、姫路、湊川、淀川、西岡山、東福山、東水島、周防富田、大竹、防府、宇部、下関、西大分、熊本、鹿児島、東青森、盛岡貨物ターミナル、八戸貨物、秋田操、宇都宮貨物ターミナル、田端操、隅田川、新座貨物ターミナル、塩浜操各駅