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資金運用部資金の貸付額が過大になっているもの


(4) 資金運用部資金の貸付額が過大になっているもの

資金名 資金運用部資金
部局等の名称 沖縄総合事務局
貸付けの根拠 資金運用部資金法(昭和26年法律第100号)
貸付先 沖縄県
貸付対象 自然災害防止事業
貸付金額 642,000,000円
過大貸付金額 136,012,492円
 

 沖縄県に対する642,000,000円の貸付けにおいて、貸付けの対象と認められないものに貸し付けていたため、貸付額が136,012,492円過大になっていると認められる。

1 貸付金の概要

 大蔵省(沖縄総合事務局を含む。)では、資金運用部資金法(昭和26年法律第100号)の規定に基づき、地方公共団体が公共施設の建設事業費等の財源として自治大臣又は都道府県知事の許可を得て地方債を起こす場合、この起債の対象とした事業に対して普通地方長期資金(注1) を貸し付けている。
 そして、自治大臣又は都道府県知事の地方債の許可は、地方債許可方針等(注2) により行うこととされ、大蔵省の普通地方長期資金の貸付けの決定に当たっても、この地方債許可方針等に従って行うこととされている。
 この普通地方長期資金の貸付けは、地方公共団体が予算に定める地方債の限度額を限度とし、貸付対象事業費から貸付対象事業の財源として受け入れた補助金、負担 金、寄附金等を控除した額に所定の充当率を乗じて得た額を貸付金額として、貸付対象事業が完了した後において行われることになっている。
 自然災害防止事業については、地方債許可方針等によれば、地方債の許可の要件として地方公共団体が単独で自然災害を未然に防止するために実施する河川等の事業であること、また、一般的調査費、維持管理費等の経費は対象とならないことなどとされている。そして、これらの要件を満たす事業にこの資金の貸付けが行われることとなっている。
 沖縄県が昭和63年度に実施した自然災害防止事業(新里地すべり流路工整備工事ほか70事業から構成されている。以下「本件起債事業」という。)については、この事業に必要な資金732,195,994円の一部として、642,000,000円を平成2年3月に貸付利率年6.2%で貸し付けている。同県では、この事業の資金として、このほか市中銀行から89,000,000円の貸付けを受けている。

2 検査の結果

 本件起債事業に対する貸付けについて検査したところ、上記の71事業のうちには、次のとおり、貸付けの対象とは認められない事業が20事業(貸付対象外事業費総額156,063,800円)含まれていた。

〔1〕  国庫補助事業(河川改修工事等)の施工管理業務を外部に委託したもの、国庫補助事業(護岸工)の施行に当たり生じた湧水等により軟弱化した地盤を改良したものなど国庫補助事業の実施に伴って必要となった事業で、県が単独で実施する自然災害防止事業とは認められない事業を貸付けの対象としていたもの

12事業

貸付対象外事業費

137,383,800円)

〔2〕  水源地の汚染の原因究明のために行った水質調査など一般的調査に係る事業を貸付けの対象としていたもの 

4事業

8,770,000円)

〔3〕  河川管理のための防護柵を設置する工事など維持管理に係る事業を貸付けの対象としていたものなど 

4事業

9,910,000円)

 したがって、本件起債事業について貸付対象事業費732,195,994円から上記貸付対象外事業費156,063,800円を控除して適切な貸付対象事業費を計算すると576,132,194円となり、これに対する適切な貸付金額は貸付対象事業費と同額の576,132,194円となる。そして、本件貸付金額642,000,000円にその他資金89,000,000円を加えた731,000,000円とこの適切な貸付金額との差額154,867,806円を資金運用部資金の貸付金額とその他資金の金額とであん分すると、資金運用部資金については136,012,492円が過大な貸付けとなっている。
 なお、本件の過大な貸付金額については、繰上償還の措置を執ることになった。

(注1)  普通地方長期資金 予算をもって国会の議決を経た運用期間5年以上の資金運用部資金のうち地方公共団体に対して貸し付けるもの

(注2)  地方債許可方針 地方公共団体の起こす地方債を自治省が許可する場合の基本的な方針であり、資金運用部資金を貸し付ける場合の基準ともなるもので自治省と大蔵省とが協議して定める。