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健康保険及び厚生年金保険の保険料の徴収に当たり、徴収額が不足していたもの


(24) 健康保険及び厚生年金保険の保険料の徴収に当たり、徴収額が不足していたもの

会計名及び科目 厚生保険特別会計 (健康勘定) (款)保険収入 (項)保険料収入
(年金勘定) (款)保険収入 (項)保険料収入
部局等の名称 北海道ほか24都府県(2保険課及び69社会保険事務所)
保険料納付義務者 1,351事業主
徴収不足額 425,551,184円

 健康保険及び厚生年金保険の保険料の徴収に当たり、事業主からの届出に対する調査確認及び指導が十分でなかったなどのため、上記の1,351事業主について徴収額が425,551,184円(健康保険保険料173,399,454円、厚生年金保険保険料252,151,730円)不足していた。これらについては、本院の指摘により、すべて徴収決定の処置が執られた。

1 保険料の概要

(健康保険、厚生年金保険)

 健康保険は、主として常時5人以上の従業員を雇用する事業所の従業員を被保険者として、業務外の疾病、負傷、分娩等に関し医療、療養費、傷病手当金、出産手当金等の給付を行う保険である。また、厚生年金保険は、主として常時5人以上の従業員を雇用する事業所の65歳未満の従業員を被保険者(注1) として、老齢、死亡等に関し年金等の給付を行う保険である。

(保険料の徴収)

 保険料は、被保険者と事業所の事業主とが折半して負担し、事業主が納付することとなっている。
 そして、これらの事業主は、都道府県の保険課又は社会保険事務所に対し、次の届け書を提出することとなっている。

(ア) 新たに従業員を雇用したときには、資格取得年月日、報酬月額等を記載した被保険者資格取得届

(イ) 毎年8月には、同月1日現在において雇用している被保険者の報酬月額を記載した報酬月額算定基礎届等

(ウ) 被保険者の報酬月額が所定の範囲以上に増減したときには、報酬月額変更届

 これらの届け書の提出を受けた都道府県の保険課及び社会保険事務所は、届け書に記載された被保険者の報酬月額に基づいて標準報酬月額(注2) を決定し、これに保険料率を乗じて得た額を保険料として徴収している。
 このほか、事業主は被保険者に対して賞与等の支払を行ったときには、その支払総額等を記載した賞与等支払届を提出することとなっている。この届け書の提出を受けた社会保険事務所は、賞与等の総額に特別の保険料率を乗じて得た額を健康保険の保険料として徴収している。

(注1)  被保険者 厚生年金保険では、主として総トン数5トン以上の船舶を有する者に雇用される65歳未満の船員も被保険者とされている。

(注2)  標準報酬月額 健康保険では第1級68,000円から第39級710,000円まで、厚生年金保険では第1級80,000円から第30級530,000円(平成元年11月までは第1級68,000円から第31級470,000円)までの等級にそれぞれ区分されている。被保険者に実際に支給される報酬月額はこの等級のいずれかに当てはめられる。

2 検査の結果

(検査の対象)

 北海道ほか25都府県の2保険課及び71社会保険事務所管内の315,884事業主のうち3,685事業主を対象として、都道府県における保険料の徴収の適否について検査した。

(徴収不足の事態)

 検査したところ、北海道ほか24都府県の2保険課及び69社会保険事務所の管内の1,351事業主について、徴収額が425,551,184円(健康保険保険料173,399,454円、厚生年金保険保険料252,151,730円)不足していた。これは、上記の25都道府県において、事業主が前記の届出に当たり、制度を十分理解していなかったり、誠実でなかったりなどして、次のように届出を適正に行っていなかったのに、これに対する調査確認及び指導が十分でなかったことなどによるものである。

(ア) 資格取得年月日の記載が事実と相違していた。

(イ) 報酬月額に算入しなければならない諸手当を算入していなかった。

(ウ) 資格取得届の提出を怠っていた。

 なお、これらの徴収不足額については、本院の指摘により、すべて徴収決定の処置が執られた。
 これらの徴収不足額を都道府県別に示すと次のとおりである。

健康保険及び厚生年金保険の保険料の徴収に当たり、徴収額が不足していたものの表1