会計名及び科目 | 国有林野事業特別会計(治山勘定) (項)治山事業費 |
部局等の名称 | 東京営林局 |
工事名 | 由比不動沢治山工事 |
工事の概要 | 直轄地すべり防止事業の一環として、地すべりを抑止するため、鋼管杭84本の杭打工を施工する工事 |
工事費 | 222,480,000円 |
請負人 | 株式会社木村組 |
契約 | 平成元年6月 指名競争契約 |
しゅん功検査 | 平成2年3月 |
支払 | 平成元年7月、12月、2年3月 3回 |
割高になっている工事費 | 1250万円 |
1 工事の概要
この工事は、直轄地すべり防止事業の一環として、静岡県庵原郡由比町今宿地区の地すべりを抑止するため鋼管杭打工を施工したものである。上記鋼管杭打工は、30kw級の大口径ボーリングマシン(以下「ボーリングマシン」という。)等により山腹法面を鉛直に削孔して、その中に径300mm及び318.5mm、長さ11mから27mの鋼管杭84本を建て込み、建て込んだ後の中空部分及び地山との空げきにモルタルを注入し、杭と地山を一体化させる工事である。
工事費の積算に当たっては、林野庁制定の治山事業設計標準歩掛に基づき東京営林局が制定した治山事業設計積算要領(以下「積算要領」という。)により、ボーリングマシンの経費に労務費などを合計して鋼管杭打工費を算出し、これに泥水運搬費等を加えて直接工事費を156,159,000円と算定していた。このうち、ボーリングマシンの経費は、ボーリングマシンの運転時間に1時間当たりの機械損料を乗じて算出していた。そして、ボーリングマシンの運転時間は、削孔に要する時間に杭の建て込みに要する時間を加えるなどして算出したものである。
2 検査の結果
鋼管杭打工費の積算について検査したところ、ボーリングマシンの経費が、次のような誤りのため、過大に算出されていた。
(ア) ボーリングマシンの運転時間の算出の基になる削孔に要する時間の算出に当たって、杭の径による補正係数1.0を用いるべきであったのに、誤って1.1を用いていた。
(イ) ボーリングマシンの1時間当たりの機械損料は、積算要領によれば、8,530円であるのに、誤って、ボーリングマシンの機械損料とは関係がない機械損料や労務費等を合算した額を、ボーリングマシンの1日当たりの運転時間で除して17,445円と算出していた。
これらの適正な補正係数や機械損料などに基づき、鋼管杭打工費を計算すると、137,738,282円となり、これに泥水運搬費等を加えると、直接工事費は141,646,000円となる。
いま、上記により工事費を修正計算すると、積算不足となっていたボーリング盤台費等3,547,262円を考慮しても、諸経費等を含めた工事費総額は209,896,490円となり、本件契約額222,480,000円はこれに比べて約1250万円割高になっていると認められる。