会計名及び科目 | 一般会計 (組織)中小企業庁 (項)中小企業対策費 |
部局等の名称 | 札幌、仙台、東京、広島、福岡各通商産業局(平成元年7月1日以降は、「北海道、東北、関東、中国、九州各通商産業局」) |
助成の根拠 | 中小企業近代化資金等助成法(昭和31年法律第115号) |
事業主体 | 北海道ほか5都県 |
事業の内容 | 中小企業者に対する無利子の設備近代化資金の貸付け |
貸付先 | 8中小企業者 |
貸付金額の合計 | 118,510,000円(国庫補助金相当額59,255,000円) |
不当貸付金額 | 59,418,456円 |
補助の目的に沿わない国庫補助金相当額 | 29,709,227円 |
上記の6都道県で8中小企業者に対して行った118,510,000円の貸付けにおいて、59,418,456円の貸付けが不当と認められ、ひいては国庫補助金相当額29,709,227円が補助の目的に沿わない結果になっていると認められる。 |
1 補助金の概要
通商産業省は、中小企業者の設備の近代化に必要な資金の貸付けを行う都道府県に対し中小企業設備近代化補助金を交付している。
都道府県は、この補助金に自己資金等を合わせて資金を造成し、設備の近代化に必要な資金の調達が困難な中小企業者に対して、設備の設置に必要と認めた資金の額の2分の1以内の額を中小企業設備近代化資金として無利子で貸し付けている。その貸付金額は50万円以上3000万円以下(昭和61年度は20万円以上1500万円以下)、償還期間は5年以内(貸付対象設備が公害防止設備の場合は12年以内)となっている。そして、借主は、貸付対象設備を貸付年度中に設置すること(契約から設置まで長期間を要する場合などには、翌年度の設置も認められている。)、貸付対象事業費のうち都道府県からの貸付金相当額を貸付年度中又は貸付金受領後1月以内に、残額を翌年度の9月30日までにそれぞれ支払うことなどが貸付けの条件となっている。
2 検査の結果
この事業の実施について調査したところ、8中小企業者に対する118,510,000円の貸付けにおいて、借主が、設備を貸付対象事業費より低額で設置したり、前年度に設置したり、貸付けの条件となっている支払期限までに支払を完了していなかったりなどしていた。このため、59,418,456円の貸付けが不当と認められ、ひいては国庫補助金相当額29,709,227円が補助の目的に沿わない結果になっていると認められる。
これを都道県別に示すと次のとおりである。
都道県名 | 貸付先 | 貸付対象設備 | 貸付 昭和年月 |
貸付対象事業費 | 貸付対象として適切でない事業費 | 補助の目的に沿わない国庫補助金相当額 | 摘要 | |
同上に対する貸付金額 | 同上に対する貸付金相当額 | |||||||
千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(126) | 北海道 | 食料品製造業者 | 魚肉採取機 | 62.12 | 13,400 (6,700) |
5,657 (2,828) |
1,414 | 低額設置 |
この貸付けは、魚肉採取機1台の設置に必要な資金13,750,000円(うち貸付対象事業費分13,400,000円)の一部として、6,700,000円を貸し付けたものである。借主は、この設備を13,750,000円で設置したとしているが、実際は、購入先に行わせたとしている付帯工事を他の業者に請け負わせるなどして7,742,425円(貸付対象事業費同額)で設置していた。 したがって、この設備の設置に対する適切な貸付金額を計算すると3,871,212円となるので、本件貸付金額との差額2,828,788円が過大な貸付けとなっている。 |
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(127) | 福島県 | クリーニング業者 | 全自動洗濯脱水機ほか1 | 62.12 | 26,840 (13,420) |
26,840 (13,420) |
6,710 | 貸付対象外 |
この貸付けは、全自動洗濯脱水機2台及び乾燥機1台の設置に必要な資金27,300,000円(うち貸付対象事業費分26,840,000)の一部として、13,420,000円を貸し付けたものである。借主は、これらの設備を貸付年度に27,300,000円で設置したとしているが、実際は、前年度にこれより低額な21,300,000円で設置していた。 したがって、本件設備は貸付対象にならないものである。 |
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(128) | 東京都 | 写真製版業者 | カラー製版装置ほか1 | 62.12 | 38,500 (19,250) |
38,500 (19,250) |
9,625 | 貸付対象外 |
この貸付けは、カラー製版装置1台及び自動現像機1台の設置に必要な資金38,500,000円の一部として、19,250,000円を貸し付けたものである。借主は、これらの設備を貸付対象事業費どおりの額で設置し、その代金については、貸付けの条件となっている支払期限の昭和63年9月30日までに支払ったとしているが、実際は、代金のうち19,250,000円については長期の手形払い(63年3月から平成5年2月までの60回払い)となっていて、上記の支払期限までに支払が完了していなかった。 したがって、本件設備は貸付対象にならないものである。 |
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(129) | 東京都 | 写真製版業者 | カラー製版装置ほか1 | 63.1 | 39,600 (19,800) |
8,400 (4,200) |
2,100 | 低額設置 |
この貸付けは、カラー製版装置1台及び自動現像機1台の設置に必要な資金39,600,000円の一部として、19,800,000円を貸し付けたものである。借主は、これらの設備を貸付対象事業費どおりの額で設置したとしているが、実際は、値引きを受けて31,200,000円で設置していた。 したがって、これらの設備の設置に対する適切な貸付金額を計算すると15,600,000円となるので、本件貸付金額との差額4,200,000円が過大な貸付けとなっている。 |
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(130) | 長野県 | 電気機械器具製造業者 | 立形マシニングセンタほか2 | 62.8 | 35,587 (17,700) |
12,162 (5,987) |
2,993 | 低額設置 |
この貸付けは、立形マシニングセンタ1台、CNC旋盤2台及びCNCタッピングセンタ1台の設置に必要な資金36,100,000円(うち貸付対象事業費分35,587,000円)一部として、17,700,000円を貸し付けたものである。借主は、これらの設備を36,100,000円で設置したとしているが、実際は、値引きを受けて23,766,000円(うち貸付対事業費分23,424,040円)で設置していた。 したがって、これらの設備の設置に対する適切な貸付金額を計算すると11,712,019円となるので、本件貸付金額との差額5,987,981円が過大な貸付けとなっている。 |
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(131) | 長野県 | 塗装業者 | ボイラーほか2 | 62.11 | 15,360 (7,600) |
10,930 (5,408) |
2,704 | 低額設置及び重複融資 |
この貸付けは、ボイラー一式、表面処理装置一式及び電子計算機一式の設置に必要な資金15,360,000円の一部として、7,600,000円を貸し付けたものである。借主は、これらの設備を貸付対象事業費どおりの額で設置したとしているが、この額は契約額を水増ししたもので、実際は10,140,000円で設置していた。また、借主は、この貸付けを受ける以前に上記の設備を対象として中小企業金融公庫から長期資金7,948,300円を借り入れており、重複して貸付けを受けていた。 したがって、これらの設備の設置に対する適切な貸付金額を計算すると2,191,700円となるので、本件貸付金額との差額5,408,300円が過大な貸付けとなっている。 |
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(132) | 広島県 | 機械部品加工業者 | CNC旋盤ほか1 | 63.9 | 39,706 (19,040) |
12,600 (5,486) |
2,743 | 無断処分及び低額設置 |
この貸付けは、CNC旋盤1台及びNC横中ぐりフライス盤1台の設置に必要な資金40,570,000円(うち貸付対象事業費分39,706,318円)の一部として、19,040,000円(CNC旋盤に係る分5,274,000円、NC横中ぐりフライス盤に係る分13,766,000円)を貸し付けたものである。 借主は、これらの設備のうち、CNC旋盤(設置に必要な資金11,000,000円。貸付対象事業費同額)については、昭和63年8月に設置したが、同年11月には県に無断で売却していた。したがって、CNC旋盤に係る貸付金5,274,000円は、貸付けの目的を達成していない。 また、NC横中ぐりフライス盤(設置に必要な資金29,570,000円。うち貸付対象事業費分28,706,318円)については、29,570,000円で設置したとしているが、実際は、値引きを受けて27,970,000円(うち貸付対象事業費分27,106,318円)で設置していた。 したがって、この設備の設置に対する適切な貸付金額を計算すると13,553,159円となるので、本件貸付金額との差額212,841円が過大な貸付けとなっている。 |
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(133) | 佐賀県 | 旅館業者 | 汚水処理設備 | 61.9 | 31,410 (15,000) |
7,083 (2,836) |
1,418 | 低額設置 |
この貸付けは、汚水処理設備一式の設置に必要な資金33,500,000円(うち貸付対象事業費分31,410,722円)の一部として、15,000,000円を貸し付けたものである。借主は、この設備を33,500,000円で設置したとしているが、実際は、値引きを受けて25,877,000円(うち貸付対象事業費分24,326,910円)で設置していた。 したがって、この設備の設置に対する適切な貸付金額を計算すると12,163,454円となるので、本件貸付金額との差額2,836,546円が過大な貸付けとなっている。 |
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(126) -(133) の計 | 240,404 (118,510) |
122,174 (59,418) |
29,709 |