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労働保険の保険料の徴収に当たり、徴収額に過不足があったもの


(163) 労働保険の保険料の徴収に当たり、徴収額に過不足があったもの

会計名及び科目 労働保険特別会計(徴収勘定) (款)保険収入 (項)保険料収入
部局等の名称 北海道労働基準局ほか24労働基準局、福島県ほか5府県
保険料納付義務者 徴収不足があった事業主数 588事業主
徴収過大があった事業主数 229事業主
徴収過不足額 徴収不足額 316,522,476円
徴収過大額 103,695,188円

 労働保険の保険料の徴収に当たり、事業主からの申告に対する調査確認が十分でなかったため、上記の588事業主について徴収額が316,522,476円不足しており、229事業主について徴収額が103,695,188円過大になっていた。これらについては、本院の指摘により、すべて徴収決定又は還付決定の処置が執られた。

1 保険料の概要

 (労働保険)

 労働保険は、労働者災害補償保険(以下「労災保険」という。)及び雇用保険を総称するもので、いずれも、工場、事務所、商店等に雇われる労働者を被保険者としている。このうち、〔1〕 労災保険は業務上の事由又は通勤による負傷、疾病等に対する療養補償給付等を、また、〔2〕 雇用保険は失業等に対する失業給付等を行う保険である。

 (保険料の徴収)

 保険料は、労災保険分については事業主が負担し、雇用保険分については、失業給付に充てる部分を被保険者と事業主とが折半して負担し、雇用安定事業等に充てる部分を事業主が負担して、いずれも事業主が納付することとなっている。
 保険料の納付は、原則として次のとおり行われることとなっている。

(ア) 毎年度の初めに、事業主は、都道府県労働基準局又は都道府県に対し、その年度の労働者に支払う賃金総額の見込額に労災保険率(注1) と雇用保険率(注2) とを合計した保険料率を乗じて算定した概算保険料を申告し、納付する。

(イ) 次の年度の初めに、事業主は、都道府県労働基準局又は都道府県に対し、実際に支払った賃金総額に基づいて計算した確定保険料申告書を提出する。

(ウ) 都道府県労働基準局又は都道府県は、この申告書の記載内容を審査し、その結果に基づき保険料の過不足分が精算される。

 (注1)  労災保険率 労災保険の適用を受けるすべての事業の過去3年間の業務災害及び通勤災害に係る災害率等を考慮して定められており、事業の種類ごとに平成元年度の場合は最低1000分の6から最高1000分の149となっている。

 (注2)  雇用保険率 失業給付、雇用安定事業等に要する費用を考慮して定められており、平成元年度の場合は1000分の14.5(ただし、農林、水産等の事業は1000分の16.5、建設の事業は1000分の17.5)となっている。

2 検査の結果

(検査の対象)

 北海道労働基準局ほか24労働基準局及び福島県ほか5府県管内の1,290事業主を対象として、都道府県労働基準局又は府県における保険料の徴収の適否について検査した。

(徴収過不足の事態)

 検査したところ、上記の1,290事業主のうち、588事業主について徴収額が316,522,476円不足しており、229事業主について徴収額が103,695,188円過大になっていた。これは、上記の25労働基準局及び6府県において、事業主が確定保険料申告書を提出するに当たり、制度を十分理解していなかったり、計算誤りをしたりなどして、賃金総額の記載が事実と相違していたり、労災保険率の適用を誤っていたりしていたのに、これに対する調査確認が十分でなかったことによるものである。
 なお、これらの徴収不足額及び徴収過大額については、本院の指摘により、すべて徴収決定又は還付決定の処置が執られた。
 これらの徴収不足額及び徴収過大額を都道府県労働基準局及び府県別に示すと次のとおりである。

労働基準局・府県名 本院が調査した事業主数 徴収不足があった事業主数
徴収過大があった事業主数
徴収不足額
徴収過大額(△)
千円
北海道労働基準局 164 84
28
42,478
△4,762
青森労働基準局 23 11
1
1,383
△47
岩手労働基準局 27 14
3
10,077
△160
秋田労働基準局 20 6
2
650
△208
福島労働基準局 27 10
7
4,305
△2,356
茨城労働基準局 31 19
3
16,729
△118
埼玉労働基準局 76 37
10
27,644
△2,961
千葉労働基準局 35 19
3
36,002
△1,178
東京労働基準局 138 75
19
59,162
△37,805
新潟労働基準局 29 13
7
3,706
△558
福井労働基準局 27 12
9
2,774
△2,650
静岡労働基準局 46 16
9
3,998
△2,329
愛知労働基準局 68 20
21
10,386
△20,867
京都労働基準局 25 11
2
9,573
△1,321
大阪労働基準局 66 25
13
20,864
△2,129
奈良労働基準局 14 10
2
4,837
△111
鳥取労働基準局 37 18
2
2,047
△161
岡山労働基準局 34 7
7
2,338
△1,913
広島労働基準局 48 14
8
2,783
△1,200
香川労働基準局 42 9
11
1,207
△2,886
愛媛労働基準局 14 7
3
1,899
△443
高知労働基準局 19 8
5
1,880
△543
福岡労働基準局 59 28
18
10,130
△9,287
長崎労働基準局 19 7
2
1,437
△356
沖縄労働基準局 53 29
6
8,430
△1,952
福島県 22 11
3
2,644
△1,474
千葉県 12 7
4
2,755
△210
神奈川県 35 16
3
5,480
△384
新潟県 25 14
4
3,349
△203
京都府 20 11
4
7,085
△523
大阪府 35 20
10
8,475
△2,582
1,290 588
229
316,522
△103,695