会計名及び科目 | 労働保険特別会計(雇用勘定)(項)失業給付費 |
部局等の名称 | 北海道ほか23都府県(支給庁) 函館公共職業安定所ほか161公共職業安定所(支給決定庁) |
支給の相手方 | 451人 |
失業給付金の支給額の合計 | 232,232,916円 |
不適正支給額 | 112,255,230円 |
1 保険給付の概要
雇用保険は、工場、事務所、商店等に雇われる労働者を被保険者とし、被保険者が失業したときにその生活の安定を図るなどのため失業給付金の支給を行うほか、雇用安定事業、能力開発事業及び雇用福祉事業を行う保険である。
失業給付金には基本手当及び再就職手当のほか9種の手当等がある。このうち、基本手当は、受給資格者(注) が失業している日について所定給付日数を限度として支給されるものであり、再就職手当は、受給資格者が基本手当の所定給付日数の2分の1以上を残して安定した職業に就いた場合に支給されるものである。基本手当及び再就職手当は、公共職業安定所が、次のように支給を決定し、これに基づいて、各都道府県が支給することとなっている。
(ア) 基本手当については、受給資格者から提出された失業認定申告書に記載されている就職、就労(臨時的に短期間仕事に就くこと)の有無等の事実について確認のうえ失業の認定を行って支給を決定する。
(イ) 再就職手当については、受給資格者から提出された再就職手当支給申請書に記載されている雇入れ年月日等について調査確認を行って支給を決定する。
(注) 受給資格者 離職した被保険者で、公共職業安定所において、離職日以前1年間に被保険者期間が通算して6箇月以上あり、労働の意思及び能力があるにもかかわらず職業に就くことができない状態にあることなどの認定を受けた者
2 検査の結果
北海道ほか25都府県(支給決定庁札幌公共職業安定所ほか226公共職業安定所)から失業給付金の支給を受けた者のうち、再就職した者17,482人を対象として、公共職業安定所における失業給付金の支給決定の適否について検査した。
検査したところ、次のとおり基本手当及び再就職手当が不適正に支給されていた。
ア 基本手当
北海道ほか23都府県で、本院が調査した12,944人に対する基本手当の支給のうち450人に対する支給(支給額179,814,716円)について、59,837,030円が不適正に支給されていた。これは、函館公共職業安定所ほか161公共職業安定所において、受給者が誠実でなく、再就職、就労していながらその事実を失業認定申告書に記載していないため、申告書の内容が事実と相違していたのに、これに対する調査確認が十分でないまま支給の決定を行っていたことによるものである。
イ 再就職手当
北海道ほか23都府県で、本院が調査した4,632人に対する再就職手当の支給のうち165人に対する支給について、52,418,200円が不適正に支給されていた。これは、函館公共職業安定所ほか92公共職業安定所において、受給者が誠実でなく、再就職手当支給申請書に事実と相違した雇用年月日を記載していたのに、これに対する調査確認が十分でないまま支給の決定を行っていたことなどによるものである。
なお、これらの不適正支給額については、本院の指摘により、すべて返還の処置が執られた。
これらの不適正支給額を都道府県別に示すと次のとおりである。
都道府県名 | 公共職業安定所 | 本院が調査した受給者数 | 不適正受給者数 | 左の受給者に支給した失業給付金 | 左のうち不適正失業給付金 |
北海道 |
函館ほか13 |
人 1,105 |
人 32 |
千円 10,498 |
千円 3,916 |
函館ほか5 | 385 | 10 | 3,081 | 3,081 | |
小計 | 13,580 | 6,997 | |||
青森県 | 青森ほか3 | 360 | 7 | 1,996 | 458 |
青森ほか2 | 243 | 5 | 1,659 | 1,659 | |
小計 | 3,656 | 2,117 | |||
岩手県 | 盛岡ほか5 | 346 | 11 | 4,853 | 1,061 |
盛岡 | 81 | 1 | 327 | 327 | |
小計 | 5,181 | 1,388 | |||
秋田県 | 秋田ほか8 | 835 | 40 | 12,708 | 7,354 |
湯沢ほか1 | 28 | 2 | 523 | 523 | |
小計 | 13,231 | 7,878 | |||
福島県 | 会津若松ほか2 | 221 | 5 | 1,756 | 583 |
須賀川ほか1 | 48 | 2 | 240 | 240 | |
小計 | 1,997 | 823 | |||
茨城県 | 水戸ほか4 | 351 | 7 | 3,868 | 1,465 |
水戸ほか2 | 108 | 3 | 1,328 | 1,328 | |
小計 | 5,196 | 2,793 | |||
埼玉県 | 川口ほか9 | 852 | 47 | 20,138 | 6,591 |
川口ほか8 | 469 | 24 | 8,605 | 8,605 | |
小計 | 28,743 | 15,196 | |||
千葉県 | 市川ほか2 | 269 | 7 | 2,489 | 611 |
館山ほか1 | 87 | 3 | 852 | 852 | |
小計 | 3,342 | 1,463 | |||
東京都 | 飯田橋ほか16 | 1,429 | 47 | 18,263 | 6,778 |
飯田橋ほか11 | 704 | 26 | 8,800 | 8,800 | |
小計 | 27,063 | 15,578 | |||
神奈川県 | 横浜ほか9 | 863 | 26 | 11,093 | 4,878 |
横浜ほか6 | 395 | 11 | 5,026 | 5,026 | |
小計 | 16,120 | 9,904 | |||
新潟県 | 新津ほか1 | 120 | 8 | 2,018 | 706 |
新津ほか1 | 40 | 2 | 422 | 422 | |
小計 | 2,440 | 1,129 | |||
福井県 | 福井ほか5 | 486 | 10 | 4,432 | 995 |
福井ほか1 | 102 | 3 | 1,214 | 1,214 | |
小計 | 5,647 | 2,210 | |||
静岡県 | 静岡ほか6 | 556 | 25 | 13,962 | 3,049 |
静岡ほか3 | 226 | 7 | 2,238 | 2,238 | |
小計 | 16,201 | 5,287 | |||
愛知県 | 名古屋東ほか11 | 945 | 39 | 17,276 | 5,526 |
名古屋東ほか7 | 351 | 16 | 4,344 | 4,344 | |
小計 | 21,621 | 9,870 | |||
京都府 | 京都西陣ほか4 | 330 | 14 | 4,542 | 2,356 |
京都西陣ほか1 | 118 | 4 | 1,307 | 1,307 | |
小計 | 5,849 | 3,663 | |||
大阪府 | 大阪東ほか12 | 1,180 | 28 | 13,170 | 3,036 |
梅田ほか7 | 529 | 14 | 4,001 | 4,001 | |
小計 | 17,171 | 7,037 | |||
兵庫県 | 神戸ほか3 | 309 | 5 | 1,543 | 453 |
神戸ほか2 | 126 | 4 | 1,664 | 1,664 | |
小計 | 3,208 | 2,118 | |||
岡山県 | 岡山ほか6 | 449 | 11 | 4,077 | 1,439 |
岡山ほか2 | 152 | 5 | 1,103 | 1,103 | |
小計 | 5,180 | 2,542 | |||
広島県 | 広島ほか5 | 437 | 22 | 6,581 | 1,709 |
広島ほか3 | 184 | 10 | 2,746 | 2,746 | |
小計 | 9,328 | 4,456 | |||
愛媛県 | 八幡浜ほか2 | 215 | 8 | 2,053 | 470 |
八幡浜ほか2 | 64 | 3 | 811 | 811 | |
小計 | 2,865 | 1,282 | |||
高知県 | 高知ほか2 | 202 | 10 | 7,764 | 1,992 |
高知 | 18 | 1 | 330 | 330 | |
小計 | 8,094 | 2,322 | |||
佐賀県 | 佐賀ほか5 | 456 | 24 | 10,026 | 2,475 |
佐賀ほか2 | 68 | 4 | 486 | 486 | |
小計 | 10,513 | 2,962 | |||
熊本県 | 菊池ほか2 | 240 | 9 | 3,138 | 971 |
阿蘇 | 22 | 2 | 396 | 396 | |
小計 | 3,535 | 1,368 | |||
大分県 | 大分ほか3 | 388 | 8 | 1,558 | 956 |
大分ほか1 | 84 | 3 | 905 | 905 | |
小計 | 2,463 | 1,861 | |||
計 |
162箇所 | 12,944 | 450 | 179,814 | 59,837 |
93箇所 | 4,632 | 165 | 52,418 | 52,418 | |
合計 | 232,232 | 112,255 |
(注1) 上段は基本手当に係る分、下段は再就職手当に係る分である。
(注2) 不適正受給者のうち基本手当と再就職手当の双方に係る者が164人、基本手当のみの者が286人、再就職手当のみの者が1人おり、したがって、不適正受給の実人員は451人である。