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補助事業の実施及び経理が不当と認められるもの


(170)−(177) 補助事業の実施及び経理が不当と認められるもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)建設本省 (項)住宅対策諸費
道路整備特別会計 (項)道路事業費
(項)地方道路整備臨時交付金
治水特別会計(治水勘定) (項)河川事業資金貸付金
(項)河川総合開発事業資金貸付金
部局等の名称 青森県ほか6県
補助の根拠 公営住宅法(昭和26年法律第193号)、道路法(昭和27年法律第180号)、道路整備緊急措置法(昭和33年法律第34号)等
事業主体 県3、市2、町2、村1、計8事業主体
補助事業 西津軽郡深浦町一般国道101号交通安全施設等整備等8事業
上記に対する国庫補助金交付額の合計 370,084,055円
不当と認める国庫補助金交付額 75,402,300円
 上記の8事業において、工事の設計が適切でなかったり、工事の施工が設計と相違していたり、補助金を過大に交付していたりしており、これに対する国庫補助金のうち75,402,300円(一般会計の分2,910,000円、道路整備特別会計の分60,436,325円、治水特別会計の分12,055,975円)について、補助事業の実施及び経理が不当と認められる。

1 補助金の概要

 建設省所管の補助事業は、地方公共団体等が事業主体となって実施するもので、同省では、これらの事業主体に対して事業に要する費用について補助金を交付し又は無利子貸付金(注) を貸し付けている。

 (注)  無利子貸付金 日本電信電話株式会社の株式の売払収入を財源とする大蔵省所管産業投資特別会計社会資本整備勘定及びこの勘定から財源の繰入れを受けた公共事業関係の各特別会計からの無利子貸付金。この無利子貸付金については、その償還時に国の負担又は補助が行われることになっていることから、補助金 等と同様に取り扱われている。

2 検査の結果

 検査の結果、8事業主体が実施した住宅事業、道路事業、河川事業の8事業に対する国庫補助金のうち75,402,300円について、補助事業の実施及び経理が不当と認められる。
 これを不当の態様別に示すと次のとおりである。

〔1〕  工事の設計が適切でないもの

5事業 不当と認める国庫補助金 64,001,425円
〔2〕  工事の施工が設計と相違しているもの
2事業 不当と認める国庫補助金 8,490,875円
〔3〕  補助金を過大に交付しているもの
1事業 不当と認める国庫補助金 2,910,000円

 これを県別に示すと次のとおりである。

県名 事業 事業主体 事業費 左に対する国庫補助金 不当と認める事業費 不当と認める国庫補助金 摘要
千円 千円 千円 千円
(170) 青森県 西津軽郡深浦町一般国道101号交通安全施設等整備 青森県 36,372 18,186 15,295 7,647 工事の設計不適切
(工事の概要)

 この工事は、一般国道101号の交通安全施設等整備事業の一環として、平成元年度に西津軽郡深浦町大字広戸地区の広戸川にプレストレストコンクリート歩道橋(橋長13.9m、幅員2.5m)を新設するため、逆T式橋台2基の築造、プレストレストコンクリート桁の製作、架設等を工事費36,372,390円(国庫補助金18,186,195円)で施工したものである。
 このうち右岸側橋台(高さ10.45m、底版幅7.5m)のつま先版及び縦壁に配置する主鉄筋については、設計書及び配筋図において次のような設計とし、これにより施工していた。

(ア) つま先版には、引張力が作用する下面側に径16mmの鉄筋を25cm間隔に配置する。

(イ) 縦壁には、引張力が作用する背面側に底版から頂部までは径29mmの鉄筋を25cm間隔に配置し、その中間に2.0mの高さまで同径の鉄筋を配置する(この中間に配置する鉄筋を以下「中間主鉄筋」という。)。これにより、引張力が減少する上部については高さ2.0mの位置から鉄筋量を半減させる。

(検査の結果)

 しかし、これらの主鉄筋の配置は、それぞれ次のように誤っていて、主鉄筋に生じる引張応力度(注) (地震時)が許容引張応力度(注) を上回っている。

(ア) つま先版の主鉄筋については、設計の基礎となっている設計計算書では、径16mmの鉄筋を12.5cm間隔に配置する場合に主鉄筋に生じる引張応力度(地震時)が許容引張応力度を下回り応力計算上安全となるとしていたのに、これを基に配筋図を作成する際に、誤って25cm間隔としていた。このため、この鉄筋に生じる引張応力度(地震時)は3,439kg/cm2 となっていて、許容引張応力度2,700kg/cm2 を大幅に上回っている。

(イ) 縦壁の主鉄筋については、設計計算書において、鉄筋量を半減させた高さ2.0mの位置の上側で主鉄筋に生じる引張応力度(地震時)を計算すると2,385kg/cm2 となり許容引張応力度2,700kg/cm2 を下回ることから、その位置の上側では鉄筋量を下側の半分としても応力計算上安全であるとしていた。そして、これに基づいて中間主鉄筋を高さ2.0mの位置までの配置としている。しかし、「道路橋示方書・同解説」(社団法人日本道路協会編)によると、中間主鉄筋は、上記のような応力計算の結果得られる位置に更に次のいずれか長い方を加えた高さの位置まで配置することとなっており、これを加えていない本件の設計は誤りである。

〔1〕  鉄筋が引張力に対して有効に働くためには、コンクリートに定着し、これと一体化していることが必要であり、このために必要な一定の長さ(定着長)

〔2〕  上記〔1〕 のようにコンクリートに定着された中間主鉄筋について、鉄筋端部付近のコンクリートに有害なひび割れを生じさせないために、主鉄筋に生じる引張応力度が許容引張応力度の2分の1の1,350kg/cm2 以下になる位置まで鉄筋を延長することとされている分の長さ

 この定着長及びひび割れ防止のための延長分は、本件の場合それぞれ0.93m、1.5mであるから、中間主鉄筋はこの長い方の1.5mを加えた高さ3.5mの位置まで配置すべきであるのに、高さ2.0mの位置までの配置としていた。このため、この鉄筋に生じる引張応力度(地震時)は、中間主鉄筋が有効に働く位置である定着長の0.93mを控除した1.07mの高さで3,288kg/cm2 となっていて、許容引張応力度2,700kg/cm2 を大幅に上回っている。また、中間主鉄筋の端部の2.0mの高さの上側で2,385kg/cm2 となっていて、許容引張応力度の2分の1の1,350kg/cm2 を大幅に上回っており、鉄筋端部付近のコンクリートに有害なひび割れを生じるおそれがある。
 これらのため、本件橋台は地震時においてはその安定が確保できず、したがって、同橋台及びこれに架設されたプレストレストコンクリート桁等(工事費相当額15,295,000円、国庫補助金相当額7,647,500円)は不安定な状態になっていると認められる。

(注)  引張応力度・許容引張応力度「引張応力度」とは、材に外から引張力がかかったとき、そのために材の内部に生ずる力の単位面積当たりの大きさをいう。その数値が設計上許される上限を「許容引張応力度」という。

(参考図)

逆T式橋台概念図

(171) 山形県 飽海郡平田町田沢川ダム建設関連道路拡幅 山形県 24,035 13,820 2,045 1,175 工事の施工不良
(無利子貸付金) (無利子貸付金)

 この工事は、田沢川ダム建設事業の一環として、平成元年度に平田町大字山元地区において、工事用道路として使用する林道の山側の法面を保護するため、土工、モルタル吹付工等を工事費36,808,080円(国庫補助対象事業費24,035,676円、国庫補助金13,820,513円)で施工したものである。
 このうちモルタル吹付工1,457m2 (Aブロック1,000m2 、Bブロック457m2 )は、設計図書等によると、切土法面(勾配約50度)を清掃した後、次のように施工することとしていた。

 モルタル吹付層を補強するため、法面の全面に菱形金網(網目5cm×5cm)を布設する。金網は、吹き付けたモルタルの層のほぼ中央に位置するよう、100m2 当たり180箇所で、アンカーピン及びスペーサを使用して支持・固定する。モルタルは、法面に直角に打ち込んだ検測ピンで吹付け厚さを確認しながら、圧縮空気を使用して厚さ10cm(施工管理上、最小厚さの許容値は8 cm、平均の厚さは10cm以上とされている。)に吹き付ける。

 しかし、Bブロックの457m2 の施工に当たっては、モルタルの吹付け厚さを確認するための検測ピンを地山に打ち込み過ぎていたり、吹付けの際に金網を十分持ち上げなかったりなどしていた。
 このため、本件工事で施工したBブロックのモルタル吹付工(工事費相当額2,045,000円、国庫補助金相当額1,175,875円)は、モルタルの平均吹付け厚さが設計厚さに比べ大幅に下回っていたり(削孔して調査した14箇所の平均厚さは8.7cm、14箇所のうち7箇所は8cm未満)、金網が地山に直接張り付いていたり(同14箇所のうち8箇所)などしており、法面には多数のき裂も発生している状況となっていて、工事の施工が不良と認められる。

参考図

施工概念図

(172) 群馬県 前橋市滝川中小河川改修 群馬県 54,682 21,883 20,724 10,880 工事の設計不適切

うち国庫補助対象額
 41,682

(無利子貸付金) (無利子貸付金)

 

 この工事は、一級河川滝川の中小河川改修事業の一環として、平成元、2両年度に前橋市川曲町地区の滝川にプレストレストコンクリート道路橋(橋長18.5m、幅員8.0m)を新設するため、橋台2基の築造、プレストレストコンクリート桁の架設等を工事費54,682,700円(国庫補助金21,883,417円)で施工したものである。このうち、右岸側橋台の基礎杭については、外径600mm、杭長18mのPC杭(A種)10本を使用することとして設計していた。この橋台基礎杭の設計に当たっては、設計計算書によると、地震時に杭に作用する最大の曲げモーメントとして、杭頭部の曲げモーメントを採用し、これにより計算した杭に生ずる曲げ引張応力度(注) がPC杭(A種)の許容曲げ引張応力度(注) を下回っていることなどから、本件橋台が安定計算上安全であるとしていた。そして、施工に当たっては、PC杭(A種)と同等の強度を有するPHC杭(A種)を使用して施工していた。

 しかし、本件基礎杭の場合、杭に作用する最大の曲げモーメントは杭頭部の曲げモーメントではなく、杭頭から約2m下方の位置に作用する曲げモーメントであり、杭頭部の曲げモーメントを採用した上記の安定計算は誤りである。この杭に作用する最大の曲げモーメントにより杭に生ずる曲げ引張応力度を計算すると、安定計算上想定していたPC杭(A種)で許容曲げ引張応力度を大幅に上回っており、さらに、同等の強度を有するとして施工に用いたPHC杭(A種)でも66.0kg/cm2 となっていて、その許容曲げ引張応力度30kg/cm2 を大幅に上回っている。
 このため、本件右岸側橋台は地震時においてはその安定が確保できず、したがって、同橋台及び同橋台に架設されたプレストレストコンクリート桁等(工事費相当額20,724,000円、国庫補助金相当額10,880,100円)は不安定な状態になっていると認められる。

(注)  杭に生ずる曲げ引張応力度・許容曲げ引張応力度 「杭に生ずる曲げ引張応力度」とは、杭に作用する軸方向力及び曲げモーメントにより杭に引張力がかかったとき、そのために杭の内部に生ずる力の単位面積当たりの大きさをいう。その数値の設計上許される上限を「許容曲げ引張応力度」という。

 

(173) 神奈川県 横浜市市道本牧方面第378号線緊急地方道路整備 横浜市 122,200 61,100 10,777 5,388 工事の設計不適切

 

 この工事は、市道本牧方面第378号線の緊急地方道路整備事業として、昭和63年度に横浜市中区錦町地区に鋼歩道橋(延べ橋長204.87m、幅員1.5mから2.1m)を新設するため、橋台4基及び橋脚6基の築造、鋼床版箱桁の製作等を工事費122,200,000円(国庫補助金61,100,000円)で施工したものである。このうち橋台4基の基礎杭については、外径300mm、杭長9mのRC杭二種(B種)を計20本使用することとして設計していた。

 そして、施工に当たっては、請負人からRC杭二種(B種)をPHC杭(B種)に変更したいとの申し出がなされ、この変更について、PHC杭(B種)はRC杭二種(B種)と同等以上の強度を有しており、特に応力計算を行う必要はないと判断して、PHC杭(B種)により施工した。

 しかし、上記の判断は誤りであって、PHC杭(B種)は、RC杭二種(B種)に比べると、杭に作用する軸方向力の大きさによっては曲げ引張力に対する抵抗力が劣るものであり、このような場合には改めて応力計算を行う必要がある。本件工事について、実際に橋台4基の基礎杭として用いられたPHC杭(B種)に生ずる曲げ引張応力度を計算すると、最大曲げ引張力のかかる斜路部分のA3橋台の基礎杭では地震時において71kg/cm2 となっていて、許容曲げ引張応力度50kg/cm2 を大幅に上回っている。このためA3橋台は地震時においてはその安定が確保できず、したがって、A3橋台及び同橋台に架設された鋼床版箱桁等(工事費相当額10,777,000円、国庫補助金相当額5,388,500円)は不安定な状態になっていると認められる。

 

(174) 福井県 遠敷郡名田庄村村道兵瀬小倉畑線緊急地方道路整備 名田庄村 32,637 16,318 14,630 7,315 工事の施工不良

 

 この工事は、村道兵瀬小倉畑線の緊急地方道路整備事業として、平成元年度に名田庄村三重地区において、道路の山側法面を保護するため、切土、コンクリート吹付け等を工事費32,637,610円(国庫補助金16,318,805円)で施工したものである。
 このうちコンクリート吹付工2,278.2m2 は、設計図書等によると、切土法面(勾配約60度)を清掃した後、次のように施工することとしていた。

 コンクリート吹付層を補強するため、法面の全面に菱形金網(網目5cm×5cm)を布設する。金網は、吹き付けたコンクリートの層のほぼ中央に位置するよう、100m2 当たり180箇所で、アンカーピン及びスペーサを使用して支持・固定する。コンクリートは、法面に直角に設置した検測ピンで吹付け厚さを確認しながら、圧縮空気を使用して厚さ10cm(施工管理上、最小厚さの許容値は8cm、平均の厚さは10cm以上とされている。)に吹き付ける。吹付箇所に付着しないで周囲に飛び散ったはね返り材等は、コンクリートの付着を害さないよう取り除く。

 しかし、実際の施工に当たっては、検測ピンが斜めになったままコンクリートを吹き付けるなどしており、吹付け厚さの確認が十分でなかった。また、はね返り材を十分取り除かなければならないのにこれを怠ったり、金網を所定の位置に固定するスペーサを全く使用していなかったりしていた。
 このため、本件工事で施工したコンクリート吹付工(工事費相当額14,630,000円、国庫補助金相当額7,315,000円)は、コンクリートの平均吹付け厚さが設計厚さに比べ大幅に下回っていたり(削孔して調査した172箇所の平均厚さは6.3cm、172箇所のうち131箇所では8cm未満)、コンクリートが地山に密着していなかったり(同172箇所のうち58箇所)などしており、法面には多数のき裂も発生している状況となっていて、工事の施工が不良と認められる。

(参考図)

施工概念図

(175) 佐賀県 三養基郡北茂安町町道中津隈市原線道路改良 北茂安町 15,800 8,295 10,181 5,345 工事の設計不適切

 

 この工事は、町道中津隈市原線の道路改良の一環として、昭和63年度に北茂安町大字江口地区に道路を新設するため、ボックスカルバート(以下「カルバート」という。)、護岸工等を工事費15,800,000円(国庫補助金8,295,000円)で施工したものである。このうち排水施設として設置したカルバート(内空断面の幅4.0m・高さ3.3m、延長10.5m)の頂版に配置する鉄筋については、設計書及び配筋図によれば、上面側には径19mmの鉄筋を25cm間隔に、下面側には径13mmの鉄筋を12.5cm間隔にそれぞれ配置することとして設計し、これにより施工していた。この設計に当たっては、その設計条件及び形状が建設省の制定した土木構造物標準設計(以下「標準設計」という。)に集録されている内空断面の幅4m、高さ3.5mのカルバートとほぼ同一であることから、この配筋図を準用することとし、これによれば特に応力計算を行う必要はなく、本件カルバートは安全であるとしていた。

 しかし、標準設計によれば、頂版の鉄筋については、上面側には径16mmの鉄筋を25cm間隔に配置し、上面側に比べてより大きな引張力が作用する下面側には径19mmの鉄筋を12.5cm間隔に配置することとなっているのに、本件工事の設計書及び配筋図を作成する際に、誤って頂版の下面側の鉄筋を径13mmとしていた。このため、この鉄筋に生ずる引張応力度(常時(注) )は、2,837kg/cm2 となっていて、許容引張応力度1,600kg/cm2 を大幅に上回っており、本件カルバート(工事費相当額10,181,000円、国庫補助金相当額5,345,025円)は不安定なものとなっている。

(注)  常時 地震時などに対応する表現で、土圧など常に作用している荷重及び輪荷重など作用頻度が比較的高い荷重を考慮する場合をいう。

 

(176) 宮崎県 平成元年度公営住宅家賃収入補助 宮崎市 222,712 190,462 2,910 2,910 補助金の過大交付
(補助基本額)

 

 公営住宅家賃収入補助金(以下「補助金」という。)は、公営住宅法(昭和26年法律第193号)等に基づき、公営住宅の入居者の家賃負担の軽減を図ることを目的として、毎年度、公営住宅を管理する事業主体に交付されるものである。この補助金の額は、公営住宅の建設事業年度別や種別(第一種、第二種)ごとに、その建設のための土地の取得等に要した費用の額に所定の率を乗じて補助基本額を算出し、これに補助対象率を乗じて得たそれぞれの額を合算して算定されることとなっている。この補助対象率は、毎年10月1日現在における数値により、次の算式で算出されることとなっている。

補助対象率=1−収入超過者が入居している公営住宅の戸数(空家等を含む。)÷事業主体が管理している公営住宅の全戸数

 宮崎市では、平成元年度の補助金交付申請に当たり、収入超過者(注) の入居住宅等の戸数の総数を第一種で267戸、第二種で290戸とし、また、公営住宅の管理戸数の総数を第一種で1,236戸、第二種で1,912戸として、元年度分の補助金額を190,462,000円と算定し同額の交付を受けていた。
 しかし、同市では、一部の団地の入居者の収入を調査対象としなかったため、収入超過者の入居戸数12戸(第一種3戸、第二種9戸)を把握しておらず、補助対象率の算出において、この数値を計上していなかった。この誤り及び交付申請書作成時における建設事業年度の誤りを修正して算出される補助対象率に基づき適正な補助金額を算定すると187,552,000円となり、2,910,000円が過大に交付されていた。

(注)  収入超過者 当該公営住宅に引き続き3年以上入居している者のうち一定の基準を超える収入のある者

 

(177) 宮崎県 北諸県郡山田町町道古江庄内線第2古江橋橋りょう整備 山田町 76,225 40,018 66,172 34,740 工事の設計不適切

 

 この工事は、町道古江庄内線の第2古江橋橋りょう整備事業として、昭和63、平成元両年度に山田町大字中霧島古江地区の渡司川にプレストレストコンクリート道路橋(橋長25.8m、幅員9.25m)を新設するため、橋台2基の築造、プレストレストコンクリート桁の製作、架設等を工事費76,225,000円(国庫補助金40,018,125円)で施工したものである。このうち橋台2基の基礎杭については、両橋台とも外径600mmのPHC杭(C種)を使用することとして、左岸側橋台では杭長10mのもの17本、右岸側橋台では杭長14mのもの12本を使用することとして設計していた。

 そして、試験杭を施工した結果、支持層の位置が当初設計での想定よりも浅かったことから、杭長を左岸側橋台では10mを4mに、右岸側橋台では14mを6mに短くすることにした。この設計変更に当たっては、杭長を短く変更しただけで、特に安定計算及び応力計算を行わず、変更後の設計により施工していた。
 しかし、杭長を大幅に短くする場合には、杭に作用する引抜き力及び引張力に対して杭の安全を確保することが困難となるので、改めて安定計算及び応力計算を行う必要がある。本件工事の基礎杭について安定計算及び応力計算を行った結果は、次のとおりである。

(ア) 地震時における、杭の軸方向引抜き力(注) が、左岸側橋台の15.4t/本、右岸側橋台の20.6t/本であるのに対して杭の引抜き力に対する抵抗力の限界を示す許容引抜き力(注) は、左岸側橋台では9t/本、右岸側橋台では16t/本となっていて、軸方向引抜き力をいずれも大幅に下回っている。

(イ) 地震時における、杭に生ずる曲げ引張応力度は、右岸側橋台については80.0kg/cm2 となっていて、許容曲げ引張応力度50kg/cm2 を大幅に上回っている。

 このため、本件両橋台は地震時においてはその安定が確保できず、したがって、本件両橋台及び同橋台に架設されたプレストレストコンクリート桁等(工事費相当額66,172,000円、国庫補助金相当額34,740,300円)は不安定な状態になっていると認められる。

(注)  杭の軸方向引抜き力・許容引抜き力 「杭の軸方向引抜き力」とは、構造物に地震力などの横方向荷重が作用する場合に、杭を引き抜こうとする力が作用するが、このときの杭1本当たりに作用する力をいう。この引抜き力に対して杭は杭周面と地盤との間の摩擦及び杭の自重で抵抗する。引抜き力がこの抵抗力以下でないと杭は、引抜き力に対して耐えられなくなるため、設計上許される引抜き力の上限を設けており、これを「許容引抜き力」という。

(170)−(177) の計 584,666 370,084 142,734 75,402
うち国庫補助対象額
571,666