ページトップ
  • 平成元年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第4 阪神高速道路公団|
  • 不当事項|
  • 工事

立入防止柵のネットフェンスの設計に当たり、設置位置が適切でなかったため、工事費が不経済になっているもの


(185) 立入防止柵のネットフェンスの設計に当たり、設置位置が適切でなかったため、工事費が不経済になっているもの

科目 (款)業務費 (項)高速道路建設費
部局等の名称 大阪第一建設部
工事名 高石出入路路下整備(その2)及びその他工事
工事の概要 供用開始前の大阪府道高速湾岸線(南伸部)の出路及び入路において、本線等への一般車両や通行人等の立入りを防止するための立入防止柵としてネットフェンス延長1,232m等を施工するもの
工事費 44,647,100円(当初契約額42,000,000円)
請負人 国誉建設株式会社
契約 昭和63年12月 指名競争契約
しゅん功検査 平成元年9月
支払 平成元年3月、10月 2回
不経済になっている工事費 1070万円

 上記の工事において、ネットフェンスを既存の壁高欄を利用して設置すれば、より経済的に施行できると認められるのに、壁高欄を利用する設計としなかったため設計が過大となり、工事費が約1070万円不経済になっていると認められる。

1 工事の概要

(立入防止柵の設置)

 この工事は、大阪府道高速湾岸線の南伸部(大阪府堺市〜泉大津市)の建設工事の一環として、高架橋(以下「本線」という。)と、本線下の大阪府道との連結路となる高石出路及び同入路並びに浜寺出路及び同入路(以下「出入路」という。)の4箇所において、立入防止柵延べ1,232m、貼紙防止工延べ935m 等を、工事費44,647,100円で施工したものである。
 このうち立入防止柵は、地元警察署等から工事関係施設への不審者の侵入防止に十分配慮するよう強い要望があったことなどを踏まえ、本線の供用開始(平成4年度の予定)までの間、出入路及びこれに続く本線内に一般車両や通行人等が立ち入ることなどを防止するため、特に設置したものである。

(立入防止柵の設計)

 この出入路の立入防止柵は、その設置目的にかなうよう、他の工事関係施設における設計例を参考にして、高さは地上高3mを確保することとし、次のように設計していた(参考図の当局設計参照。 直接工事費18,960,000円)。

(ア) 出入路(幅員6.5mから7.5m)の出入口のほぼ中央に工事用車両等の進入ができるよう、幅4m、高さ3mのネット張の両開門扉を、コンクリートブロック基礎を打設して設置する。

(イ) この門扉に接続して、出入路の両側にある高さ1mの壁高欄の内側0.9mから2.4mの位置に、本線方向に出入路の構造が高架構造に変化する位置(以下「橋台位置」という。)まで、高さ3mのネットフェンスを、支柱間隔2mでコンクリートブロック基礎を打設して設置する。

(ウ) ネットフェンスと出入路両側の壁高欄の間のすき間(0.9mから2.4m)を、橋台位置において、3mの高さまで有刺鉄線を設置して、閉鎖する。

2 検査の結果

(不適切となっている事態)

 立入防止柵について調査したところ、ネットフェンスを壁高欄の内側に設置することとしたことにより、有刺鉄線で閉鎖されている橋台位置まではネットフェンスと壁高欄のすき間が通行可能となっている。このため、地上高が十分確保されている橋台位置までも一律に3mの高さのネットフェンスを設置せざるを得なくなっており、設計が過大になっていると認められた。

(本院が適切と考える設計)

 出入路両側の壁高欄には、遮音壁等を取り付けられるように、あらかじめ2m間隔でアンカーボルトが埋め込まれており、このアンカーボルトを利用して次のような設計が可能であると認められる(参考図の本院修正設計参照)

(ア) 出入路の出入口に、当局の設計と同じように両開門扉を設置する。

(イ) 出入路への通行人等の立入りを防止するため、門扉の両端に接続して壁高欄の端まで(この間の延長1.8mから22m)高さ3mのネットフェンスを、支柱間隔2mでコンクリートブロック基礎を打設して設置する。

(ウ) さらに、壁高欄の地上高が3mとなる位置まで、壁高欄の上にアンカーボルトを利用して、地上高3mを確保するよう高さ2m又は1mのネットフェンスを設置する。

 この設計によれば、ネットフェンスの設置延長が1,096mと短くなるほか、コンクリートブロック基礎のほとんどが不要となるなどのため、工事費を節減することができるものである。

(参考図)

当局設計概念図

本院修正設計概念図

(不経済になっている工事費)

 いま、本院が適切と考える設計により工事費を修正計算すると、ネットフェンスを壁高欄の上に設置するために必要となるベースプレートの製作費等を考慮しても立入防止柵の直接工事費は11,009,000円となり、諸経費等を含めた工事費総額は33,878,000円で足りる。したがって、契約額44,647,100円はこれに比べ約1070万円不経済になっていると認められる。