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私立大学等経常費補助金の経理が不当と認められるもの


(187)−(191) 私立大学等経常費補助金の経理が不当と認められるもの

科目 (補助金勘定) (款)補助金 (項)補助金(昭和62年度、63年度)
(補助金勘定) (項)交付補助金(平成元年度)
部局等の名称 日本私学振興財団
補助の対象 私立大学等における専任教職員の給与等教育又は研究に要する経常的経費
補助の根拠 私立学校振興助成法(昭和50年法律第61号)
事業主体 学校法人成城学園ほか4学校法人
上記に対する財団の補助金交付額の合計 3,995,266,000円
不当と認める財団の補助金交付額 45,046,000円

 上記の5事業主体に対する補助金の交付において、事業主体から提出された資料に補助金の額の算定の対象とはならない教職員が記入されるなどしているのに、日本私学振興財団では、これに基づいて補助金の額を算定したため、補助金が過大に交付された結果となっていて、補助金45,046,000円が不当と認められる。

1 補助金の概要

 (補助金交付の目的)

 日本私学振興財団(以下「財団」という。)は、私立学校振興助成法(昭和50年法律第61号)に基づき、国の補助金を財源として、学校法人に対して私立大学等経常費補助金を交付している。この補助金は、私立大学等(注1) の教育条件の維持及び向上並びに学生の修学上の経済的負担の軽減を図ることなどを目的として、私立大学等における専任教職員の給与等教育又は研究に要する経常的経費に充てるために交付されるものである。

 (補助金の額の算定)

 この補助金について、財団では、補助金の額を算定する資料として、各学校法人に補助金交付申請書とともに、〔1〕 前年度の12月末日現在の専任教員等(注2) の数、専任職員数及び学生数、〔2〕 前年度決算に基づく学生納付金収入、教育研究経費支出及び設備関係支出などに関する資料を提出させている。
 そして、補助金の額の算定方法は次のとおりである。

(ア) 経常的経費を専任教員等給与費、専任職員給与費、教育研究経常費等の経費に区分し、それぞれの経費ごとに専任教員等の数、専任職員数又は学生数等に所定の補助単価等を乗じて補助金の基準額を算定する。

(イ) 各私立大学等の教育研究条件の良否によって補助金の額に差異を設けるため、〔1〕 学生総定員に対する在籍学生数の割合、〔2〕 専任教員等の数に対する在籍学生数の割合及び〔3〕 学生納付金収入に対する教育研究経費支出と設備関係支出との合計額の割合に基づいて調整係数を算定する。

(ウ) (ア)で算定した経費ごとの基準額に(イ)で算定した調整係数を乗ずるなどの方法により得られた金額を合計して補助金の額を算定する。
 ただし、私立大学等の学部又は学科で、補助金交付申請年度の5月1日現在の入学者数の入学定員に対する割合が2倍以上(医歯学部については1.2倍以上)となっているものについては、補助金を交付しないこととなっている。

 (補助金の額の算定の対象となる専任教員等及び専任職員)

 補助金の額の算定の対象となる専任教員等及び専任職員については、次の要件にすべて該当する者となっている。

(ア) 当該私立大学等の専任教員等又は専任職員として発令されていること

(イ) 当該学校法人から主たる給与の支給を受けていること

(ウ) 当該私立大学等に常時勤務していて、専任教員等(助手を除く。)にあっては、原則として、授業又は臨床実習指導を行っていること

 ただし、これらの要件に該当する者であっても、臨床実習指導が行われていない医歯学部附属病院に勤務する助手及び職員は、補助金の額の算定の対象となる専任教員等及び専任職員から除外することとなっている。

 (注1)  私立大学等  私立の大学、短期大学及び高等専門学校

 (注2)  専任教員等  学長、校長、副学長、教授、助教授、講師及び助手

2 検査の結果

 検査の結果、5事業主体において、前記の資料に、補助金の額の算定の対象とはならない教職員を記入するなどしているのに、財団では、これに基づいて補助金の額を算定したため、補助金が過大に交付された結果となっていて、補助金45,046,000円が不当と認められる。
 これを学校法人別に示すと次のとおりである。

事業主体
(本部所在地)
年度 補助金交付額
不当と認める補助金額
千円 千円
(187) 学校法人成城学園
(東京都世田谷区)
平成元 652,306 3,595
 上記の学校法人は、財団に提出した資料に、成城短期大学に在籍する昭和63年12月末日現在の学生数を506人と記入しており、財団では、この数値等に基づき、平成元年度の同学校法人に対する補助金を652,306,000円と算定していた。
 しかし、上記の学生数は元年5月1日現在の在籍学生数であり、昭和63年12月末日現在の在籍学生数は534人であった。
 したがって、この在籍学生数により算定すると、学生総定員に対する在籍学生数の割合、専任教員等の数に対する在籍学生数の割合等に基づいて算定した調整係数が下がることになるので、適正な補助金は648,711,000円となり、3,595,000円が過大に交付されていた。
(188) 学校法人東京歯科大学
(東京都千代田区)
昭和63 1,055,397 3,062
 上記の学校法人は、財団に提出した資料に、東京歯科大学に所属する昭和62年12月末日現在の専任教員等の数を268人と記入しており、財団では、この数値等に基づき、63年度の同学校法人に対する補助金を1,055,397,000円と算定していた。
 しかし、上記の専任教員等のうち1人は、62年度は授業又は臨床実習指導を全く行っておらず、補助金の額の算定の対象とはならないと認められる。
 したがって、これを除外して算定すると、補助金の基準額が減少するので、適正な補助金は1,052,335,000円となり、3,062,000円が過大に交付されていた。
(189) 学校法人名古屋自由学院
(愛知県名古屋市)
平成元 323,597 6,876
 上記の学校法人は、財団に提出した資料に、名古屋自由学院短期大学に所属する昭和63年12月末日現在の専任職員の数を同短期大学文科の6人を含めて27人と記入しており、財団では、この数値等に基づき、平成元年度の同学校法人に対する補助金を323,597,000円と算定していた。
 しかし、同科については元年5月1日現在の入学者数の入学定員に対する割合が2倍以上となっていることから、同科に係る補助金は交付されないこととなる。
 したがって、上記の専任職員のうち同科の6人は補助金の額の算定の対象とはならないこととなり、これを除外して算定すると、補助金の基準額が減少するので、適正な補助金は316,721,000円となり、6,876,000円が過大に交付されていた。
(190) 学校法人大阪歯科大学
(大阪府大阪市)
昭和62
昭和63
小計
868,112
857,022
1,725,134
11,412
10,849
22,261
 上記の学校法人は、財団に提出した資料に、大阪歯科大学に所属する昭和61年12月末日現在及び62年12月末日現在の専任教員等の数をそれぞれ230人及び233人、専任職員の数をそれぞれ118人及び115人と記入していた。財団では、この数値等に基づき、62年度及び63年度の同学校法人に対する補助金をそれぞれ868,112,000円及び857,022,000円と算定していた。
 しかし、上記の専任教員等及び専任職員のうち、教員(助手)3人及び職員1人は、臨床実習指導が行われていない同大学付属診療所に勤務しており、また、同診療所に勤務する教員(助教授)1人は同大学の授業又は臨床実習指導を全く行っておらず、いずれも、補助金の額の算定の対象とはならないと認められる。
 したがって、これを除外して算定すると、補助金の基準額が減少するので、適正な補助金は62年度856,700,000円、63年度846,173,000円となり、それぞれ11,412,000円及び10,849,000円が過大に交付されていた。
(191) 学校法人安田学園
(広島県広島市)
昭和63 238,832 9,252
 上記の学校法人は、財団に提出した資料に、安田女子短期大学に係る昭和62年度の教育研究経費支出及び設備関係支出の合計額(以下「教育研究経費支出等の額」という。)を121,685千円と記入しており、財団では、この数値等に基づき、63年度の同学校法人に対する補助金を238,832,000円と算定していた。
 しかし、上記の教育研究経費支出等の額には、これに含めないこととされている学科新設に係る支出40,924千円が含まれていた。
 したがって、これを除外して算定すると、学生納付金収入に対する教育研究経費支出等の額の割合等に基づいて算定した調整係数が下がることになるので、適正な補助金は229,580,000円となり、9,252,000円が過大に交付されていた。
(187)-(191) の計 3,995,266 45,046