会社名 | (1) | 北海道旅客鉄道株式会社 |
(2) | 四国旅客鉄道株式会社 | |
(3) | 九州旅客鉄道株式会社 |
科目 | (1) | (款)自動車運送事業営業費 | (項)運送費 |
(2) | (款)自動車運送事業営業費 | (項)営業所管理費 | |
(3) | (款)自動車運送事業営業費 | (項)営業所管理費 |
部局等の名称 | (1) | 北海道旅客鉄道株式会社本社 |
(2) | 四国旅客鉄道株式会社本社 | |
(3) | 九州旅客鉄道株式会社本社 |
契約名 | (1) | 自動車線業務委託契約 |
(2) | 自動車線の駅における業務の委託に関する契約 | |
(3) | 自動車線駅における業務の委託に関する契約ほか1件 |
契約の相手方 | (1) | 株式会社日交観北海道 |
(2) | 四鉄サービス株式会社 | |
(3) | 西米良村及び株式会社九州交通企画 |
支払金額(平成元年度) | (1) | 86,655,574円 |
(2) | 56,963,085円 | |
(3) | 51,602,615円 | |
計 | 195,221,274円 |
節減できたと認められる支払額(平成元年度) | (1) | 3220万円 |
(2) | 5690万円 | |
(3) | 2790万円 | |
計 | 1億1700万円 |
上記の各会社において、部外に委託している自動車線の駅(以下「委託駅」という。)における乗車券類の発売業務を自動車内、自動車営業所及び鉄道駅で行わせることとして委託を廃止すれば、これに係る委託費を相当額節減できると認められた。
このような事態が生じていたのは、近年、上記の各会社で、委託駅における乗車券類の発売枚数が減少してきていることや、自動車ごとの乗客取扱数も少ないことなどから、自動車内等において上記の業務を行える状況にあるのに、その実態を十分把握せず、この業務の委託を廃止することを検討しなかったことによると認められた。したがって、委託駅における乗車券類の発売の実態等を把握したうえで、上記の業務を自動車内等で行うこととして委託を廃止し、経費の節減を図る要があると認められた。
本院の指摘に基づき、上記の各会社では、31委託駅について、平成2年11月までに7駅の委託を廃止し、残りの24駅についても同年12月以降順次廃止することとする処置を講じた。
なお、元年度において、31委託駅について、本件業務の委託を廃止していたとすれば、計約1億1700万円節減できたと認められる。
1 業務の概要
(委託業務の内容)
北海道旅客鉄道株式会社(以下「JR北海道」という。)、四国旅客鉄道株式会社(以下「JR四国」という。)及び九州旅客鉄道株式会社(以下「JR九州」という。)では、一般乗合旅客自動車運送事業の営業線として運行している自動車線の駅に設置している窓口で旅客に対し乗車券類を発売するなどの業務を部外に委託している。この委託は、JR北海道では札樽線ほか3自動車線に係る小樽駅ほか10駅、JR四国では西讃線ほか5自動車線に係る仁尾駅ほか13駅、JR九州では日肥線ほか9自動車線に係る村所駅ほか15駅、計41駅について行われている。そして、各会社が制定した自動車線委託業務処理規程等により、委託業者等が発売した乗車券類の取扱額に対し所定の料率を乗じて得た額を委託費として支払っており、平成元年度の額は次のとおりである。
JR北海道 | 86,655,574円 | ||
JR四国 | 56,963,085円 | ||
JR九州 | 51,602,615円 | ||
計 |
195,221,274円 |
上記の自動車線における乗車券類の発売は、各会社制定の旅客営業規則等により、上記委託駅のほか自動車内、自動車営業所及び鉄道駅において取り扱うこととしている。
そして、この自動車線で乗降取扱いをする停留所は全部で2,817箇所(JR北海道583箇所、JR四国915箇所、JR九州1,319箇所)あり、このうち乗車券類の発売をしている停留所は上記委託駅41箇所のほか鉄道駅等72箇所であり、乗車券類の発売をしていない停留所は2,704箇所である。
2 検査の結果
(委託業務の実態等)
近年、上記各会社の一般乗合旅客自動車運送事業における輸送人員は一般的に減少してきており、この傾向は上記の自動車線についても同様である。このような状況を踏まえ上記委託駅のうち、ターミナル駅で発売枚数の多い2駅を除いた39駅(JR北海道9駅、JR四国14駅、JR九州16駅)について本件業務の実態等を調査したところ、次のとおりであった。
すなわち、上記39委託駅の昭和62年度から平成元年度までにおける乗車券類の年間発売枚数及び1日平均発売枚数は次表のとおりで、上記各会社の発足(昭和62年度)以降をみても減少してきており、元年度における発着1回ごとの乗車券類の発売枚数は0.1枚から4.8枚と極めて少ないものとなっている。
区分
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年度
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年間発売枚数(枚) | 1日平均発売枚数(枚) | ||
最低 | 最高 | 最低 | 最高 | |
62年度 | 4,847 | 101,969 | 13.3 | 279.4 |
63年度 | 3,991 | 90,159 | 10.9 | 247.0 |
元年度 | 3,802 | 89,232 | 10.4 | 244.5 |
また、乗車券類のうち定期乗車券の元年度における取扱いも1日平均最高で17.3枚と極めて少ないものとなっていて、なかには全く取扱いのない委託駅も見受けられた。
そして、各会社における乗車定員に対する乗客の平均割合は20%程度で極めて低くその乗客取扱数も少ないことなどから、委託駅で発売している乗車券類を自動車内において運転手が取り扱うことは容易であり、しかも、自動車営業所及び鉄道駅でもこの乗車券類を取り扱うことができる状況となっている。
(改善を要する事態)
このような状況からみて、上記の39委託駅について、乗車券類の発売業務の委託を廃止して、委託駅で発売している乗車券類を自動車内、自動車営業所及び鉄道駅で取り扱うこととし、定期乗車券については、自動車の運転手が取次ぎするなどの方法を講ずることにより対処することとしても業務に支障はないと認められた。また、旅客のサービスも十分確保できると認められた。したがって、本件業務の委託を廃止して、経費の節減を図る要があると認められた。
3 各社が講じた改善の処置
上記についての本院の指摘に基づき、上記の各会社では、上記39委託駅のうち、他会社の路線と競合していたり、地元との関係を考慮する要があったりして、当分の間本件業務の委託を行うことにしている8駅(JR北海道2駅、JR九州6駅)を除いた31委託駅(JR北海道7駅、JR四国14駅、JR九州10駅)について、委託を廃止する処置を講じた。そして、2年11月までに7駅(JR北海道2駅、JR四国4駅、JR九州1駅)の委託を廃止し、残りの24駅についても同年12月以降順次廃止することとしている。
なお、元年度において、上記の31委託駅について、本件業務の委託を廃止していたとすれば、これに係る委託費をJR北海道で約3220万円、JR四国で約5690万円、JR九州で約2790万円、計約1億1700万円節減できたと認められる。