会計名及び科目 | 一般会計(組織)防衛施設庁(項)施設運営等関連諸費 |
部局等の名称 | 防衛施設庁 |
補助の根拠 | 予算補助 |
事業主体 | 東京都立川市ほか9市 |
補助事業 | 防音事業関連維持費補助 |
補助事業の概要 | 防音工事により小中学校等に設置された換気設備等の使用に伴い必要となった電気料金等を補助する事業 |
国庫補助金交付額の合計 | 平成元年度 | 119,742,000円 |
平成2年度 | 103,233,000円 | |
計 | 222,975,000円 | |
低減できた国庫補助金相当額 | 平成元年度 | 2470万円 |
平成2年度 | 1200万円 | |
計 | 3680万円 |
<検査の結果> |
上記の補助事業において、補助金の算定方法が換気設備等の使用実績に応じたものでなかったため、国庫補助金相当額約3680万円の交付が適切でないと認められた。 このような事態が生じていたりは、防衛施設庁において、補助金の交付要綱に、航空機騒音の低減等により換気設備等の使用時間が減少した場合における取扱いを定めていなかったことなどによる。 したがって、速やかに交付要綱の見直しを行うなどして、補助金の交付の適正を図る要があると認められた。 |
<当局が講じた改善の処置> |
本院の指摘に基づき、防衛施設庁では、平成3年11月に,補助金の交付が換気設備等の使用実績に応じた適切なものとなるよう交付要綱を改め,同年12月から適用することとするなどの処置を講じた。 |
1 防音事業関連維持費補助事業の概要
防衛施設庁では、防音事業関連維持費補助金交付要綱(昭和49年防衛施設庁訓令第1号)により、自衛隊等の航空機の離陸、着陸等によって生ずる著しい騒音を防止し又は軽減するための防音工事が実施された教育施設等(以下「小中学校等」という。)を所管する市町村等に、教育施設等騒音防止対策事業費補助金を交付している。
この補助金は、防音工事の一環として小中学校等に設置された換気設備、温度保持設備及び除湿設備(以下「換気設備等」という。)を授業時間中に使用したことにより必要となった電気料金等を補助の対象とするものである(この補助事業の仕組みは下図
のとおり)。
そして、補助金の額の算定は、「防音事業関連維持費補助金交付要綱の運用について」(昭和49年施本施第288号)に基づいて行われている。これによれば、電気料金に関する補助金の額は、一定の限度内で、各小中学校等に係る年間支払電気料金(基本料金及び電力量料金)を、当該校のすべての電気設備に占める換気設備等の容量の割合により按分した額に補助率3分の2(沖縄県における対象施設については10分の10)を乗じたものとなっている。
この補助金の交付額は、平成元年度に470市町村等に対し1,828,491,000円及び2年度に487市町村等に対し1,766,896,000円である。
2 本院の検査結果
本院は、自衛隊等が使用する飛行場のうち、飛行場の運用形態が変更された立川飛行場の周辺の10市(注1) に所在する小学校及び中学校における航空機の騒音状況と換気設備等の使用状況及びこの補助金の交付の適否について調査した。元年度及び2年度にこれらの各市に交付された補助金は、次のとおりである。
元年度 | 2年度 | ||||
事業主体数 | 学校数 | 国庫補助金交付額 | 事業主体数 | 学校数 | 国庫補助金交付額 |
10市 | 134校 | 119,742,000円 |
(注2)
|
121校 |
103,233,000円 |
立川飛行場は、近年、飛行場の運用形態が変化し航空機騒音が低減したと認められるのに、防衛施設庁では、同飛行場周辺の全般の騒音状況を把握していなかった。そこで、本院が3年9月に立川市ほか4市(注3) に所在する2小学校及び3中学校における航空機の騒音調査を実施したところ、その騒音の程度は著しいものではなかった。また、立川市ほか9市に所在する各小中学校に設置された換気設備等の元年度及び2年度における使用状況を調査したところ、換気設備が故障したのにそのまま放置していて使用していないものがあったり、年間使用時間が著しく少ないと認められる換気設備等が相当数見受けられたりした。
しかし、同庁では、上記のような状況になっているのに、換気設備等の容量の割合により算定する前記の算定方法に基づいて所定の補助金の交付を行っていた。
このように、防音工事の実施時に比べ騒音の程度が著しく低減し換気設備等の使用実績がなかったり減少したりしているのに、従前と同様の方法で補助金を交付しているのは適切とは認められない。
したがって、速やかに交付要綱の見直しを行うなどして、本件補助金の交付が、換気設備等の使用実績に応じた適切なものとなるようにし、補助金交付の適正を図る要があると認められた。
いま、各小中学校における換気設備等の年間の使用時間を基に国庫補助金交付額222,975,000円を修正計算すると186,152,000円となり、約3680万円(元年度約2470万円、2年度約1200万円)の国庫補助金相当額を低減できると認められた。
このような事態が生じていたのは、主として次のような理由によると認められた。
(ア) 防衛施設庁において、飛行場の運用形態が変化し、その飛行場周辺の航空機騒音が著しく低減した状況を正確に把握していなかったこと
(イ) 防衛施設庁において、換気設備等の維持管理状況及び使用状況について、現地調査による確認を行っていなかったり確認できる資料等の整備を行っていなかったりしたことから、航空機騒音の低減に伴う換気設備等の使用実績の減少の実態を把握していなかったこと
(ウ) 本件補助金の額の算定方法が換気設備等の使用実績を基にしたものではなかったことから、換気設備等の使用実績が補助金額に反映されていなかったこと
3 当局が講じた改善の処置
上記についての本院の指摘に基づき、防衛施設庁では、3年11月に、次のとおり処置を講じた。
(ア) 各防衛施設局長等に対して、飛行場の運用形態の変更により航空機騒音等の状況が変化した場合などには、騒音状況を把握し適切に対処するように指示した。
(イ) 各小中学校の換気設備等の維持管理状況及び使用状況を現地調査により確認するなどしてその使用実績を把握できるよう交付要綱を改め、3年12月から適用することとした。
(ウ) 補助金の額の算定に当たっては、換気設備等の使用実績を基に算定するよう通達を発した。
(注1) 10市 立川、府中、昭島、小平、日野、東村山、国分寺、国立、東大和及び武蔵村山各市
(注2) 8市 立川、府中、昭島、小平、日野、東村山、東大和及び武蔵村山各市
(注3) 立川市ほか4市 立川、府中、日野、東大和及び武蔵村山各市