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  • 平成2年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第4 大蔵省|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

国税の還付に当たって支払われる還付加算金の課税を適切なものにするよう改善させたもの


国税の還付に当たって支払われる還付加算金の課税を適切なものにするよう改善させたもの

会計名及び科目 一般会計 国税収納金整理資金 (款)歳入組入資金受入
 (項)各税受入金
部局等の名称 麹町税務署ほか92税務署
課税の根拠 所得税法(昭和40年法律第33号)
課税の対象 還付加算金(国税を還付する場合に、所定の日数に応じ、年7.3%の割合で支払われる加算金)
対象者 586人
上記の者が受領した還付加算金の合計額 164,577,000円
上記に係る税額 63,137,100円

<検査の結果>
 上記の586人に対する所得税の課税に当たり、これらの者が受領している還付加算金について、申告がなく、これに対する課税をしていなかったため、税額63,137,100円が徴収不足になっていた。
 このような事態が生じていたのは、還付加算金は雑所得として課税の対象となることについて十分な周知を行っていなかったり、還付加算金の申告状況の把握が十分でなかったりしたことによるものである。したがって、還付加算金について、この旨の周知を図るとともに課税資料の活用を的確に行うなどして課税の適正を図る要があると認められた。

<当局が講じた改善の処置>
 本院の指摘に基づき、国税庁では、平成3年11月に、各種広報や説明会等を通じて還付加算金が課税の対象となることを周知すること及び部内の連携を密にし課税資料を充実させて課税状況を的確に把握することを指示する通達を発するなどして、還付加算金の課税を適切なものとする処置を講じた。

1 制度の概要

(国税の還付)

 国税庁では、国税の賦課徴収の業務を税務署等において行っている。税務署等では、その賦課徴収の業務を実施する際、国税通則法(昭和37年法律第66号)や所得税法(昭和40年法律第33号)などの規定に基づき、確定申告書において、既に納付された所得税の予定納税額(注) や源泉徴収税額がその年分の納付すべき税額よりも多くなっている場合などには、その差額を還付することとなっている。また、申告に基づいて納付した税額が過大になっているとして更正の請求があり、その請求に基づいて減額の更正を行った場合などにも、その差額を還付することとなっている。

(注)  予定納税額 前年分の申告所得税額について所定の方式により計算した金額が15万円以上である者が、申告期限前の7月及び11月の2回に分けて納付しなければならないとされている額をいう。

(還付加算金の支払)

 税務署等は、国税を還付する場合、国税通則法等の規定により、還付することとなった国税の納付された日など所定の日の翌日から還付の日までの日数に応じ、還付の額に年7.3%の割合を乗じて計算した金額(注) を併せて支払うこととなっている。

 そして、税務署等は、国税の還付及びこの還付加算金の支払をしたときは、その受領者にこれらの金額等を記載した国税還付金振込通知書等を送付することとなっている。

(注)  計算した金額 この金額が1,000円未満であるときは、還付加算金は支払われない。

(還付加算金の申告)

 申告所得税の納付すべき税額を確定するに当たっては、納税者が自ら所得金額や税額を計算し、所定の申告期間に税務署に確定申告書を提出しなけれぱならないこととなっている。

 そして、還付加算金は、個人に支払われた場合、雑所得に該当するとされている。
したがって、これを受領した者は、所得税法の定める申告要件(注) に該当する場合には、その受領した日の属する年分の雑所得として他の各種所得とともに申告期限である翌年の3月15日までに申告しなければならない。

(注)  申告要件 原則として、所得の金額の合計額が基礎控除その他の所得控除の合計額を超える場合には、申告しなければならない。ただし、給与の収入金額が1500万円以下の給与所得者で、給与所得以外の所得の金額が20万円以下である場合などには、申告を要しない。

2 検査の結果

(調査の対象)

 本院では、麹町税務署ほか131税務署において、平成元年中に10万円以上の還付加算金を受領した個人2,014人に係る還付加算金523,289,800円(これに係る国税の還付の額は26,040,262,974円)の課税状況を調査した。

(調査の結果)

 調査の結果、上記2,014人のうち、申告要件に該当するため受領した還付加算金について申告を要すると認められる者が1,766人あった。しかし、このうち麹町税務署ほか92税務署管内の586人が受領した還付加算金164,577,000円については、申告期限の2年3月15日までに申告がなく、その後も課税されないままとなっていて、税額63,137,100円が徴収不足になっていた。

 そして、この課税されないままとなっていた586人のうちには、税務署等が毎年継続的に予定納税額を通知したり、申告期限前に確定申告書の用紙等を送付したりしている者が542人と多数含まれていた。

(改善を必要とする事態)

 このように、受領した還付加算金について、申告を要するのに申告期限までに申告がなく、その後も課税されないままとなっていた者が多数ある事態は、納税者の申告により税額を確定するという申告納税制度の趣旨や課税の適正を図る見地からみて適切でなく、改善の要があると認められた。

(発生原因)

 このような事態が生じていたのは、納税者において、還付加算金は雑所得として課税の対象になることが十分理解されていないことにもよるが、税務署等において、次のようにその対応に十分でない点があったことによると認められた。

(ア) 納税者等に対し、還付加算金は課税の対象となることについての広報が十分でないこと、特に、毎年継続的に予定納税額を通知している納税者等に対しては、その趣旨について周知する機会が多いのに、これを周知する配慮が十分でないこと

(イ) 還付加算金は税務署等が支払うものであり、部内で連携を図って課税資料を活用することは比較的容易であるのに、これが十分でないこと

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、国税庁では、3年11月に各国税局等に対して通達を発するなどして、次のとおり、還付加算金の課税を適切なものとする処置を講じた。

(ア) 各種広報、特に関係民間団体向け説明会等の機会などを利用して還付加算金は課税の対象となることを周知することとし、また、還付加算金の受領者にその趣旨について注意を喚起するため、還付加算金は雑所得として課税の対象になる旨の文言を国税還付金振込通知書等に記載することとした。

(イ) 部内の連携を密にして還付加算金に係る課税資料を充実させ、これにより課税状況を的確に把握することとした。