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公立学校施設整備費負担金及び補助金の経理が不当と認められるもの


(23)−(28) 公立学校施設整備費負担金及び補助金の経理が不当と認められるもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)文部本省 (項)公立文教施設整備費
(項)沖縄教育振興事業費
部局等の名称 福島県ほか5都県
補助の根拠 義務教育諸学校施設費国庫負担法(昭和33年法律第81号)等
事業主体 市3、特別区1、町2、計6事業主体
補助事業 郡山市立郡山第五中学校屋内運動場増築等6事業
上記に対する国庫補助金交付額の合計 495,031,000円
不当と認める国庫補助金交付額 42,973,000円
 上記の6補助事業において、補助の対象とは認められないものを補助対象事業費に含めていたり、補助種目の適用を誤っていたりしており、これに係る国庫補助金42,973,000円が不当と認められる。

1 補助金の概要

(補助金交付の目的)

 文部省は、小学校、中学校その他の公立の義務教育諸学校の施設の整備を行う市町村(特別区を含む。)に対して公立学校施設整備費負担金及び公立学校施設整備費補助金(以下「補助金」という。)を交付している。この補助金は、義務教育諸学校の施設の整備を促進し、教育の円滑な実施を確保することを目的として、次の法令等に基づいて次の各事業に要する経費の一部を補助するために交付されるものである。

義務教育諸学校施設費国庫負担法(昭和33年法律第81号)

〔1〕 新築又は増築事業(以下「新増築事業」という。)に要する経費

〔2〕 構造上危険な状態にある建物の改築事業(以下「危険改築事業」という。)に要する経費

公立学校施設整備費国庫補助要項(昭和46年文施助第7号)

〔3〕 構造上又は教育機能上不適格な建物の改築事業(以下「不適格改築事業」という。)に要する経費

(補助金の額の算定方法)

補助金の交付額は、次により算定することとなっている。

補助対象面積×補助単価+事務費=補助対象事業費、補助対象事業費×補助率=交付額

 そして、補助対象面積、補助単価及び補助率は、校舎及び屋内運動場の区分ごとに次により算定することとなっている。

(1) 補助対象面積の算定

 補助対象面積は、実際の建築面積(以下「実施面積」という。)が必要面積を下回る場合は実施面積を限度とすることなどとして、次により算定することとなっている。

〔1〕 新増築事業の場合

必要面積-保有面積=補助対象面積

〔2〕 危険改築事業の場合

必要面積又は保有面積のうちいずれか少ない方の面積-保有面積のうち危険でない部分の面積=補助対象面積

〔3〕 不適格改築事業の場合

保有面積のうち危険でない部分の面積で、構造上又は教育機能上不適格な部分の面積=補助対象面積

 そして、必要面積及び保有面積は、それぞれ次により算定することとなっている。

(ア) 必要面積は、原則として、「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」(昭和33年法律第116号)等に規定されている方法によって算定した当該学校に係る標準学級数に応じて算定されることとなっている。

 標準学級数の算定については、小学校の場合、原則として各学年の5月1日現在の児童数を40又は45で除したうえ、1未満の端数が生じたときは切り上げて学年別の標準学級数を算定し、これらを合計して当該学校に係る標準学級数を算定することとなっている。ただし、引き続く2の学年の児童数の合計数が18人以下(第1学年の児童を含むときは10人以下)であるときには、その引き続く2の学年については学年別に標準学級数を算定することなく、2の学年を併せて標準学級数を1学級(以下「複式学級」という。)とすることとなっている。

(イ) 保有面積は、原則として、事業を実施する年度の5月1日現在の当該学校の建物の棟ごとの各階ごとに天井高2.0mを超える部分の床面積(以下「床面積」という。)を合計した面積とすることとなっている。そして、災害復旧、児童等の急増等に対処するために一時的に使用している一時使用建物の面積は保有面積に含めないが、屋内運動場のギヤラリーで内のりが一定の幅を超える部分の床面積は、保有面積に含めることとされている。

(2) 補助単価の算定

 補助単価は、文部大臣が大蔵大臣と協議して定める1m2 当たりの建築の単価とされている。ただし、実際に建築に要した工事費を実施面積で除して得た1m2 当たりの単価の方が下回る場合は、これによることとされている。

(3) 補助率

 補助率は、原則として、新増築事業が2分の1、危険改築事業及び不適格改築事業が3分の1とされている。

2 検査の結果

 検査の結果、6事業主体が実施した公立中学校屋内運動場増築等の6事業に係る国庫補助金42,973,000円が不当と認められる。

 これを不当の態様別に示すと次のとおりである。

〔1〕 補助の対象とは認められないものを補助対象事業費に含めているもの
3事業 不当と認める国庫補助金

35,477,000円

〔2〕 補助種目の適用を誤っているもの
3事業 不当と認める国庫補助金 7,496,000円

 これを都県別に示すと次のとおりである。

都県名 補助事業 事業主体 補助対象事業費 左に対する国庫補助金 不当と認める補助対象事業費 不当と認める国庫補助金

摘要

千円 千円 千円 千円
(23) 福島県 郡山第五中学校屋内運動場増築等 郡山市 193,134 79,455 22,068 3,566 補助種目の適用誤り
 この事業は、平成元年度の補助事業として、郡山第五中学校の屋内運動場1,311m2 を増改築したもので、実施面積が必要面積を下回るので、実施面積から保有面積692m2 を差し引いた619m2 を増築事業の補助対象面積としていた。また、既存の屋内運動場が不適格建物であることから、保有面積692m2 を不適格改築事業の補助対象面積としていた。そして、これらにそれぞれ1m2 当たりの補助単価144,700円又は146,900円を乗ずるなどして補助対象事業費を193,134,000円(国庫補助金79,455,000円)と算定していた。

 しかし、郡山市は,屋内運動場の保有面積に含めることとされている同運動場内の倉庫等151m2 を上記の保有面積に含めておらず、これを含めると保有面積は843m2 となる。

 したがって、増築事業(補助率2分の1)の補助対象面積は468m2 となり、不適格改築事業(補助率3分の1)の補助対象面積は843m2 となるので、これにより算定すると、適正な補助対象事業費は193,470,000円(国庫補助金75,889,000円)となり、国庫補助金3,566,000円が過大に交付されていた。

(24) 東京都 深川第七中学校屋内運動場増築等 江東区 131,970 49,290 10,017 1,670 補助種目の適用誤り
 この事業は、平成元年度の補助事業として、深川第七中学校の屋内運動場を増改築したもので、屋内運動場の必要面積830m2 から保有面積630m2 を差し引いた200m2 を増築事業の補助対象面積とし、また,既存の屋内運動場が危険建物であることから保有面積630m2 を危険改築事業の補助対象面積としていた。そして、これらにそれぞれ1m2 当たりの補助単価159,000円を乗ずるなどして補助対象事業費を131,970,000円(国庫補助金49,290,000円)と算定していた。

 しかし、江東区は,屋内運動場の保有面積に含めることとされているギャラリー等63m2 を上記の保有面積に含めておらず、これを含めると保有面積は693m2 となる。

 したがって、増築事業(補助率2分の1)の補助対象面積は137m2 となり、危険改築事業(補助率3分の1)の補助対象面積は693m2 となるので、これにより算定すると,適正な補助対象事業費は131,970,000円(国庫補助金47,620,000円)となり、国庫補助金1,670,000円が過大に交付されていた。

(25) 石川県 内灘中学校屋内運動場増築等 河北郡内灘町 180,951 62,917 15,247 2,260 補助種目の適用誤り
 この事業は、昭和63年度の補助事業として、内灘中学校の屋内運動場を増改築したもので、屋内運動場の必要面積1,222m2 から保有面積1,112m2 を差し引いた110m2 を増築事業の補助対象面積とし、また、保有面積のうち1,012m2 及び89m2 をそれぞれ危険改築事業、不適格改築事業の補助対象面積としていた。そして,これらにそれぞれ1m2 当たりの補助単価140,500円、148,600円又は149,700円を乗ずるなどして補助対象事業費を180,951,000円(国庫補助金62,917,000円)と算定していた。

 しかし、内灘町は、屋内運動場の保有面積に含めることとされている同運動場内の倉庫107m2 を上記の保有面積に含めておらず、これを含めると保有面積は1,219m2 となる。

 したがって、増築事業(補助率2分の1)の補助対象面積は3m2 となり、危険改築事業(補助率3分の1)の補助対象面積は、上記の倉庫107m2 が危険建物であることから、これを加えた1,119m2 となるので、これにより算定すると,適正な補助対象事業費は181,763,000円(国庫補助金60,657,000円)となり、国庫補助金2,260,000円が過大に交付されていた。

(26) 三重県 安濃小学校校舎増築等 安芸郡安濃町 107,914 48,836 28,998 14,499 補助の対象外
 この事業は、昭和63年度の補助事業として、安濃小学校の校舎を増改築したもので、,校舎の必要面積3,155m2 から保有面積2,572m2 を差し引いた583m2 を増築事業の補助対象面積とし、また、保有面積のうち232m2 を危険改築事業の補助対象面積としていた。そして、これらにそれぞれ1m2 当たりの補助単価131,100円を乗ずるなどして補助対象事業費を107,914,000円(国庫補助金48,836,000円)と算定していた。

 しかし、安濃町は、上記保有面積の算定に当たり、既存の校舎の一部として以前から使用している特別教室棟219m2 を1時使用建物であるとして保有面積に含めておらず、これを含めると保有面積は2,791m2 となる。

 したがって、増築事業の補助対象面積は364m2 となり,これにより算定すると、適正な補助対象事業費は78,916,000円(国庫補助金34,337,000円)となり,国庫補助金14,499,000円が過大に交付されていた。

(27) 兵庫県 瑞穂小学校校舎増築等 三木市 242,654 99,409 32,741 16,370 補助の対象外
 この事業は、平成2年度の補助事業として、瑞穂小学校の校舎を増改築したもので、同小学校の2年5月1日の学級数を県が定めた国と異なる学級編制基準により各学年1学級で計6学級として、これに応ずる校舎の必要面積1,801m2 から保有面積976m2 を差し引いた825m2 を増築事業の補助対象面積としていた。そして、これに1m2 当たりの補助単価133,400円を乗ずるなどして補助対象事業費を242,654,000円(国庫補助金99,409,000円)と算定していた。

 しかし、同小学校の2年5月1日の標準学級数は4学級(複式学級を2学級含む。)であるのに、三木市は上記県の基準による学級数に基づき必要面積を算定したため、同面積が過大に算定されており、3年5月1日の標準学級数は5学級(複式学級を1学級含む。)になっている事情に配慮しても、校舎の必要面積は1,558m2 となる。

 したがって、標準学級数5学級に応ずる校舎の必要面積1,558m2 から保有面積976m2 を差し引いた582m2 が増築事業の補助対象面積となり、これにより算定すると、適正な補助対象事業費は209,913,000円(国庫補助金83,039,000円)となり、国庫補助金16,370,000円が過大に交付されていた。

(28) 沖縄県 米須小学校校舎増築等 糸満市 198,809 155,124 5,421 4,608 補助の対象外
 この事業は、平成2年度の補助事業として、米須小学校の校舎を増改築したもので、校舎の必要面積3,209m2 から保有面積2,765m2 を差し引いた444m2 を増築事業の補助対象面積とし、また、保有面積のうち935m2 を危険改築事業の補助対象面積としていた。そして、これらにそれぞれ1m2 当たりの補助単価134,200円又は146,800円を乗ずるなどして補助対象事業費を198,809,000円(国庫補助金155,124,000円)と算定していた。

 しかし、糸満市は、校舎の保有面積に含めることとされている体育倉庫40m2 を上記の保有面積に含めておらず、これを含めると保有面積は2,805m2 となる。

 したがって、増築事業の補助対象面積は404m2 となり、これにより算定すると、適正な補助対象事業費は193,388,000円(国庫補助金150,516,000円)となり、国庫補助金4,608,000円が過大に交付されていた。

(23)-(28) の計 1,055,432 495,031 114,492 42,973