会計名及び科目 | 港湾整備特別会計(港湾整備勘定)(項)港湾事業費 |
部局等の名称 | 第四港湾建設局 |
補助の根拠 | 港湾法(昭和25年法律第218号) |
事業主体 | 福岡県 |
補助事業 | 苅田港改修(重要) |
補助事業の概要 | 港湾を改修するため、平成元年度に岸壁の舗装工、排水工等を施工するもの |
事業費 | 137,775,890円 |
上記に対する国庫補助金交付額 | 67,018,495円 |
不当と認める事業費 | 7,604,905円 |
不当と認める国庫補助金交付額 | 3,802,452円 |
1 補助事業の概要
この補助事業は、福岡県が、苅田港南港地区の港湾改修事業の一環として、延長360mの岸壁を築造するため、平成元年度に、本体L型ブロック工、上部コンクリート工、盛土工、排水工、舗装工等を工事費137,775,890円(国庫補助金67,018,495円)で実施したものである(参考図参照) 。
このうち、盛土工3,907m3 、排水工226.4m、舗装工2,561.4m2 は、既に施工した延長180mのL型ブロックの背後の裏込土砂の上に施工するもので、その内容は次のとおりとなっている。
(ア) 盛土工は、上部コンクリートと側溝設置箇所の間の幅14.3mについて、裏込土砂の上を土砂で1.0mから1.5m埋め立てる。
(イ) 排水工は、背後地に側溝を設置するとともに、4箇所において、側溝の溜桝から上部コンクリートの前面まで径600mmの遠心力鉄筋コンクリート管各6本(長さ15.1m。基礎は管底部の外周の2分の1をコンクリートで固定するいわゆる180度固定基礎)を盛土及び上部コンクリート中に埋設する。
(ウ) 舗装工は、盛土上に路盤として砕石を厚さ30cm、表層としてコンクリートを厚さ20cm施工する。
2 検査の結果
検査したところ、施工した舗装等が次のような状態になっていた。
(ア) 舗装については、上部コンクリートから4.1mの幅で全延長にわたる725.4m2 が沈下しており、上部コンクリートと接する部分で2.0cmから5.5cmの沈下となっている。また、この部分は5.1cmから7.0cmの幅で開口している。
(イ) 盛土については、(ア)の舗装の下部において沈下していてその盛土量は826m3 となっている。
(ウ) 排水管については、4箇所とも、海側の1本目が上部コンクリートの背面で破断し、この管と2本目の管がV字形の状態となって3.8cmから9.8cm沈下している。
このような状態になっているのは、次のように工事の施工計画や設計が適切でなかったためであると認められる。
(ア) 本件のような重力式岸壁、すなわち本体の自重と裏込材の重量で土圧等を支える構造の岸壁においては、通常、盛土工等の施工によりそれらの荷重で裏込土砂等が沈下する。したがって、岸壁の築造に当たっては、沈下が落ち着いたことを調査確認のうえ舗装工や排水工を施工するよう計画すべきであるのに、そのことについて配慮することなく、盛土工から舗装工までを連続して施工するようにしていた。
(イ) 盛土工について、土砂を盛った後は十分締固めが必要であるのに、表層部を敷きならせば足りるとする設計としていた。
したがって、舗装725m2 、排水管8本及び盛土826m3 (これらの工事費相当額計7,604,905円)は、工事の施工計画等が適切でなかったため沈下したり、破断したりしていて、これに係る国庫補助金相当額3,802,452円が不当と認められる。