会計名及び科目 | 労働保険特別会計(雇用勘定)(項)失業給付費 |
部局等の名称 | 北海道ほか22都府県(支給庁) |
旭川公共職業安定所ほか146公共職業安定所(支給決定庁) | |
支給の相手方 | 365人 |
失業給付金の支給額の合計 | 188,317,834円 |
不適正支給額 | 100,580,156円 |
1 保険給付の概要
雇用保険は、工場、事務所、商店等に雇われる労働者を被保険者とし、被保険者が失業したときにその生活の安定を図るなどのため失業給付金の支給を行うほか、雇用安定事業、能力開発事業及び雇用福祉事業を行う保険である。
失業給付金には基本手当及び再就職手当のほか9種の手当等がある。このうち、基本手当は、受給資格者(注) が失業している日について所定給付日数を限度として支給されるものであり、再就職手当は、受給資格者が基本手当の所定給付日数の2分の1以上を残して安定した職業に就いた場合に支給されるものである。基本手当及び再就職手当は、公共職業安定所が、次のように支給を決定し、これに基づいて、各都道府県が支給することとなっている。
(ア) 基本手当については、受給資格者から提出された失業認定申告書に記載されている就職、就労(臨時的に短期間仕事に就くこと)の有無等の事実について確認のうえ失業の認定を行って支給を決定する。
(イ) 再就職手当については、受給資格者から提出された再就職手当支給申請書に記載されている雇入れ年月日等について調査確認を行って支給を決定する。
(注) 受給資格者 離職した被保険者で、公共職業安定所において、離職日以前1年間に被保険者期間が通算して6箇月以上あり、労働の意思及び能力があるにもかかわらず職業に就くことができない状態にあることなどの認定を受けた者
2 検査の結果
北海道ほか23都府県(支給決定庁 札幌公共職業安定所ほか241公共職業安定所)から失業給付金の支給を受けた者のうち、再就職した者16,349人について、公共職業安定所における失業給付金の支給決定の適否を検査した。
検査したところ、次のとおり基本手当及び再就職手当が不適正に支給されていた。
ア 基本手当
北海道ほか22都府県で、本院が調査した10,813人に対する基本手当の支給のうち362人に対する支給(支給額130,450,084円)について、42,712,406円が不適正に支給されていた。これは、旭川公共職業安定所ほか144公共職業安定所において、受給者が誠実でなく、再就職、就労していながらその事実を失業認定申告書に記載していないため、申告書の内容が事実と相違していたのに、これに対する調査確認が十分でないまま支給の決定を行っていたことなどによるものである。
イ 再就職手当
北海道ほか22都府県で、本院が調査した4,750人に対する再就職手当の支給のうち170人に対する支給について、57,867,750円が不適正に支給されていた。これは、旭川公共職業安定所ほか86公共職業安定所において、受給者が誠実でなく、再就職手当支給申請書に事実と相違した雇入れ年月日を記載していたのに、これに対する調査確認が十分でないまま支給の決定を行っていたことなどによるものである。
なお、これらの不適正支給額については、本院の指摘により、すべて返還の処置が執られた。
これらの不適正支給額を都道府県別に示すと次のとおりである。
都道府県名 | 公共職業安定所 | 本院が調査した受給者数 | 不適正受給者数 | 左の受給者に支給した失業給付金 |
左のうち不適正失業給付金 | |
北海道 |
旭川ほか12 |
人 1,079 |
人 39 |
千円 12,945 |
千円 4,347 |
|
札幌東ほか3 | 306 | 10 | 3,816 | 3,816 | ||
小計 |
16,762 | 8,163 | ||||
青森県 | むつほか3 | 219 | 9 | 2,269 | 553 | |
野辺地ほか3 | 141 | 6 | 1,521 | 1,521 | ||
小計 |
3,790 | 2,075 | ||||
秋田県 | 秋田ほか3 | 235 | 5 | 1,498 | 484 | |
秋田ほか1 | 98 | 3 | 453 | 453 | ||
小計 |
1,951 | 938 | ||||
山形県 | 山形ほか6 | 600 | 15 | 4,833 | 2,722 | |
山形ほか2 | 129 | 5 | 1,573 | 1,573 | ||
小計 |
6,406 | 4,295 | ||||
栃木県 | 宇都宮ほか4 | 232 | 7 | 2,391 | 554 | |
宇都宮ほか1 | 77 | 3 | 553 | 553 | ||
小計 |
2,944 | 1,108 | ||||
群馬県 | 前橋 | 40 | 1 | 102 | 36 | |
前橋 | 31 | 1 | 623 | 623 | ||
小計 |
725 | 659 | ||||
埼玉県 | 川口ほか9 | 625 | 32 | 9,643 | 5,192 | |
大宮ほか7 | 307 | 18 | 8,154 | 8,154 | ||
小計 |
17,797 | 13,346 | ||||
千葉県 | 千葉ほか3 | 366 | 5 | 1,532 | 535 | |
千葉ほか2 | 211 | 4 | 1,127 | 1,127 | ||
小計 |
2,660 | 1,663 | ||||
東京都 | 飯田橋ほか17 | 1,980 | 54 | 19,050 | 7,099 | |
飯田橋ほか15 | 1,200 | 30 | 10,602 | 10,602 | ||
小計 |
29,652 | 17,702 | ||||
神奈川県 | 横浜ほか7 | 574 | 15 | 7,500 | 1,159 | |
横浜ほか2 | 157 | 5 | 2,265 | 2,265 | ||
小計 |
9,765 | 3,425 | ||||
新潟県 | 新潟ほか3 | 198 | 9 | 4,636 | 1,049 | |
新潟 | 80 | 2 | 735 | 735 | ||
小計 |
5,372 | 1,785 | ||||
山梨県 | 甲府ほか4 | 267 | 7 | 3,184 | 917 | |
甲府 | 48 | 1 | 347 | 347 | ||
小計 |
3,532 | 1,264 | ||||
長野県 | 長野ほか5 | 339 | 9 | 3,491 | 586 | |
松本ほか2 | 105 | 4 | 997 | 997 | ||
小計 |
4,489 | 1,584 | ||||
愛知県 | 名古屋東ほか7 | 496 | 18 | 8,117 | 2,011 | |
名古屋東ほか5 | 290 | 9 | 4,266 | 4,266 | ||
小計 |
12,383 | 6,277 | ||||
三重県 | 伊勢ほか5 | 310 | 17 | 8,083 | 2,357 | |
伊勢ほか3 | 138 | 10 | 3,017 | 3,017 | ||
小計 |
11,101 | 5.375 | ||||
大阪府 | 梅田ほか4 | 440 | 9 | 6,959 | 1,112 | |
堺ほか1 | 111 | 3 | 844 | 844 | ||
小計 |
7,804 | 1,957 | ||||
広島県 | 広島ほか5 | 446 | 10 | 4,897 | 459 | |
広島ほか3 | 194 | 5 | 1,505 | 1,505 | ||
小計 |
6,402 | 1,964 | ||||
山口県 | 下関ほか3 | 285 | 23 | 6,116 | 2,402 | |
下関ほか1 | 92 | 4 | 1,957 | 1,957 | ||
小計 |
8,073 | 4,359 | ||||
高知県 | 高知ほか1 | 170 | 6 | 1,997 | 1,054 | |
高知 | 100 | 5 | 1,628 | 1,628 | ||
小計 |
3,625 | 2,683 | ||||
福岡県 | 福岡中央ほか11 | 885 | 33 | 9,728 | 4,225 | |
福岡中央ほか7 | 494 | 24 | 6,542 | 6,542 | ||
小計 |
16,271 | 10,767 | ||||
大分県 | 大分ほか4 | 430 | 15 | 4,320 | 1,527 | |
大分ほか2 | 131 | 6 | 2,099 | 2,099 | ||
小計 |
6,420 | 3,627 | ||||
鹿児島県 | 鹿児島ほか2 | 259 | 7 | 2,112 | 662 | |
鹿児島ほか2 | 127 | 3 | 560 | 560 | ||
小計 |
2,673 | 1,223 | ||||
沖縄県 | 那覇ほか4 | 338 | 17 | 5,035 | 1.659 | |
那覇ほか2 | 183 | 9 | 2,672 | 2,672 | ||
小計 |
7,708 | 4,332 | ||||
計 | 145箇所 | 10,813 | 362 | 130,450 | 42,712 | |
87箇所 | 4,750 | 170 | 57,867 | 57,867 | ||
合計 | 188,317 | 100,580 |
(注1) 上段は基本手当に係る分、下段は再就職手当に係る分である。
(注2) 公共職業安定所のうち、基本手当と再就職手当の双方について不適正な支給があったものが85、基本手当のみのものが60、再就職手当のみのものが2あり、したがって、公共職業安定所の実数は147である。
(注3) 不適正受給者のうち、基本手当と再就職手当の双方に係る者が167人、基本手当のみの者が195人、再就職手当のみの者が3人おり、したがって、不適正受給の実人員は365人である。