科目 | (貸付金)個人住宅貸付、賃貸住宅貸付 |
部局等の名称 | 北海道、東京、中国、四国各支店 |
受託金融機関 | 株式会社北海道銀行ほか2金融機関 |
貸付けの根拠 | 住宅金融公庫法(昭和25年法律第156号) |
貸付金の種類 | 団地住宅購入資金、マンション購入資金、一般賃貸住宅次年度以降用地資金 |
貸付けの内容 | 民間事業者が計画的、集団的に建設した分譲住宅又は中高層共同住宅を自ら居住するために購入する者に対する資金の貸付け、賃貸住宅の敷地を先行取得する地方住宅供給公社等に対する資金の貸付け |
貸付件数 | 4件 |
貸付金の合計額 | 770,900,000円 |
不当貸付金額 | 60,700,000円 |
1 貸付金の概要
住宅金融公庫(以下「公庫」という。)は、自ら居住するため住宅を必要とする者や、その者に住宅を建設して譲渡又は賃貸する事業を行う者等に対し、住宅の建設及び購入に必要な資金で、一般の金融機関から融通を受けることが困難な資金を直接又は金融機関に委託して貸し付けている。
公庫では、住宅の種類等に応じて各種の資金を貸し付けており、その中に団地住宅購入資金、マンション購入資金及び一般賃貸住宅次年度以降用地資金がある。
(1) 団地住宅購入資金及びマンション購入資金
団地住宅購入資金は、民間事業者が計画的、集団的に建設した分譲住宅を自ら居住するために購入する個人に、また、マンション購入資金は、同じく民間事業者が建設した中高層共同住宅を自ら居住するために購入する個人にそれぞれ貸し付けるものである。
これらの資金の貸付けにおいて、過去に自ら居住するための住宅について公庫の貸付けを受け償還中である者に対しては、二重に貸付けを行わないことになっている。したがって、そのような場合には、過去の貸付金をすべて償還させたうえで新たに貸し付けることになっている。
そして、これらの資金の貸付けに当たっては、〔1〕 借入申込者が自ら居住するため住宅を必要とし貸付対象住宅に居住すると認められる者であるか、〔2〕 過去に公庫の貸付けを受け償還中の者でないかなどについて審査を行うことになっている。また、貸し付けた後には、貸付けの対象となった住宅が自らの居住の用に供されているかなどについて調査し、用途変更等の事実が判明した場合は貸付金の繰上償還等の措置を執ることになっている。これらの審査及び調査については、公庫が自ら行うほか金融機関にも行わせている。
(2) 一般賃貸住宅次年度以降用地資金
一般賃貸住宅次年度以降用地資金は、自ら居住するため住宅を必要とする者に住宅を建設して賃貸する事業を行う地方住宅供給公社等の公的団体に対し、次年度以降に住宅を建設するために必要な土地(借地権を含む)の先行取得に必要な資金を貸し付けるものである。
この資金の貸付金額は、土地の所在地域の別に定めた土地1m2
当たり単価に建設する住宅の面積及び所定の割増し倍率を乗じて得た額を貸付対象額とし、その8割を限度とするとされている。この割増し倍率は、土地の高度利用の促進に資することを目的としたもので、高層の住宅ほど高い倍率が適用されることになっている。
2 検査の結果
公庫の貸付けについて調査したところ、4件770,900,000円の貸付けにおいて、60,700,000円の貸付けが不当と認められる。これらは、貸付けに当たっての審査や貸付け後の調査が十分でなかったため、資金が二重に又は過大に貸し付けられていたり、住宅が貸付けの当初から目的外に使用されていたりしていたものである。
これを貸付先別に示すと次のとおりである。
支店名 | 貸付先 | 貸付対象 | 貸付年月 | 貸付金額 | 貸付金額のうち 不当と認める額 |
摘要 | |||||
(受託金融機関名) | (所在地) | (貸付利率) | |||||||||
千円 | 千円 | ||||||||||
(団地住宅購入資金) | |||||||||||
(220) | 北海道支店 | 会社役員 | 住宅の購入 (札幌市) |
2.4 | 16,200 (3,900) |
16,200 | 二重貸付及び第三者賃貸 | ||||
株式会社北海道銀行 | 年4.4% 11年以降 年4.95% |
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この貸付けは、住宅の購入に必要な資金16,268,000円の一部として、16,200,000円を貸し付けたものである。 しかし、借入者は、昭和59年に住宅の建設資金の貸付けを受けその償還中であり、その旨を借入申込書に記入していたのに、公庫及び受託金融機関においてこれを見過ごして、二重に貸し付けていた。そして、借入者は、本件貸付けの対象となった住宅に居住しておらず、第三者に賃貸していた。 なお、本件の不当貸付金残高16,090,150円については、平成3年8月に繰上償還された。 |
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(注) 貸付金額欄の( )書きは、借入者の希望による特別加算額を内書きしたもので、これについては当初から年4.95%の貸付利率が適用されている。 | |||||||||||
(221) | 四国支店 | 団体役員 | 住宅の購入 (高松市) |
2.4 | 19,600 (7,000) |
19,600 | 二重貸付及び第三者賃貸 | ||||
株式会社百十四銀行 | 年4.55% 11年目以降 年5.2% |
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この貸付けは、住宅の購入に必要な資金31,840,000円の一部として、19,600,000円を貸し付けたものである。 しかし、借入者は、昭和63年に住宅の購入資金の貸付けを受けその償還中であり、その旨を借入申込書に記入していたのに、公庫及び受託金融機関においてこれを見過ごして、二重に貸し付けていた。そして、借入者は、本件貸付けの対象となった住宅に居住しておらず、第三者に賃貸していた。 なお、本件の不当貸付金残高19,494,179円については、平成3年6月に繰上償還された。 |
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(注)貸付金額欄の( )書きは、借入者の希望による特別加算額を内書きしたもので、これについては当初から年5.2%の貸付利率が適用されている。 | |||||||||||
(マンション購入資金) | |||||||||||
(222) | 中国支店 | 美容業営業主 | 住宅の購入 | 62.10 | 10,600 (2,500) |
10,600 | 目的外使用 | ||||
株式会社広島銀行 | 広島県安芸郡府中町 | 年4.2% 11年目以降 年4.7% |
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この貸付けは、住宅の購入に必要な資金21、600,000円の一部として、10,600,000円を貸し付けたものである。そして、この住宅については、受託金融機関が公庫の指示により平成2年7月にその使用状況の調査を行っており、貸付けの目的どおり使用されているとしていた。 しかし、実際は、借入者は、昭和62年10月に貸付けを受けた後、公庫の承諾を得ないまま当該住宅の一部を改装して同年11月から業務用看板を掲げて美容室を開業しており、この住宅に居住していなかった。 なお、本件の不当貸付金残高10,384,915円については、平成3年3月に繰上償還された。 |
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(一般賃貸住宅次年度以降用地資金) | |||||||||||
(223) | 東京支店 | 東京都住宅供給公社 | 土地の取得 | 3.3 (年4.55%) |
724,500 | 14,300 | 過大貸付 | ||||
東京都町田市 | |||||||||||
この貸付けは、東京都住宅供給公社が、町田市に建設する賃貸住宅の敷地21,984m2
の先行取得に必要な資金5,551,777,000円の一部として、724,500,000円を貸し付けたものである。この賃貸住宅は、3階建て共同住宅3棟121戸、2階建て共同住宅2棟10戸、計5棟131戸からなるものである。 そして、その貸付対象額については、別に定められた土地の1m2 当たり単価に3階建てから5階建てまでの中層の共同住宅に適用される階層割増しの倍率1.6を乗ずるとともに、建設する住宅の面積に同じく容積割増しの倍率2を乗じ、それぞれ得られた金額と面積を乗じて得た額としていた。 しかし、貸付対象額は、賃貸住宅が構造、戸建て型式又は階数の異なる2以上の棟で構成されている場合は、それぞれ異なる部分ごとに計算することとされているのであるから、本件賃貸住宅については、3階建ての部分と2階建ての部分に分けて計算すべきである。 したがって、これにより計算すると、2階建て部分の割増しとしては、土地の1m2 当たり単価に割増し倍率1.2のみを乗ずることになっていることから貸付対象額が少額となり、適正な貸付金額は710,200,000円となるので、本件貸付金額との差額14,300,000円が過大な貸付けとなっている。 なお、本件の不当貸付金額については、平成3年9月に繰上償還された。 |
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(220)-(223) の計 | 770,900 | 60,700 |