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仕業庫及び交検庫新設工事の施行に当たり、鉄骨の製作運搬工事及び建方工事の施工が設計と著しく相違していて、工事の目的を達していないもの


(235) 仕業庫及び交検庫新設工事の施行に当たり、鉄骨の製作運搬工事及び建方工事の施工が設計と著しく相違していて、工事の目的を達していないもの

科目 (項)用地対策費
部局等の名称 新潟支社
工事名 (1) 新津駅仕業庫外鉄骨製作運搬工事
(2) 新津駅建築7(仕業庫鉄骨建方他)工事
工事の概要 (1) 仕業庫及び交検庫を新設するため、これらの鉄骨を製作し運搬する工事
(2) (1)の工事で製作運搬された鉄骨を組み立てる工事
工事費 (1) 119,686,000円
(2) 24,926,000円
144,612,000円
請負人 (1) 藤木鉄工株式会社
(2) 第一建設工業株式会社
契約 (1) 平成2年7月 指名競争契約
(2) 平成3年2月 指名競争契約
しゅん功検査 (1) 平成3年3月
(2) 平成3年4月
支払 (1) 平成3年4月
(2) 平成3年5月
目的を達していない工事の額 (1) 119,686,000円
(2) 24,926,000円
144,612,000円
 これらの工事は、監督及び検査が適切でなかったため、仕業庫及び交検庫の鉄骨の製作運搬工事及び建方工事(工事費144,612,000円)の施工が設計と著しく相違したものとなっていて、工事の目的を達していないと認められる。

1 工事の概要

 これらの工事は、日本国有鉄道清算事業団新潟支社が、新潟駅構内にある東日本旅客鉄道株式会社の仕業庫(注1) 及び交検庫(注2) の代替施設として新津駅構内に仕業庫及び交検庫 を新設するため、平成2年度に、鉄骨の製作運搬工事(仕業庫分鋼材270t、交検庫分鋼材213t)及び建方工事(仕業庫鉄骨造り平屋建て3,200m2 、交検庫鉄骨造り平屋建て1,500m2 )を、それぞれ工事費119,686,000円及び24,926,000円で施行したものである。
 このうち、鉄骨製作運搬工事は工場で鉄骨を製作加工し現場まで運搬するものであり、また、鉄骨建方工事はこの鉄骨を現場において組み立てるものである。
 そして、これらの工事は、設計図書等に基づき、それぞれ次のような工程により施工することとなっていた(下図参照)

ア 鉄骨製作運搬工事について

(ア) 設計図書に基づき、実際に製作する鉄骨の部材ごとの工作図を作成する。

(イ) 工作図に基づき、鋼材の切断位置、せん孔位置等を記入した実物大の定規及び型板を作成する。

(ウ) 定規及び型板を使用して鋼材に罫書(けがき)を行い、鋼材の切断、せん孔、曲げ、溶接、塗装等を行って柱、梁(はり)、筋交(すじか)い、母屋(もや)、胴縁(どうぶち)等を製作加工する。

(エ) 完成した各部材を工場から搬出し、現場まで運搬する。

イ 鉄骨建方工事について

 現場において、上記のア(エ)により運搬された各部材をボルト等で接合し、順次組み立てる。なお、これらの部材が使用に適さないと認めたときは、直ちに、監督員に通知することとなっている。

現場において、上記のア(エ)により運搬された各部材をボルト等で接合し、順次組み立てる。なお、これらの部材が使用に適さないと認めたときは、直ちに、監督員に通知することとなっている。

2 検査の結果

 これらの工事の施工状況を調査したところ、両工事とも、次のように適切とは認められない施工となっていた。

ア 鉄骨製作運搬工事について

 工事を請け負った藤木鉄工株式会社において、

(ア) 定規及び型板の作成に当たって、誤って、工作図に示されている寸法と異なった鋼材の切断位置、せん孔位置等を定規及び型板に記入していた。

(イ) この誤った定規及び型板を使用して罫書を行ったなどのため、鋼材を設計より長く切断したり、設計と異なった位置にせん孔したりなどしていた。

(ウ) 設計図では受けピース(注3) は全周に溶接することとされているのに、これを工作図

に明示しなかったため、受けピースと柱又は梁との溶接が設計の半分程度しか行われていなかった。

(エ) このように製作加工が適切でない柱、梁、筋交い等を設計どおり完成したこととして搬出していた。

イ 鉄骨建方工事について

 工事を請け負った第一建設工業株式会社において、上記の製作加工が適切でない柱、梁、筋交い等をそのまま使用して組み立てたため、建方がある程度進行した段階で、寸法の誤りによりポルトを締結することができないなどの状況が生じたにもかかわらず、そのまま工事を進め、工事をしゅん功したこととしていた。

ウ 上記ア及びイのような施工となっていたのに、日本国有鉄道清算事業団新潟支社において、これを見過ごしたまましゅん功検査を了するなど両工事における監督及び検査が著しく適切を欠いていた。

 以上のことから、別表のとおり、適切とは認められない事態が多数見受けられ、仕業庫及び交検庫は建築物として構造上不安定な状態にあると認められる。
 これら適切とは認められない事態のうち、その主なものを挙げると次のとおりである。

(ア) 仕業庫において間柱を設計より長く製作したため、間柱と梁が針金で仮止めされただけとなっていて十分接合されていない。

(イ) 交検庫において梁のボルト孔とプレートのボルト孔の位置がずれているため、ボルト締めが行われておらず梁と梁が十分接合されていない。

(ウ) 仕業庫及び交検庫において受けピースと柱又は梁との溶接が設計どおり行われていないため、胴縁又は母屋が十分に支持されていない。

 したがって、仕業庫及び交検庫の鉄骨の製作運搬工事及び建方工事(工事費119,686,000円、24,926,000円、計144,612,000円)は、監督及び検査が適切でなかったため、その施工が設計と著しく相違したものとなっていて、工事の目的を達していないものと認められる。

(注1)  仕業庫 車両の使用状況に応じ、運転前に車両主要部分の状態について主に外部から検査を行うために設置された建物

(注2)  交検庫 所定の周期で車両主要部分の状態について、特定主要機器を取りはずし又は解体したうえで細部の検査を行うために設置された建物

(注3)  受けピース 柱又は梁に溶接して、胴縁又は母屋を支持する部材

別表

(単位:箇所)


事態の大要

仕業庫

交検庫

 

屋根面 妻面 側面 屋根面 妻面 側面 屋根面 妻面 側面
〔1〕 梁のボルト孔と、梁と梁を接合するためのプレートのボルト孔の位置がずれているため、ボルト締めが行われておらず、梁と梁が十分接合されていないもの 3 - - 1 - - 4 - -
〔2〕 間柱を設計より長く製作したため、間 柱と梁が針金で仮止めされただけとなっているなど、間柱と梁が十分接合されていないもの - 1 - - 12 1 - 13 1
〔3〕 筋交いのボルト孔と、柱又は梁に取り付けられたプレートのボルト孔の位置がずれているため、ボルト締めが行われておらず、筋交いと柱又は梁が十分接合されていないもの 2 - 3 24 - - 26 - 3
〔4〕 柱に取り付けられた伸縮継手の機能を果たす受けピースのボルト孔が設計より小さかったため、その機能を果たしておらず、これと接合される胴縁が固定された状態となっているもの - - 4 - - - - - 4
〔5〕 胴縁のボルト孔と、受けピースのボルト孔の位置がずれているため、ボルト締めが行われておらず、柱、間柱又は梁と胴縁が十分接合されていないもの - 1 3 - 62 169 - 63 172
〔6〕 母屋のボルト孔と、受けピースのボルト孔の位置がずれているため、ボルト締めが行われておらず、梁と母屋が十分接合されていないもの 39 - - 21 - - 60 - -
〔7〕 受けピースと柱又は梁との溶接が設計どおり行われていないため、胴縁又は母屋が十分に支持されていないもの 1,501 78 476 666 198 368 2,167 276 844
〔8〕 その他(ボルトが本締めされていないものなど) 1 - 5 - 42 3 1 42 8

(参考図)

(参考図)