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私立大学等経常費補助金の経理が不当と認められるもの


(236)−(239)私立大学等経常費補助金の経理が不当と認められるもの

科目 (補助金勘定) (項)交付補助金
部局等の名称 日本私学振興財団
補助の対象 私立大学等における専任教職員の給与等教育又は研究に要する経常的経費
補助の根拠 私立学校振興助成法(昭和50年法律第61号)
事業主体 学校法人跡見学園ほか3学校法人
上記に対する財団の補助金交付額の合計 5,147,248,000円
不当と認める財団の補助金交付額 42,493,000円

 上記の4事業主体に対する補助金の交付において、事業主体から提出された資料に補助金の額の算定の対象とはならない教職員が記入されるなどしているのに、日本私学振興財団では、この資料に基づいて補助金の額を算定したため、補助金が過大に交付された結果となっていて、補助金42,493,000円が不当と認められる。

1 補助金の概要

(補助金交付の目的)

 日本私学振興財団(以下「財団」という。)は、私立学校振興助成法(昭和50年法律第61号)に基づき、国の補助金を財源として、私立大学等(注1) を設置する学校法人に私立大学等経常費補助金を交付している。この補助金は、私立大学等の教育条件の維持及び向上並びに学生の修学上の経済的負担の軽減を図るとともに私立大学等の経営の健全性を高めることを目的として、私立大学等における専任教職員の給与等教育又は研究に要する経常的経費に充てるために交付されるものである。

(補助金の額の算定資料)

 この補助金について、財団では、補助金の額を算定する資料として、各学校法人に補助金交付申請書とともに、〔1〕 前年度の12月末日現在の専任教員等(注2) の数、専任職員数及び学生数、〔2〕 前年度決算に基づく学生納付金収入、教育研究経費支出及び設備関係支出などに関する資料を提出させている。

(補助金の額の算定方法)

 財団は、上記の資料に基づき、補助金の額を次のとおり算定している。

(ア) 経常的経費を専任教員等給与費、専任職員給与費、教育研究経常費等の経費に区分し、それぞれの経費ごとに専任教員等の数、専任職員数又は学生数等に所定の補助単価等を乗じて補助金の基準額を算定する。

(イ) 各私立大学等の教育研究条件の良否によって補助金の額に差異を設けるため、〔1〕 学生総定員に対する在籍学生数の割合、〔2〕 専任教員等の数に対する在籍学生数の割合、及び〔3〕 学生納付金収入に対する教育研究経費支出と設備関係支出との合計額(以下「教育研究経費支出等の額」という。)の割合に基づいて調整係数を算定する。

 そして、教育研究経費支出等の額の算定に当たっては、食堂、学生寮等教育活動に付随する事業に係る支出額は、当該支出額からこの事業に係る収入額に相当する額を差し引いた額を教育研究経費支出等の額に含める取扱いとなっている。

(ウ) (ア)で算定した経費ごとの基準額に(イ)で算定した調整係数を乗ずるなどの方法により得られた金額を合計して補助金の額を算定する。

(補助金の額の算定の対象となる専任教員等及び専任職員の要件)

 補助金の額の算定の対象となる専任教員等又は専任職員については、次の要件のすべてに該当する者となっている。

(ア) 当該私立大学等の専任教員等又は専任職員として発令されていること

(イ) 当該学校法人から主たる給与の支給を受けていること

(ウ) 当該私立大学等に常時勤務していること

 ただし、これらの要件に該当する者であっても、臨床実習が行われていない医歯学部附属病院に勤務する助手及び職員は、補助金の額の算定の対象となる専任教員等及び専任職員から除外することとなっている。

(注1)  私立大学等 私立の大学、短期大学及び高等専門学校

(注2)  専任教員等 専任の学長、校長、副学長、教授、助教授、講師及び助手

2 検査の結果

 検査の結果、4事業主体において、前記の資料に、補助金の額の算定の対象とはならない教職員を記入するなどしているのに、財団では、これに基づいて補助金の額を算定したため、補助金が過大に交付された結果となっていて、補助金42,493,000円が 不当と認められる。

 これを学校法人別に示すと次のとおりである。

事業主体 年度 補助金交付額 不当と認める補助金額
(本部所在地)
千円 千円
(236) 学校法人 跡見学園
(東京都文京区)
平成元 231,850 7,895

 上記の学校法人は、財団に提出した資料に、跡見学園短期大学に係る昭和63年度の教育研究経費支出等の額を189,716千円と記入しており、財団では、この数値等に基づき、平成元年度の同学校法人に対する補助金を231,850,000円と算定していた。
 しかし、上記の教育研究経費支出等の額のうち学生寮等教育活動に付随する事業に係る支出額には、これから差し引くこととされている寮費等の収入額に相当する額2,828千円が含まれていた。
 したがって、これを除外して算定すると、学生納付金収入に対する教育研究経費支出等の額の割合等に基づいて算定した調整係数が下がることになるので、適正な補助金は223,955,000円となり、7,895,000円が過大に交付されていた。

(237) 学校法人 国際基督教大学
(東京都三鷹市)
平成2 912,121 19,129

 上記の学校法人は、財団に提出した資料に、国際基督教大学に在籍する平成元年12月末日現在の学生数を1,961人と記入しており、財団では、この数値等に基づき、2年度の同学校法人に対する補助金を912,121,000円と算定していた。
 しかし、上記の学生数には同大学に編入学した学生47人が含まれておらず、実際の在籍学生数は2,008人であった。
 したがって、この在籍学生数により算定すると、学生総定員に対する在籍学生数の割合等に基づいて算定した調整係数が下がることになるので、適正な補助金は892,992,000円となり、19,129,000円が過大に交付されていた。

(238) 学校法人 自治医科大学
(東京都千代田区)
平成2 2,173,272 14,117
 上記の学校法人は、財団に提出した資料に、自治医科大学に所属する平成元年12月末日現在の専任教員等の数を381人と記入しており、財団では、この数値等に基づき、2年度の同学校法人に対する補助金を2,173,272,000円と算定していた。
 しかし、上記の専任教員等のうち3人は、臨床実習が行われていない同大学附属医療センターに勤務している助手であって、補助金の額の算定の対象とはならないと認められる。
 したがって、これを除外して算定すると、補助金の基準額が減少するので、適正な補助金は2,159,155,000円となり、14,117,000円が過大に交付されていた。
(239) 学校法人 久留米大学
(福岡県久留米市)
平成元 1,830,005 1,352
 上記の学校法人は、財団に提出した資料に、久留米大学に所属する昭和63年12月末日現在の専任職員の数を300人と記入しており、財団では、この数値等に基づき、平成元年度の同学校法人に対する補助金を1,830,005,000円と算定していた。
 しかし、上記の専任職員のうち1人は、常時勤務している者に該当しないので、補助金の額の算定の対象とはならないと認められる。
 したがって、これを除外して算定すると、補助金の基準額が減少するので、適正な補助金は1,828,653,000円となり、1,352,000円が過大に交付されていた。
(236)-(239) の計 5,147,248  42,493