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  • 平成2年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第11 北海道旅客鉄道株式会社、第12 東日本旅客鉄道株式会社、第13 東海旅客鉄道株式会社、第14 九州旅客鉄道株式会社|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項|
  • (東海旅客鉄道株式会社)

新幹線軌道工事における道床交換費及び枕木(まくらぎ)交換費の積算を施工の実態に適合するよう改善させたもの


新幹線軌道工事における道床交換費及び枕木(まくらぎ)交換費の積算を施工の実態に適合するよう改善させたもの

科目 (款)鉄道事業営業費 (項)線路保存費
(款)建設勘定 (項)環境保全 (項)安全輸送対策
部局等の名称 新幹線鉄道事業本部及び関西支社
工事名 「浜松豊橋間256K000M付近ほか1箇所道床更換工事」ほか22工事
工事の概要 東海道新幹線の列車運転の安全性を保持するために行う軌道工事の一環として、道床の材料であるバラストを入れ換えたり、枕木を新しいものと交換したりするなどの工事
工事費 696,880,318円
請負人 名古屋軌道工業株式会社ほか3会社
契約 平成2年3月〜12月 随意契約
過大積算額 2500万円

<検査の結果>
 上記の各工事において、道床交換費及び枕木交換費等の積算(積算額6億7907万余円)が適切でなかったため、積算額が約2500万円過大になっていた。
 このように積算額が過大になっていたのは、バックホウを使用して施工する場合の道床交換費及び枕木交換費の積算方法が積算の基準に定められていなかったため、人力施工を前提とした積算を行っていて、施工の実態が積算に反映されていなかったことによるものである。
 したがって、施工の実態に即した積算をする要があると認められた。
<当局が講じた改善の処置>
 本院の指摘に基づき、東海旅客鉄道株式会社では、平成3年10月に、道床交換費及び枕木交換費の積算が施工の実態に即したものとなるよう積算の基準を改正し、同年11月以降積算する工事から適用することとする処置を講じた。

1 工事の概要

(道床の交換工事等)

 東海旅客鉄道株式会社(以下「JR東海」という。)では、東海道新幹線の列車運転の安全性を保持するために行う軌道保守工事の一環として、道床の交換工事及び枕木(プレストレストコンクリート製)の交換工事を毎年多数施行している。

 この両工事の工事内容は、次のとおりである。

(1) 道床の交換工事について

 この工事は、列車の荷重を繰り返し受けることなどにより道床の材料であるバラスト(砕石)が細粒化したり固結したりして、レールの沈下等が発生するのを防止するため、東海道新幹線線路延長約518kmのうちのバラスト道床区間約497kmにおいて、バラストを入れ換えて道床を更新するものである。

  その標準的な施工工程は、下図のとおりとなっている。

その標準的な施工工程は、下図のとおりとなっている。

(2) 枕木の交換工事について

 この工事は、列車の荷重を繰り返し受けることにより枕木下部が欠損し、枕木の支持力が失われることなどを防止するため、古い枕木を新しいものと交換するものである。

 その施工工程は下図のとおりとなっている。

その施工工程は下図のとおりとなっている。

(工事費の積算方法)

 JR東海では、上記(1)及び(2)の工事における工事費の積算を、JR東海新幹線鉄道事業本部制定の「営業線軌道工事積算要領(新幹線—1)(暫定案)」等(以下「積算要領」という。)に基づいて行っている。そして、下記の各作業については、ショベル、つるはし等を使用して人力施工によることを前提とした歩掛かりにより、所要人員を計算し、これに労務単価を乗じるなどして工事費を算出している。

(1)の工事 バラスト(再利用分)の掘削、バラストの掻き込み・填充

(2)の工事

バラストの撤去、古い枕木の撤去、新しい枕木の挿入、バラストの掻き込み・填充

2 検査の結果

(施工の実態)

 近年、労働力が不足して作業員の量的確保が困難になってきていることから、鉄道の軌道工事においては、一般の建設工事に用いるバックホウ等を使用するようになってきている。
 そこで、JR東海新幹線鉄道事業本部及び関西支社が平成2年度に施行した道床交換工事及び枕木交換工事の施行状況を調査したところ、「浜松豊橋間256K000M付近ほか1箇所道床更換工事」ほか22工事(道床交換費等の積算額4億9498万余円、枕木交換費等の積算額1億8409万余円、積算額計6億7907万余円)においては、終電車から始発電車までの線路が閉鎖されている間、次のような方法で能率的な施工を行っていた。
 すなわち、工事の施工延長が長く保守作業時間が十分確保できる場合で、バックホウによる施工が可能な場合には、バックホウを施工現場に搬入し、これにより前記の人力施工であることを前提として積算した各作業を行っていた(参考図参照)
 この方法は人力に比べ施工能力が高くて能率的であり労務費を軽減できることから、これによれば単位作業量当たりの施工単価が低減できると認められる。

(参考図)

(参考図)

(適切な積算方法)

 したがって、前記のように施工延長が長く保守作業時間が十分確保できる場合の工事については、人力施工を前提とするのではなく、バックホウによる施工を前提とした積算をするのが適切であると認められた。
 いま、前記の23工事について、施工の実態に即してバックホウを使用して施工するとして道床交換費及び枕木交換費等を積算したとすれば、積算額を(1)の工事で約1790万円、(2)の工事で約710万円、計約2500万円低減できたと認められた。

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、JR東海では、3年10月に、道床交換費及び枕木交換費の積算が施工の実態に即したものとなるよう積算要領を改正し、同年11月以降積算する工事から適用することとする処置を講じた。