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租税の徴収に当たり、徴収額に過不足があったもの


(3) 租税の徴収に当たり、徴収額に過不足があったもの

会計名及び科目 一般会計 国税収納金整理資金 (款)歳入組入資金受入
(項)各税受入金
部局等の名称 麹町税務署ほか170税務署
納税者 425人
徴収過不足額 徴収不足額 1,456,426,076円
徴収過大額 48,157,200円
 
 上記の171税務署において納税者425人から租税を徴収するに当たり、課税資料の収集・活用が的確でなかったなどのため、徴収額が不足していたものが418事項1,456,426,076円、徴収額が過大になっていたものが7事項48,157,200円あった。これらについては、本院の指摘により、すべて徴収決定又は支払決定の処置が執られた。

1 租税の概要

 源泉所得税、申告所得税、法人税、相続税・贈与税等の国税については、法律により、納税者の定義、納税義務の成立の時期、課税する所得の範囲、税額の計算方法、納付の方法などが定められている。

 平成3年度国税収納金整理資金の各税受入金の徴収決定済額は68兆1057億余円に上っている。このうち源泉所得税は20兆9,392億余円、申告所得税は7兆5,873億余円、法人税は17兆5,481億余円、相続税・贈与税は4兆2,576億余円となっていて、これら各税の合計額は50兆3,324億余円となり、全体の73.9%を占めている。

2 検査の結果

(徴収過不足の事態)

 上記各税の課税内容に重点をおいて検査したところ、麹町税務署ほか170税務署において、納税者425人から租税を徴収するに当たり、徴収額が不足していたものが418事項1,456,426,076円、徴収額が過大になっていたものが7事項48,157,200円あった。

 これを、税目別にみると次表のとおりである。

税目 徴収不足の事項数
徴収過大の事項数
徴収不足額
徴収過大額(△)

源泉所得税

25

47,639,056
1 △8,920,000
申告所得税 167 429,030,320
2 △6,899,700
法人税 200 868,849,100
4 △32,337,500
相続税・贈与税 24 104,708,800
- -
その他 2 6,198,800
- -
418 1,456,426,076
7 △48,157,200

 なお、これらの徴収不足額及び徴収過大額については、本院の指摘により、すべて徴収決定又は支払決定の処置が執られた。

(発生原因)

 上記の171税務署において、徴収不足又は徴収過大の事態を生じた原因は、納税者が申告書等において所得金額や税額等を誤っているのに、課税資料の収集・活用が的確でなかったり、法令等の適用の検討が十分でなかったり、これを見過ごしたりして、誤ったままにしていたことなどによるものである。

(税目ごとの態様)

 この425事項のうち、源泉所得税、申告所得税、法人税及び相続税・贈与税に関するものについて、その態様を示すと次のとおりである。

(1) 源泉所得税に関するもの

 源泉所得税では徴収不足又は徴収過大となっていたものが26事項あった。この内訳は、配当に関するもの16事項、退職手当及び給与等に関するもの10事項である。

ア 配当に関するもの

 配当の支払者は、支払の際に、所定の方法により計算した源泉所得税を徴収し、これを徴収の日の属する月の翌月10日までに国に納付しなければならないこととなっている。また、支払が確定した日から1年を経過した日において未払となっている配当については、その日に支払があったものとみなし、支払者が配当に対する税額を徴収してその翌月10日までにこれを国に納付しなければならないこととなっている。そして、この法定納期限までに納付がない場合には、支払者に対して、納税の告知をしなければならないこととなっている。

 この配当に関し、徴収不足となっている事態が16事項あった。その主な内容は、法定納期限を経過した後、長期間にわたって源泉所得税が納付されていないのに、これを見過ごしたため、納税の告知をしていなかったものである。

イ 退職手当及び給与等に関するもの

 退職手当及び給与等(給料、賃金、賞与等をいう。)の支払者は、支払の際に、所定の方法により計算した源泉所得税を徴収し、これを徴収の日の属する月の翌月10日までに国に納付しなければならないこととなっている。そして、この法定納期限までに納付がない場合には、支払者に対して、納税の告知をしなければならないこととなっている。

 この退職手当及び給与等に関し、徴収不足又は徴収過大となっている事態が10事項あった。その主な内容は、税額の計算に誤りがあり、税額が過小のままとなっているのに、これを見過ごしたため、納税の告知をしていなかったものである。

(事例1 参照)

源泉所得税に関する徴収不足の事例を示すと次のとおりである。

〈事例1〉   退職手当に対する税額の計算を誤っていたもの

 A会社は、平成2年4月に支払った退職手当75,160,276円に対する源泉所得税額を1,271,500円としていた。

 しかし、当該退職手当に対する源泉所得税額は12,715,000円と計算すべきところを同会社は誤って1,271,500円と計算しているのに、これを見過ごしたため、源泉所得税額11,443,500円が徴収不足になっていた。

(2) 申告所得税に関するもの

 申告所得税では徴収不足又は徴収過大となっていたものが169事項あった。この内訳は、不動産所得に関するもの47事項、譲渡所得に関するもの39事項、配当所得に関するもの27事項、雑所得に関するもの19事項及びその他に関するもの37事項である。

ア 不動産所得に関するもの

 不動産を貸し付けた場合には、その総収入金額から必要経費を差し引いた金額を不動産所得として、他の各種所得と総合して課税することとなっている。

 この不動産所得に関し、徴収不足となっている事態が47事項あった。その主な内容は、申告書等で、貸し付けた不動産の取得費や翌年以降の経費などが必要経費に含まれているのに、これを見過ごしたため、不動産所得の金額を過小のままとしていたものである。

イ 譲渡所得に関するもの

 資産を譲渡した場合には、その総収入金額から譲渡した資産の取得費や譲渡に要した費用の額などを差し引いた金額を譲渡所得として、他の各種所得と総合して課税することとなっている。ただし、土地建物等の譲渡による所得については、他の所得と分離して課税することとなっていて、その所有期間に応じて長期譲渡所得(注1) と短期譲渡所得(注2) とに分けてそれぞれ特別な計算方法により税額を算出している。

 この譲渡所得に関し、徴収不足又は徴収過大となっている事態が39事項あった。その主な内容は次のとおりである。

(ア) 申告書等で、譲渡した土地建物等の取得費や譲渡に要した費用の額などに誤りがあり、譲渡所得の金額が少なく記載されているのに、これを見過ごしたため、譲渡所得の金額を過小のままとしていた。

(事例2 参照)

(イ) 申告書で譲渡所得に対する税額の計算に誤りがあるのに、法令等の適用の検討が十分でなかったり、これを見過ごしたりしたため、税額を過小のままとしていた。

(注1)  長期譲渡所得 譲渡した年の1月1日において土地建物等の所有期間が10年(昭和62年10月1日から平成9年3月31日までの間の土地等の譲渡又は2年1月1日から9年3月31日までの間の建物等の譲渡については5年)を超えるものの譲渡による所得をいう。

(注2)  短期譲渡所得 土地建物等の譲渡による所得のうち長期譲渡所得以外のものをいう。

ウ 配当所得に関するもの

 法人から配当を受けた場合には、源泉分離選択課税(注) の適用を受けた配当などを除いて、配当所得として、他の各種所得と総合して課税することとなっている。そして、法人の解散による残余財産の分配金の額のうち出資金に相当する額を超える部分の金額などは、配当の額とみなされることとなっている。

 この配当所得に関し、徴収不足となっている事態が27事項あった。その主な内容は、納税者に法人から受けた配当による所得があるのに、これに係る課税資料の収集・活用が的確でなかったため、この所得を他の所得と総合して課税していなかったものである。

(事例3 参照)

(注)  源泉分離選択課税 配当について、その支払を受ける者が法人の発行済株式の総数(又は出資金額)の100分の5以上を有する場合又は法人から支払を受ける配当の金額が1回25万円(年間50万円)以上の場合を除いて、その者の選択により他の所得と分離し100分の35の税率を適用して源泉所得税を課すことをいう。

エ 雑所得に関するもの

 貸付金の利子(事業所得に該当するものを除く。)などを受けた場合には、その総収入金額から必要経費を差し引いた金額を雑所得として、他の各種所得と総合して課税することとなっている。

 この雑所得に関し、徴収不足となっている事態が19事項あった。その主な内容は、納税者に貸付金の利子による所得があるのに、これに係る課税資料の収集・活用が的確でなかったため、この所得を他の所得と総合して課税していなかったものである。

オ その他に関するもの

 上記のアからエのほか、給与所得、事業所得、一時所得等に関し、徴収不足又は徴収過大となっている事態が37事項あった。

申告所得税に関する徴収不足の事例を示すと次のとおりである。

〈事例2〉  譲渡所得について譲渡した資産の取得費及び譲渡に要した費用の額の合計額を過大に計上していたもの

 納税者Bは、平成元年分の申告に当たり、土地の譲渡所得の計算において、譲渡価額143,500,000円からその土地の取得費及び譲渡に要した費用の額の合計額74,814,700円及び特別控除額1,000,000円を差し引いて、長期譲渡所得の金額を67,685,300円としていた。

 しかし、同人の申告書等によれば、土地の取得費が7,175,000円、その譲渡に要した費用が4,639,700円となっているので、これらの額の合計額は11,814,700円となる。したがって、上記長期譲渡所得の金額は130,685,300円となるのに、これを見過ごしたため、申告所得税額15,750,000円が徴収不足になっていた。

〈事例3〉  配当所得について課税していなかったもの

 納税者Cは、平成元年分の申告に当たり、配当所得はないとしていた。

 しかし、D会社の解散に伴う清算確定申告書等によれば、同会社は、元年5月に同人に対し、解散による残余財産のうち55,200,095円を分配している。したがって、同人にはこの額から同人の出資金額1,930,000円を差し引いた53,270,095円の配当所得があるのに、上記の申告書等からこの事実を把握していなかったため、申告所得税額8,624,800円が徴収不足になっていた。

(3) 法人税に関するもの

 法人税では徴収不足又は徴収過大となっていたものが204事項あった。この内訳は、土地等の譲渡等に係る譲渡利益に関するもの37事項、法人税額の特別控除に関するもの26事項、退職給与引当金に関するもの26事項、同族会社の留保金に関するもの22事項及びその他に関するもの93事項である。

ア 土地等の譲渡等に係る譲渡利益に関するもの

 法人の短期所有土地(注1) 等、超短期所有土地(注2) 等の譲渡等について、それぞれ区分し、収益の額から原価と経費の額を差し引いて譲渡利益金額が算出される場合には、通常の法人税のほか、それぞれの譲渡利益金額に対し特別税率(短期所有土地等は100分の20、超短期所有土地等は100分の30)の法人税を課すこととなっている。

 この土地等の譲渡等に係る譲渡利益に関し、徴収不足となっている事態が37事項あった。その主な内容は次のとおりである。

(ア) 申告書等で、短期所有土地等の譲渡利益金額と超短期所有土地等の譲渡損失金額が合算されるなどし、譲渡利益金額が算出されなかったり、少なく算出されたりしていた。しかし、法令等の適用の検討が十分でなかったり、これを見過ごしたりしたため、特別税率の法人税を課していなかったり、譲渡利益金額を過小のままとしたりしていた。

(事例4 参照)

(イ) 申告書等で収益、原価又は経費の額に誤りがあり、譲渡利益金額が記載されていなかったり、少なく記載されていたりしていた。しかし、法令等の適用の検討が十分でなかったり、これを見過ごしたりしたため、特別税率の法人税を課していなかったり、譲渡利益金額を過小のままとしたりしていた。

(注1)  短期所有土地等 譲渡した年の1月1日までに所有していた期間が10年(昭和62年10月1日から平成9年3月31日までの譲渡では5年)以下である土地等をいう。ただし、超短期所有土地等に該当するものを除く。

(注2)  超短期所有土地等 昭和62年10月1日から平成9年3月31日までに譲渡した土地等のうち、譲渡した年の1月1日までに所有していた期間が2年以下である土地等をいう。

イ 法人税額の特別控除に関するもの

 青色申告書を提出する法人のうち中小企業者等(発行済株式の総数の2分の1以上が同一の大規模法人の所有に属しているなどの法人を除く。)が電子機器利用設備を取得し又は賃借した場合には、その設備を事業に使用した最初の事業年度において、次の金額のうちいずれか少ない金額を限度として法人税額から控除する特例を適用できることなどとなっている。

〔1〕 取得価額又は賃借期間中に支払う費用の総額に一定の割合を乗じて得た金額

〔2〕 確定申告書の法人税額の100分の20に相当する金額

この法人税額の特別控除(以下「税額控除」という。)に関し、徴収不足となっている事態が26事項あった。その主な内容は次のとおりである。

(ア) 申告書等で、特例が適用できる中小企業者に該当しない法人が税額控除をしているのに、これを見過ごしたため、法人税額を過小のままとしていた。

(イ) 申告書等で、前期以前に既に税額控除された金額が当期の法人税額から重複して控除されるなどしているのに、これを見過ごしたため、法人税額を過小のままとしていた。

(事例5 参照)

ウ 退職給与引当金に関するもの

 退職給与規程を定めている法人は、その使用人の退職の際に支給する退職給与に充てるための金額を退職給与引当金勘定に繰り入れることができる。そして、この繰り入れた金額については、次の金額のうちいずれか少ない金額を限度として、損金に算入できることとなっている。

〔1〕 期末退職給与の要支給額(注) から前期末退職給与の要支給額を差し引いた金額(又は給与総額の100分の6に相当する金額)

〔2〕 期末退職給与の要支給額の100分の40に相当する金額から、前期から繰り越された退職給与引当金勘定の期末における金額を差し引いた金額

 また、使用人が退職した場合には、退職給与引当金勘定の金額から、退職者の前期末退職給与の要支給額に相当する金額を取り崩して益金に算入することとなっている。

 この退職給与引当金に関し、徴収不足又は徴収過大となっている事態が26事項あった。その主な内容は次のとおりである。

(ア) 申告書等で期末や前期末の退職給与の要支給額に誤りがあり、限度額を超えて繰り入れた金額が損金に算入されているのに、これを見過ごしたため、繰入額を過大のままとしていた。

(イ) 申告書等で使用人に対する退職給与の支払額が記載されていながら、退職者の前期末退職給与の要支給額に相当する金額が、退職給与引当金勘定の金額から取り崩され益金に算入されていないのに、これを見過ごしたため、この要支給額に相当する金額を益金に算入しないままとしていた。

(注)  期末退職給与の要支給額 期末において在職する使用人の全員が自己の都合で退職するものと仮定した場合に、各使用人について退職給与規程により計算される退職給与の合計額をいう。

エ 同族会社の留保金に関するもの

 特定の同族会社(注) については、通常の法人税のほか、利益のうち社内に留保した金額が一定の金額を超える場合には、その超える部分の金額(以下「課税留保金額」という。)に対し特別税率の法人税を課すこととなっている。

 この同族会社の留保金に関し、徴収不足又は徴収過大となっている事態が22事項あった。その主な内容は次のとおりである。

(ア) 申告書等で課税留保金額が算出されるのに、これを見過ごしたため、特別税率の法人税を課していなかった。

(イ) 申告書等で課税留保金額や税額の計算に誤りがあり、特別税率の法人税額が少なく記載されているのに、法令等の適用の検討が十分でなかったり、これを見過ごしたりしたため、特別税率の法人税額を過小のままとしていた。

(注)  特定の同族会社 発行済株式の総数(又は出資金額)の100分の50以上が、3人以下の株主等(株主等に同族会社でない法人がある場合はその法人を除く。)及びこれらと特殊の関係にある個人・法人によって所有されている会社をいう。

オ その他に関するもの

 上記のアからエのほか、役員賞与、特定の資産の買換えの特例等に関し、徴収不足となっている事態が93事項あった。

法人税に関する徴収不足の事例を示すと次のとおりである。

〈事例4〉   短期所有土地等を譲渡した場合の譲渡利益金額の計算を誤っていたもの

 E会社は、昭和63年11月から平成元年10月までの事業年度分の申告に当たり、期中に譲渡した土地甲、乙について、いずれも短期所有土地等に該当するとして、甲の譲渡利益金額171,159,321円と乙の譲渡損失金額161,058,924円を合算し、譲渡利益金額を10,100,397円としていた。

 しかし、申告書等によれば、土地乙は所有期間が2年以下であり超短期所有土地等に該当するから、乙の譲渡損失金額と甲の譲渡利益金額は合算できない。 したがって、短期所有土地等の譲渡利益金額が161,058,924円過小となっているのに、これを見過ごしたため、法人税額31,449,300円が徴収不足になっていた。

〈事例5〉  電子機器利用設備を賃借した場合の税額控除の特例の適用を誤っていたもの

 F会社は、昭和63年4月から平成2年3月までの2事業年度分の申告に当たり、税額控除の特例を適用して、電子機器利用設備の賃借期間中に支払う費用の総額に一定の割合を乗じて算出した金額8,737,772円、8,977,374円を両期の法人税額からそれぞれ控除していた。

 しかし、申告書等によれば、上記費用の総額には、前期以前に既に税額控除の特例の適用を受けた設備等に係る費用が含まれていた。したがって、これを除いて計算した両期の税額控除の金額は2,425,021円、164,052円となるのに、これを見過ごしたため、法人税額6,312,700円、8,813,300円、計15,126,000円が徴収不足になっていた。

(4) 相続税・贈与税に関するもの

 相続税・贈与税では徴収不足となっていたものが24事項あった。この内訳は、相続税に関するもの9事項、贈与税に関するもの15事項である。

ア 相続税に関するもの

 個人が相続又は遺贈により財産を取得した場合には、その取得した財産の価額に対し相続税を課すこととなっている。そして、取得した財産の価額は、その財産の取得の時における時価とされていて、取引相場のない株式の価額については、株式を発行した会社の各資産の価額の合計額から各負債の金額の合計額を差し引いた純資産価額等を基にして計算することとなっている。

 この相続税に関し、徴収不足となっていたものが9事項あった。、その主な内容は、申告書等で相続により取得した取引相場のない株式の価額の計算において、株式を発行した会社の資産又は負債に含めるべき金額が含められていないのに、これを見過ごしたため、相続財産の価額を過小のままとしていたものである。

(事例6 参照)

イ 贈与税に関するもの

 個人が贈与により財産を取得した場合には、その取得した財産の価額に対し贈与税を課すこととなっている。そして、同族会社である株式会社が新株を発行する際、従前の株主が新株の引受けをせず、その株主の親族が新株引受権を取得し、有利な発行価額による新株の引受けをした場合には、その親族が従前の株主から新株引受権を贈与により取得したものとみなされることとなっている。

 この贈与税に関し、徴収不足となっていたものが15事項あった。その主な内容は、同族会社における従前の株主からその親族が新株引受権を贈与により取得しているのに、これに係る資料の収集・活用が的確でなかったため、贈与税を課していなかったものである。

相続税・贈与税に関する徴収不足の事例を示すと次のとおりである。

〈事例6〉  相続財産の価額を誤っていたもの

 納税者Gは、平成元年11月相続分の申告に当たり、相続財産のうち取引相場のないH会社の株式の価額を、同会社の純資産価額に基づいて7,680,000円としていた。

 しかし、申告書等によれば、被相続人の死亡により、同会社が受け取る生命保険金及び被相続人に対して支払う退職金等があった。したがって、これらの資産及び負債を含めた純資産価額を基に、当該株式の価額を計算すると63,840,000円となるのに、申告書等からこの事実を把握していなかったため、相続税額11,634,400円が徴収不足になっていた。

(国税局等別の徴収過不足額)

 これらの徴収不足額及び徴収過大額を国税局等別に示すと次のとおりである。

これらの徴収不足額及び徴収過大額を国税局等別に示すと次のとおりである。