会計名及び科目 | 国立学校特別会計 (款)附属病院収入 (項)附属病院収入 | ||||||
部局等の名称 | (1) |
秋田大学 | |||||
(2) | 群馬大学 | ||||||
(3) | 岡山大学 | ||||||
看護料の概要 | 保険医療機関が、入院患者に対し、都道府県知事の承認を得て厚生大臣の定める基準に該当する看護を行った場合に、診療報酬として請求することができるもの | ||||||
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(1) | 67,739,040円 | |||||
(2) | 70,442,280円 | ||||||
(3) | 30,664,360円 | ||||||
計 | 168,845,680円 | ||||||
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(1) | 15,862,900円 | |||||
(2) | 16,560,010円 | ||||||
(3) | 7,180,200円 | ||||||
計 | 39,603,110円 | ||||||
<検査の結果>
上記の各大学では、保険医療機関である医学部附属病院の産科婦人科等において、特3類看護料を請求できる看護を行っていたと認められるにもかかわらず、特3類看護に係る各県知事の承認を得ていなかったため、これより低額な特2類看護料しか請求していなかった。 したがって、各大学は、特3類看護に係る承認申請を行って、その承認を受けるべきであったと認められた。そして、このようにしたとすれば、診療報酬請求額が、秋田大学において15,862,900円、群馬大学において16,560,010円、岡山大学において7,180,200円、計39,603,110円増加したと認められた。 このような事態が生じていたのは、各大学において、基準看護の制度の趣旨の理解が十分でなかったことなどによると認められた。 <当局が講じた改善の処置>本院の指摘に基づき、各大学では、各県知事に対し特3類看護に係る承認申請を行って、その承認を受け、看護の実態に適合した適正な診療報酬を請求するための処置を講じた。 |
1 制度の概要
秋田、群馬、岡山各大学の医学部附属病院(以下「大学病院」という。)では、一般病棟(結核病棟及び精神病棟を除く。)において、教育・研究を行うほか、保険医療機関として患者の治療を行っている。
保険医療機関は、「健康保険法の規定による療養に要する費用の額の算定方法」(昭和33年厚生省告示第177号)により、診療報酬として医療に要する費用を所定の診療点数に単価(10円)を乗じて算定することになっている。また、あらかじめ都道府県知事の承認を受けて「看護、給食及び寝具設備の基準」(昭和33年厚生省告示第178号)に定められた基準に該当する看護(以下「基準看護」という。)を行った場合には、看護の実態に応じた所定の看護料(以下「基準看護料」という。)を算定できることになっている。この基準看護料は、正看護婦、准看護婦及び看護助手(以下「看護職員」と総称する。)1人当たりの入院患者数並びに看護職員のうち正看護婦の占める割合等に応じて区分されている。
基準看護のうち一般病棟における特2類看護及び特3類看護の主な承認要件等は、それぞれ次のとおりとなっている。
(ア) 特2類看護(基準看護料の額は入院の期間に応じて4,520円/日又は4,440円/日)については、〔1〕 看護職員のうち正看護婦及び准看護婦の占める割合が8割以上であること、〔2〕 看護職員のうち正看護婦の占める割合が4割以上であること、〔3〕 看護職員1人当たりの入院患者数が2.5人以下であること
(イ) 特3類看護(基準看護料の額は入院の期間に応じて5,590円/日又は5,490円/日)については、〔1〕 看護職員のうち正看護婦及び准看護婦の占める割合が8割以上であること、〔2〕 看護職員のうち正看護婦の占める割合が5割以上であること、〔3〕 看護職員1人当たりの入院患者数が2人以下であること、〔4〕 当該病棟の入院患者の平均在院日数が20日以内であること
そして、都道府県知事が行う基準看護の承認は、原則として保険医療機関の全病棟について包括的に行うことになっているが、特3類看護については、特2類看護又は特1類看護を行っている保険医療機関からの申請により、看護体制の実態に配慮したうえ、看護体制の1単位(注) をもって承認できることになっている。
(注) 看護体制の1単位 ナースステーション、看護記録室等の設備を有し、看護の責任者が配置され、交代制勤務等の看護を実施する看護チームの1編成をいう。
前記の秋田、群馬、岡山各大学の大学病院では、各県知事からそれぞれ一般病棟574床、610床及び767床について、包括的に特2類看護の承認を受けていた。そして、これに基づき、産科婦人科等における入院患者に対する看護に係る診療報酬として、平成3年度に、秋田大学において67,739,040円、群馬大学において70,442,280円、及び岡山大学において30,664,360円を社会保険診療報酬支払基金等にそれぞれ請求し、これに基づく病院収入を得ていた。
2 検査の結果
本院は、各大学病院における看護の実態及び基準看護に係る診療報酬の請求が適切に行われているかについて調査した。
各大学病院における看護の実態についてみると、秋田大学の産科婦人科の40床、群馬大学の周産母子センター(産科婦人科及び小児科の一部により構成)の56床、及び岡山大学の産科婦人科のうちの産科22床では、いずれも看護体制の1単位による看護が行われていると認められた。そして、各大学病院の上記産科婦人科等における2、3両年度の看護職員の構成比率、看護職員1人当たりの入院患者数及び平均在院日数は次表のとおりとなっていた。
区分 | 秋田大学 | 群馬大学 | 岡山大学 | |||
2年度 | 3年度 | 2年度 | 3年度 | 2年度 | 3年度 | |
看護職員のうち正看護婦及び准看護婦の占める割合 | 割 10 |
割 10 |
割 9.5 |
割 9.7 |
割 8.8 |
割 8.2 |
看護職員のうち正看護婦の占める割合 | 割 9.6 |
割 9.6 |
割 9.0 |
割 9.4 |
割 8.8 |
割 8.2 |
看護職員1人当たりの入院患者数 | 人 1.7 |
人 1.7 |
人 1.3 |
人 1.8 |
人 1.7 |
人 1.5 |
入院患者の平均在院日数 | 日 14.5 |
日 11.9 |
日 9.9 |
日 16.8 |
日 11.0 |
日 11.6 |
(注) | 1 | 看護職員数は、各年度4月1日現在による。 |
2 | 入院患者数は、前年度の延入院患者数による。 |
このように、各大学病院では、産科婦人科等について、いずれも特3類の承認要件を充足しており、速やかに特3類看護に係る承認申請を行い、各県知事の承認を受けるべきであったと認められた。
いま、各大学病院において、特3類看護について各県知事の承認を受けたこととして、3年度分の看護料を修正計算すると、増加する診療報酬の額は次のとおりとなる。
(1) 秋田大学の産科婦人科については、83,601,940円となり、大学病院の請求額67,739,040円に比べて15,862,900円増加
(2) 群馬大学の周産母子センターについては、87,002,290円となり、大学病院の請求額70,442,280円に比べて16,560,010円増加
(3) 岡山大学の産科については、37,844,560円となり、大学病院の請求額30,664,360円に比べて7,180,200円増加
このような事態が生じていたのは、主として次のことなどによると認められた。
(ア) 各大学において、基準看護の制度の趣旨の理解が十分でなかったこと
(イ) 各大学において、特3類看護に係る承認申請などについて、各県の関係部局との協議が十分でなかったこと
3 当局が講じた改善の処置
上記についての本院の指摘に基づき、各大学では、各県の関係部局と協議を行い、各県知事に対し特3類看護に係る承認申請を行い、秋田大学において4年9月、群馬大学において同年4月、及び岡山大学において同年11月にそれぞれ承認を受けて、看護の実態に適合した適正な診療報酬を請求するための処置を講じた。