会計名及び科目 | 一般会計 (組織)林野庁 (項)林業振興費 | ||
部局等の名称 | 林野庁 | ||
補助の根拠 | 予算補助 | ||
事業主体 | 社団法人日本木材加工技術協会ほか2団体 | ||
補助事業 | ローカル技術実用化促進ほか4事業 | ||
補助事業の概要 | 木材加工製品の開発及び品質の向上、生産性向上等の技術開発を図るなどのため、研究開発事業を行う事業者に補助金を交付するなどしている団体に対して、国庫補助金を交付するもの | ||
事業費 | 平成元年度 | 375,986,019円 | |
平成2年度 | 476,344,235円 | ||
計 | 852,330,254円 | ||
上記に対する国庫補助金交付額 | 平成元年度 | 187,139,000円 | |
平成 2年度 | 255,321,000円 | ||
計 |
442,460,000円 | ||
節減できた事業費 | 平成元年度 | 2460万円 | |
平成 2年度 | 4500万円 | ||
計 |
6960万円 | ||
上記に対する国庫補助金相当額 | 平成元年度 | 1160万円 | |
平成 2年度 | 1900万円 | ||
計 |
3060万円 | ||
<検査の結果>
上記の補助事業において、研究開発を行う事業者における技術者の人件費及び管理費的な経費の算定を適切に行っていれば、国庫補助金相当額約3060万円が節減できると認められた。 このような事態が生じていたのは、団体及び事業者の補助事業に対する理解が十分でなかったことにもよるが、林野庁において、補助対象経費の範囲及び算定方法を明確に定めていなかったことなどのため、事業者が個々の判断で算定していたことによると認められた。 <当局が講じた改善の処置>本院の指摘に基づき、林野庁では、平成4年11月に団体に対して通達を発し、事業者が行う研究開発事業に係る補助事業の補助対象経費について、当該事業の実施に直接的に要する経費とすることとし、その範囲及び算定方法を明確に定めるなどの処置を講じた。 |
1 事業の概要
林野庁では、木材需要の拡大等を図り、林業、木材産業の発展に資するなどのため、ローカル技術実用化促進事業ほか4(注1) 事業により、木材加工製品の開発及び品質の向上、生産性向上等の技術開発等の事業を行う団体に対して、当該事業(以下「研究開発事業」という。)に要する経費について、国庫補助金を交付している。
そして、団体では、この国庫補助金の交付を受けて、木材産業関連企業等(以下「事業者」という。)が行う研究開発事業に要する経費について事業者に対し補助金を交付したり、事業者と事業委託契約を締結して研究開発事業を実施させたりしている。
林野庁では、上記の各事業ごとに補助金交付要綱等(以下「要綱等」という。)を定めており、これによれば団体に対する国庫補助金の補助対象経費はおおむね次のとおりとされている。
〔1〕 研究開発事業に従事する技術者(以下「技術者」という。)の人件費
〔2〕 機械・装置等の設計、製作等に係る物件費及び外注費
〔3〕 光熱水費、通信運搬費、消粍品費等の管理費的な経費
2 本院の検査結果
社団法人日本木材加工技術協会ほか2(注2) 団体が、前記の5事業として、平成元年度14件3億7598万余円、2年度14件4億7634万余円、計28件8億5233万余円(国庫補助金4億4246万円)で実施した補助事業について、補助対象経費の範囲及び算定方法が適切なものとなっているかを調査した。
調査したところ、前記5事業の要綱等では、技術者の人件費及び管理費的な経費の範囲及び算定方法が明確に定められていなかったため、各事業者が個々の判断で次のように区々に算定していた。
(ア) 技術者の人件費については、技術者1人1時間当たりの単価の算定に当たり、所定内給与(基本給及び諸手当)、賞与及び法定福利費を算定の基礎としていたもののほか、本社ビル等の減価償却費、工場間接費、退職給与引当金繰入額等の額を加算して算定していたものが10件あった。
(イ) 管理費的な経費については、光熱水費、通信運搬費等を計上していたもののほか、これに交際費、地代家賃、公租公課、一般事務職員の人件費を加算して計上していたものが、上記の(ア)に該当するもののうち5件あった。
そして、上記28件のうち10件、事業費4億9751万余円(国庫補助金2億6577万余円)について、研究開発事業に直接に要したとは認められない本社ビル等の減価償却費、交際費等の経費を加算して算定していたのは適切とは認められない。
したがって、本件のような研究開発事業に係る補助事業については、補助対象経費を当該事業に直接に要する経費とし、その範囲及び算定方法を明確にする要があると認められた。
いま、補助対象経費の範囲について、研究開発事業に直接に要する経費として、各研究開発事業の事業費を修正計算すると、上記の10件について、元年度3件約2460万円(国庫補助金相当額約1160万円)、2年度7件約4500万円(国庫補助金相当額約1900万円)、計10件約6960万円(国庫補助金相当額約3060万円)が節減できると認められた。
このような事態が生じていたのは、団体及び事業者の補助事業に対する理解が十分でなかったことにもよるが、林野庁において、次のように適切でない点があったことによると認められた。
(ア) 補助対象経費の範囲及び算定方法を明確に定めていないこと
(イ) 団体及び事業者に対して、補助対象経費の範囲及び算定方法について十分な指導を行っていないこと
(ウ) 事業計画書及び事業実績報告書の審査が十分でないこと
3 当局が講じた改善の処置
上記についての本院の指摘に基づき、林野庁では、4年11月に団体に対して通達を発し、事業者が行う研究開発事業に係る補助事業の補助対象経費について、当該事業の実施に直接的に要する経費とすることとし、その範囲及び算定方法を明確に定めるなどの処置を講じた。
(注1) ローカル技術実用化促進事業ほか4事業 ローカル技術実用化促進、本材産業生産性向上等新技術開発、間伐材ボード量産化パイロット、林業災害防止・多用途機械開発改良、間伐等育林用林業機械開発推進各事業
(注2) 社団法人日本木材加工技術協会ほか2団体 社団法人日本木材加工技術協会、社団法人全国木工機械工業会、社団法人林業機械化協会