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労働保険の保険料の徴収に当たり、徴収額に過不足があったもの


(196) 労働保険の保険料の徴収に当たり、徴収額に過不足があったもの

会計名及び科目 労働保険特別会計(徴収勘定) (款)保険収入 (項)保険料収入
部局等の名称 北海道労働基準局ほか15労働基準局
保険料納付義務者 徴収不足があった事業主数 326事業主
徴収過大があった事業主数 155事業主
徴収不足額 徴収不足額 226,208,460円
徴収過大額 54,658,136円
 労働保険の保険料の徴収に当たり、事業主からの申告に対する調査確認が十分でなかったため、上記の326事業主について徴収額が226,208,460円不足しており、155事業主について徴収額が54,658,136円過大になっていた。これらについては、本院の指摘により、すべて徴収決定又は還付決定の処置が執られた。

1 保険料の概要

(労働保険)

 労働保険は、労働者災害補償保険(以下「労災保険」という。)及び雇用保険を総称するものである。このうち、〔1〕 労災保険は工場、事務所、商店等に雇われる労働者の業務上の事由又は通勤による負傷、疾病等に対する療養補償給付等を、〔2〕 雇用保険はこれらの労働者の失業に対する失業給付等を行う保険である。

(保険料の徴収)

 保険料は、〔1〕 労災保険分については事業主が負担し、〔2〕 雇用保険分については、失業給付に充てる部分を労働者と事業主とが折半して負担し、雇用安定事業等に充てる部分を事業主が負担して、〔1〕 と〔2〕 のいずれも事業主が納付することとなっている。

 保険料の納付は、原則として次のとおり行われることとなっている。

(ア) 毎年度の初めに、事業主は、都道府県労働基準局又は都道府県に対し、その年度の労働者に支払う賃金総額の見込額に労災保険率(注1) と雇用保険率(注2) とを合計した保険料率を乗じて算定した概算保険料を申告し、納付する。

(イ) 次の年度の初めに、事業主は、都道府県労働基準局又は都道府県に対し、前年度に実際に支払った賃金総額に基づいて計算した確定保険料申告書を提出する。

(ウ) 都道府県労働基準局又は都道府県は、この申告書の記載内容を審査し、その結果に基づき保険料の過不足分が精算される。

(注1)  労災保険率 労災保険の適用を受けるすべての事業の過去3年間の業務災害及び通勤災害に係る災害率等を考慮して定められており、事業の種類ごとに平成3年度の場合は最低1000分の6から最高1000分の149となっている。

(注2)  雇用保険率 失業給付、雇用安定事業等に要する費用を考慮して定められており、平成3年度の場合は1000分の14.5(ただし、農林、水産等の事業は1000分の16.5、建設の事業は1000分の17.5)となっている。

2 検査の結果

(検査の対象)

 北海道労働基準局ほか16労働基準局管内の751事業主について、都道府県労働基準局における保険料の徴収の適否を検査した。

(徴収過不足の事態)

 検査したところ、北海道労働基準局ほか15労働基準局において、731事業主のうち326事業主について徴収額が226,208,460円不足しており、155事業主について徴収額が54,658,136円過大になっていた。これは、上記の16労働基準局において、事業主が確定保険料申告書を提出するに当たり、制度を十分理解していなかったり、計算誤りをしたりなどしていて、賃金総額の記載が事実と相違していたり、労災保険率の適用が誤っていたりしていたのに、これに対する調査確認が十分でなかったことによるものである。

 なお、これらの徴収不足額及び徴収過大額については、本院の指摘により、すべて徴収決定又は還付決定の処置が執られた。

 これらの徴収不足額及び徴収過大額を都道府県労働基準局別に示すと次のとおりである。

労働基準局名 本院が調査した事業主数 徴収不足があった事業主数 徴収不足額
徴収過大があった事業主数 徴収過大額(△)
千円
北海道労働基準局 80
32
19
10,970
△8,084
青森労働基準局 30
14
6
4,693
△1,221
岩手労働基準局 16
5
4
3,770
△555
茨城労働基準局 30
15
4
9,843
△1,285
埼玉労働基準局 32
17
6
5,312
△3,425
千葉労働基準局 32
11
6
6,336
△1,311
東京労働基準局 118
64
21
92,161
△5,921
神奈川労働基準局 53
15
9
17,289
△6,580
静岡労働基準局 44
21
18
17,734
△9,498
愛知労働基準局 60
23
13
13,785
△4,296
京都労働基準局 36
12
5
3,564
△1,633
大阪労働基準局 54
27
17
17,371
△6,137
兵庫労働基準局 38
13
2
4,062
△231
徳島労働基準局 28
12
7
4,386
△991
愛媛労働基準局 26
16
4
8,044
△106
福岡労働基準局 54
29
14
6,880
△3,376
731 326
155
226,208
△54,658