科目 | 貸付金 | |
部局等の名称 | 北海道、関東、福岡各支店 | |
受託金融機関 | 北海道信用農業協同組合連合会 | |
貸付けの根拠 | 農林漁業金融公庫法(昭和27年法律第355号)、過疎地域活性化特別措置法(平成2年法律第15号) | |
貸付金の種類 | 総合施設資金、農林漁業構造改善事業推進資金、振興山村・過疎地域経営改善資金、農林漁業施設資金、卸売市場近代化資金 | |
貸付けの内容 | 農林漁業者等に対する総合施設資金等の貸付け | |
貸付件数 | 5件 | |
貸付金の合計額 | 279,150,000円 |
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不当貸付金額 | 36,651,969円 |
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上記の3支店で行った5件279,150,000円の貸付けにおいて、36,651,969円の貸付けがその目的に沿わない結果になっていて、不当と認められる。 |
1 貸付金の概要
農林漁業金融公庫(以下「公庫」という。)は、農林漁業者等に対して、農林漁業の生産力の維持増進等に必要な長期かつ低利の資金で、一般の金融機関から融通を受けることが困難な資金を直接又は金融機関に委託して貸し付けている。
このうち、公庫が直接貸付けを行う場合は、公庫が借入申込書類を審査して、所定の条件を満たしていると認めたものに対して貸し付け、事業の完成状況、事業費の支払状況等によって貸付金の使途などを確認することとしている。また、公庫が金融機関に委託して貸付けを行う場合は、受託金融機関が借入申込書類の審査を行い、一部の資金については公庫が貸付決定を行うこととしているが、そのほかの資金については受託金融機関が公庫の直接貸付けの場合に準じて貸付け等の事務を行うこととしている。
2 検査の結果
公庫の貸付けについて調査したところ、5件279,150,000円の貸付けにおいて、36,651,969円の貸付けが不当と認められる。これらの資金の借入者からは、事実と相違した内容の借入申込みや事業完成報告がされていた。しかし、これに対する審査及び確認が適切でなかったなどのため、貸付金額を過大に算定するなどしていた。
これを貸付先別に示すと次のとおりである。
支店名 (受託金融機関名) |
貸付先 (所在地) |
貸付対象 | 貸付年月 (貸付利率) |
貸付対象事業費 |
左に対する貸付金額 | 貸付金額のうち不当と認める額 | 摘要 | |
千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(総合施設資金・農林漁業施設資金) | ||||||||
(208) | 福岡支店 | 農業者 | 鶏舎の新築等 | 62.7
(年4.05%) |
78,085 | 70,000 | 1,093 | 低額実施 |
福岡県京都郡勝山町 | ||||||||
同 |
同
|
鶏糞処理設備の設置等 | 62.12
(年4.05%) |
15,950 | 14,350 | 3,561 | 同 |
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小計 |
94,035 | 84,350 | 4,654 | |||||
この貸付けは、鶏舎2棟(1,646m2
)、育雛(すう)舎1棟(173m2
)の新築等及び鶏糞処理設備の設置等に必要な資金94,035,000円の一部として、総合施設資金70,000,000円、農林漁業施設資金14,350,00円、計84,350,000円を貸し付けたものである。借入金は、この事業を94,034,000円で実施したとしていたが、実際は、鶏舎等の新築工事等を細分して多数の業者に請け負わせ自らその施工管理を行うなどして、これより低額な88,550,200円で実施していた。 したがって、この事業についての適正な貸付金額を計算すると79,695,180円となるので、本件貸付金額との差額4,654,820円が過大な貸付けとなっている。 なお、本件の不当貸付金残高3,328,138円については、平成4年2月に繰上償還された。 |
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(農林漁業構造改善事業推進資金) | ||||||||
(209) | 北海道支店 |
農業協同組合 | アイスクリーム製造工場の新築等 | 63.11
(年3.5%) |
30,400 | 24,320 | 3,077 | 低額実施 |
北海道信用農業協同組合連合会 | 転貸先農業者転貸先所在地北海道標津郡中標津町 | |||||||
この貸付けは、アイスクリーム製造工場1棟(198m2
)の新築及びアイスクリーム製造機械の設置等に必要な資金30,400,000円の一部として、24,320,000円を貸し付けたものである。転借者は、この事業を貸付対象事業費どおりの額で実施したとしていたが、この額は契約額を水増しするなどしたもので、実際は26,553,090円で実施していた。 したがって、この事業についての適正な貸付金額を計算すると21,242,472円となるので、本件貸付金額との差額3,077,528円が過大な貸付けとなっている。 なお、本件の不当貸付金残高2,815,196円については、平成4年10月に繰上償還された。 |
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(振興山村・過疎地域経営改善資金) | ||||||||
(210) | 北海道支店 |
農業協同組合 | ドリンクヨーグルト製造工場の新築等 | 3.8
(年5.0%) |
38,100 | 30,480 | 4,177 | 低額実施 |
北海道信用農業協同組合連合会 | 転貸先農業者転貸先所在地北海道川上郡標茶町 | |||||||
この貸付けは、ドリンクヨーグルト製造工場1棟(125.8m2
)の新築及びドリンクヨーグルト製造機械の設置等に必要な資金38,100,000円の一部として、30,480,000円を貸し付けたものである。転借者は、この事業を38,190,000円で実施したとしていたが、実際は、製造機械の設置について値引きを受けるなどして、これより低額な32,878,302円で実施していた。 したがって、この事業についての適正な貸付金額を計算すると26,302,641円となるので、本件貸付金額との差額4,177,359円が過大な貸付けとなっている。 なお、本件の不当貸付金額については、平成4年9月に繰上償還された。 |
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(農林漁業施設資金) | ||||||||
(211) | 北海道支店 | 農業者 | 畜舎の新築等 | 3.6
(年5.0%) |
133,538 | 100,000 | 6,933 | 低額実施 |
北海道河西郡芽室町 | ||||||||
この貸付けは、畜舎3棟(1,200m2
)等の新築及び搾乳機一式の設置等に必要な資金133,538,000円の一部として、100,000,000円を貸し付けたものである。借入者は、この事業を132,500,000円で実施したとしていたが、実際は、畜舎等の新築工事の一部について自ら資材を購入して施工するなどして、これより低額な116,332,773円で実施していた。 したがって、この事業についての適正な貸付金額を計算すると93,066,218円となるので、本件貸付金額との差額6,933,782円が過大な貸付けとなっている。 なお、本件の不当貸付金額については、平成4年10月に繰上償還された。 |
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(卸売市場近代化資金) | ||||||||
(212) | 関東支店 | 卸売業者 | 卸売場の新築等 | 63.7
(年5.45%) |
50,219 | 40,000 | 17,808 | 低額実施及び目的外使用 |
茨城県那珂郡東海村 | ||||||||
この貸付けは、卸売場1棟(374.4m2
)及び従業員宿舎1戸(2階建て延べ123.8m2
)の新築等に必要な資金50,219,000円の一部として、40,000,000円を貸し付けたものである。借入者は、事業計画を一部変更して、この事業を50,820,000円で実施したとしていた。 しかし、(ア) この額は契約額を水増しするなどしたもので、実際は、37,739,400円で実施していた。 (イ) 従業員宿舎(貸付対象事業費相当額10,000,000円)については、完成直後の昭和64年1月から借入者である卸売業者の社長の居宅として使用していた。 したがって、(ア)により、この事業についての適正な貸付金額を計算すると30,191,520円となるので、本件貸付金額40,000,000円との差額9,808,480円が過大な貸付けとなっている。また、(イ)のとおり、従業員宿舎に係る貸付金相当額8,000,000円は貸付けの目的外に使用されていたものである。 よって、これに係る貸付金額計17,808,480円が不当と認められる。 なお、本件の不当貸付金残高14,918,883円については、平成4年6月及び8月に繰上償還の措置が執られ、うち8,669,898円は同年10月末までに繰上償還された。 |
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(208)-(212) の計 | 346,292 | 279,150 | 36,651 |