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送風機等の設置工事の施行に当たり、機器費の積算を誤ったため、契約額が割高になっているもの


(214) 送風機等の設置工事の施行に当たり、機器費の積算を誤ったため、契約額が割高になっているもの

科目 (受託業務勘定) (項)受託工事業務費
部局等の名称 日本下水道事業団本社
工事名 江戸川第二終末処理場送風機設備工事その5
工事の概要 下水の微生物処理に必要なエアレーションタンク内で散気を行うための送風機等を終末処理場に設置する工事
工事費 157,425,200円(当初契約額145,230,000円)
請負人 三菱重工業株式会社
契約 平成2年11月 随意契約
支払 平成2年12月〜4年3月 4回
割高になっている工事費 3030万円
 上記の工事において、320KW始動用制御器の価格の積算を誤ったため、契約額が約3030万円割高になっていると認められる。

1 工事の概要

(工事の内容)

 この工事は、日本下水道事業団(以下「事業団」という。)が、千葉県の委託を受けて、江戸川左岸流域下水道江戸川第二終末処理場の建設工事の一環として、微生物処理のために必要なエアレーションタンク内で散気を行うための送風機(直結多段式、風量220m3 /分)、320KW送風機用電動機及び320KW始動用制御器等(注) を工事費157,425,200円で設置するものである。

(機器費の積算)

 事業団では、機器費については、次のように積算することとしている。

(ア) 事業団が毎年度定める機械設備機器標準価格の表(以下「標準価格表」という。)に、該当する規格の機器の標準価格が示されているものについては、その価格を採用して算定

(イ) 標準価格表に該当する規格の標準価格が示されていないものについては、標準価格表にある近似した規格の機器の価格を基礎にして規格と標準価格との相関関係から導き出される価格により算定

 そして、本件工事では、機器費を計110,572,000円と積算しているが、このうち、320KW始動用制御器の価格については、標準価格表にこの規格の標準価格が示されていないことから(イ)の方法により、次のとおり算定していた。すなわち、方眼紙に縦軸を価格、横軸を規格(KW)として、始動用制御器の各規格(280KW、315KW、355KW及び400KW)とそれぞれに対応する価格の交点に打点し、この4つの打点に近接する直線を当てはめたグラフより320KW始動用制御器の価格を読み取り、26,400,000円と算定していた。

2 検査の結果

(機器費の積算誤り)

 上記の機器費の積算について検査したところ、320KW始動用制御器の価格については、グラフを作成する際、誤って縦軸に10倍の価格を記入したため、その価格も10倍で表示された26,400,000円と読み取り、これにより算定していたが、正しくは2,640,000円となるものである。

(割高になっている工事費)

 いま、上記の正しい価格により本件工事費を修正計算すると、機器費110,572,000円は86,812,000円となり、これに所定の据付費9,648,000円を加えた直接工事費は96,460,000円、諸経費等を含めた工事費総額は127,102,000円となる。 したがって、本件契約額157,425,200円はこれに比べて約3030万円割高になっていると認められる。

始動用制御器  電動機を起動して、所定の速度まで加速するときに電源や機器に与える影響を軽減する機械