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  • 平成3年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
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  • 貸付金

福祉施設設置整備資金の貸付けが不当と認められるもの


(215)−(217) 福祉施設設置整備資金の貸付けが不当と認められるもの

科目 貸付金
部局等の名称 年金福祉事業団
受託金融機関 株式会社東海銀行ほか2金融機関
貸付けの根拠 年金福祉事業団法(昭和36年法律第180号)
貸付金の種類 福祉施設設置整備資金
貸付けの内容 厚生年金保険の被保険者等の福祉を増進するため必要な施設を設置又は整備する厚生年金保険の適用事業所の事業主等に対する資金の貸付け
貸付件数 3件
貸付金の合計額 528,000,000円
不当貸付金額 39,800,000円
 年金福祉事業団で行った上記の3件528,000,000円の貸付けにおいて、39,800,000円の貸付けがその目的に沿わない結果になっていて、不当と認められる。

1 貸付金の概要

 年金福祉事業団(以下「事業団」という。)は、厚生年金保険の適用事業所の事業主等に対し、厚生年金保険又は国民年金の被保険者、受給権者等の福祉を増進するため必要な教養文化施設、休養施設等の設置又は整備に要する福祉施設設置整備資金を直接又は金融機関に委託して貸し付けている。

 このうち、事業団が金融機関に委託して貸付けを行う場合は、受託金融機関が借入申込書類を審査した後、事業団において、所定の条件を満たしていると認めたものに対して貸付決定を行うこととしている。そして、事業完成後、受託金融機関が貸付金の使途などを確認することとしている。

2 検査の結果

 事業団の貸付けについて調査したところ、3件528,000,000円の貸付けにおいて、39,800,000円の貸付けが不当と認められる。これらは、借入者から事実と相違した内容の事業完成報告がされていたのに、これに対する確認が十分でなかったため、資金が過大に貸し付けられていたものである。

 これを貸付先別に示すと次のとおりである。

受託金融機関名
(取扱店名)
貸付先
(所在地)
貸付対象 貸付年月
(貸付利率)
貸付対象事業費 左に対する貸付金額 貸付金額のうち不当と認める額

摘要


(215)

株式会社東海銀行
(本店)

社会教育事業者
(名古屋市)

教養文化施設の新築


63.5
(年4.8%)

千円
252,880
千円
221,900
千円
22,300

貸付対象外
 この貸付けは、教養文化施設(延べ1,447m2 )の新築に必要な資金252,880,000円の一部として、221,900,000円を貸し付けたものである。しかし、この事業費のうち、当初から第三者に賃貸することとしていた地下駐車場等(延べ145m2 )の工事費24,725,000円は貸付けの対象とならないものである。 

 したがって、この事業についての適正な貸付金額を計算すると199,600,000円となるので、本件貸付金額との差額22,300,000円が過大な貸付けとなっている。

 なお、本件の不当貸付金残高20,491,890円については、平成4年7月に繰上償還された。

(216) 株式会社愛知銀行
(刈谷支店)
産業機械製造業者
(高浜市)
従業員用福利厚生施設の新築

元.7
(年4.85%)

320,000 267,300 12,500 低額実施
 この貸付けは、従業員用福利厚生施設(延べ1,830m2 )の新築に必要な資金320,000,000円の一部として、267,300,000円を貸し付けたものである。借入者は、この事業のうち冷暖房設備工事等を103,700,000円で実施したとしていたが、実際はこれより低額な89,873,000円で実施していた。

 したがって、この事業についての適正な貸付金額を計算すると254,800,000円となるので、本件貸付金額との差額12,500,000円が過大な貸付けとなっている。

 なお、本件の不当貸付金残高10,267,856円については、平成4年10月に繰上償還された。

(217) 株式会社十八銀行
(平戸支店)
旅館業者
(平戸市)
従業員寮の新築

62.6
(年4.6%)

43,142 38,800 5,000 低額実施
 この貸付けは、従業員寮(延べ360m2 )の新築に必要な資金43,142,000円の一部として、38,800,000円を貸し付けたものである。借入者は、この事業を43,842,000円で実施したとしていたが、実際はこれより低額な38,434,725円で実施していた。

 したがって、この事業についての適正な貸付金額を計算すると33,800,000円となるので、本件貸付金額との差額5,000,000円が過大な貸付けとなっている。

 なお、本件の不当貸付金残高4,083,329円については、平成4年9月に繰上償還された。

(215)-(217) の計 616,022 528,000 39,800