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  • 平成3年度|
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土地取得資金の貸付けが不当と認められるもの


(218) 土地取得資金の貸付けが不当と認められるもの

科目 (一般勘定)貸付金
部局等の名称 社会福祉・医療事業団
貸付けの根拠 社会福祉・医療事業団法(昭和59年法律第75号)
貸付金の種類 土地取得資金
貸付けの内容 社会福祉事業施設の用に供するための土地取得資金の貸付け
貸付先 社会福祉法人(山梨県中巨摩郡昭和町所在)
貸付金額 67,300,000円
不当貸付金額 67,300,000円
 上記の貸付けにおいて、貸付金額67,300,000円の全額がその目的に沿わない結果になっていて、不当と認められる。

1 貸付金の概要

(制度の概要)

 社会福祉・医療事業団(以下「事業団」という。)は、社会福祉・医療事業団法(昭和59年法律第75号)に基づき、社会福祉法人等に対し、社会福祉事業施設の設置、整備又は経営に必要な資金を貸し付けている。

 この貸付金については、工事費等の支払時期に応じて、貸付先が資金を必要とする時期にその必要とする金額を交付することとし、交付に当たっては、次のような方法によることとしている。

(ア) 貸付先から借入申込書類を提出させる。

(イ) 借入申込書類を審査し、所定の条件に適合していると認めたものに対して交付する。

(ウ) 貸付金の全額を交付したときは、貸付先から支払状況報告書等を提出させ、貸付金の使途を確認する。さらに、貸付金をもって建築又は取得する物件については、貸付対象物件登記完了届を提出させることとし、また、貸付けの対象となった事業が完了したときは、事業完了報告書を提出させるなど事業の完了状況をも把握し、貸付対象に適合するものであるか確認する。

 そして、この貸付金は、金銭消費貸借契約証書に記載した使途のみに使用し、他に流用してはならず、これに反した場合は繰上償還の措置を執ることとなっている。

(本件貸付金の概要)

 事業団は、平成元年12月、山梨県中巨摩郡昭和町所在の社会福祉法人(以下「法人」という。)に対して、法人が設置する保育園の敷地(借用部分2,228.2m2 のうち1,710.3m2 )の取得に必要な資金102,624,000円の一部として、土地取得資金67,300,000円を年4.45%の利率で貸し付けていた。

2 検査の結果

 上記の貸付けについて調査したところ、貸し付けた土地取得資金67,300,000円の貸付けについては、全額がその目的に沿わない結果となっていて、不当と認められる。

 すなわち、法人は、貸付金の交付を受けた後、これを2年1月に、貸付金の使途とは関係のない借入金の返済に充てていて、借入目的である土地代金には充当されておらず、所有権の移転登記もなされていなかった。

 このことについて、事業団では、長期にわたり事業完了報告書等が提出されていないのに、貸付先に対する調査を適切に実施していなかった。

 なお、本件の不当貸付金残高60,480,000円については、4年9月に繰上償還された。