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公立学校施設整備費負担金及び補助金の経理が不当と認められるもの


(6)−(11)  公立学校施設整備費負担金及び補助金の経理が不当と認められるもの

会計名及び科目
一般会計 (組織)文部本省 (項)公立文教施設整備費

部局等の名称 (1) 栃木県ほか3県
(2) 秋田、岡山両県
補助の根拠 (1) 義務教育諸学校施設費国庫負担法(昭和33年法律第81号)等
(2) 過疎地域活性化特別措置法(平成2年法律第15号)、豪雪地帯対策特別措置法(昭和37年法律第73号)
事業主体 (1) 市2、町2、計 4事業主体
(2) 町2 2事業主体
合計 6事業主体
補助事業 (1) 大田原市立金田北中学校屋内運動場増築等 4事業
(2) 鳥海町立笹子(じねご)中学校へき地教員宿舎整備等 2事業
6事業
上記に対する国庫補助金交付額の合計 (1) 303,801,000円
(2) 11,391,000円
315,192,000円
不当と認める国庫補助金交付額 (1) 27,891,000円
(2) 8,127,000円
36,018,000円
 上記の6補助事業において、補助種目の適用を誤っていたり、補助の対象とは認められないものを補助対象事業費に含めていたりなどしており、これに係る国庫補助金36,018,000円が不当と認められる。

 1 補助金の概要

 文部省は、小学校、中学校その他の公立の義務教育諸学校の校舎、屋内運動場等の施設又はへき地学校(注1) 等に勤務する教職員(以下「教職員」という。)のための住宅(以下「教員宿舎」という。)の整備を行う市町村に対して公立学校施設整備費負担金及び公立学校施設整備費補助金(以下「補助金」という。)を交付している。

(1) 校舎、屋内運動場

(補助金交付の目的)

 校舎及び屋内運動場の整備に係る補助金は、義務教育諸学校の施設の整備を促進し、教育の円滑な実施を確保することを目的として、次の法令等に基づいて次の各事業に要する経費の一部を補助するために交付されるものである。

 義務教育諸学校施設費国庫負担法(昭和33年法律第81号)

 〔1〕  新築事業又は増築事業に要する経費

 〔2〕  構造上危険な状態にある建物の改築事業(以下「危険改築事業」という。)に要する経費
公立学校施設整備費国庫補助要項(昭和46年文施助第7号)

 〔3〕  構造上又は教育機能上不適格な建物の改築事業(以下「不適格改築事業」という。)に要する経費

(補助金の額の算定方法)

補助金の交付額は、次により算定することとなっている。

補助金の交付額は、次により算定することとなっている。

 そして、補助対象面積、補助単価及び補助率は、校舎及び屋内運動場の区分ごとに次により算定することとなっている。

ア 補助対象面積の算定

 補助対象面積は、実際の建築面積(以下「実施面積」という。)が必要面積を下回る場合は実施面積を限度とすることなどとして、次により算定することととなっている。

補助対象面積は、実際の建築面積(以下「実施面積」という。)が必要面積を下回る場合は実施面積を限度とすることなどとして、次により算定することととなっている。

 そして、必要面積及び保有面積は事業実施年度の5月1日現在で、また、実施面積は建物の完成後に、それぞれ次により算定することとなっている。

(ア) 必要面積は、原則として、「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」(昭和33年法律第116号)等に規定されている方法によって算定した当該学校に係る標準学級数に応じて算定されることとなっている。

(イ) 保有面積及び実施面積は、原則として、それぞれ当該学校の建物の棟ごとの各階ごとに、壁、建具等により風雨を防ぎ得る天井高2.0mを超える部分の床面積を合計した面積とすることとなっている。そして、ポーチ(注2) については、保有面積又は実施面積に含めないこととなっているが、左右を壁に囲まれ、かつ、間口の長さが奥行きの長さの2倍未満である場合は、風雨を防ぎ得るとして、保有面積又は実施面積に含めることとなっている。また、交付決定年度以前に取り壊した建物のうち、当該年度末までに取壊し後5年を経過しない建物の面積は保有面積に含めることとなっている。

イ 補助単価の算定

 補助単価は、文部大臣が大蔵大臣と協議して定める1m2 当たりの建築の単価とされている。ただし、実際に建築に要した工事費を実施面積で除して得た1m2 当たりの単価(以下「実施単価」という。)の方が下回る場合は、これによることとされている。

ウ 補助率

 補助率は、原則として、新築事業及び増築事業が2分の1、危険改築事業及び不適格改築事業が3分の1とされている。

(2) 教員宿舎

(補助金交付の目的)

 教員宿舎の整備に係る補助金は、へき地教育振興法(昭和29年法律第143号)、過疎地域活性化特別措置法(平成2年法律第15号)、豪雪地帯対策特別措置法(昭和37年法律第73号)等に基づき、へき地等における義務教育の円滑な実施に資することを目的として、教員宿舎の建築に要する経費の一部を補助するために交付されるものである。

(補助金の額の算定方法)

 補助金の交付額は、(1)と同様に算定することとなっており、補助対象面積、補助単価及び補助率は、次により算定することとなっている。

ア 補助対象面積の算定

 補助対象面積は、事業実施年度の5月1日(以下「基準日」という。)現在で学校ごとに、補助対象となる教員宿舎の戸数(以下「補助対象戸数」という。)の実施面積とすることとなっているが、各住宅1棟ごとに、60m2 に当該住宅1棟の補助対象戸数を乗じた面積を限度とすることとなっている。
 そして、補助対象戸数については、教員宿舎の建築戸数とすることとなっているが、当該学校の教職員の基準日における住宅の状況により、〔1〕 老朽等により取り壊さざるを得ない既設の教員宿舎に入居している教職員数に応じる戸数、〔2〕 借家・借間に入居している教職員数に応じる戸数などから算定した住宅の不足戸数を限度とすることとなっている。

イ 補助単価の算定

 補助単価は、文部大臣が大蔵大臣と協議して定める1m2 当たりの建築の単価とされている。ただし、実施単価の方が下回る場合は、これによることとされている。

ウ 補助率

 補助率は、へき地教育振興法に基づく事業が2分の1、過疎地域活性化特別措置法及び豪雪地帯対策特別措置法に基づく事業が10分の5.5とされている。

(注1)  へき地学校 交通条件及び自然的、経済的、文化的諸条件に恵まれない山間地、離島その他の地域に所在する公立の小学校及び中学校並びに共同調理場

(注2)  ポーチ 前面に屋根が差し掛けられている建物の入口部分

2 検査の結果

 検査の結果、6事業主体が実施した公立中学校校舎増築等の6事業に係る国庫補助金36,018,000円が不当と認められる。

 これを不当の態様別に示すと次のとおりである。

(1) 校舎、屋内運動場
〔1〕 補助種目の適用を誤っているもの
2事業 不当と認める国庫補助金 21,434,000円
〔2〕 補助の対象とは認められないものを補助対象事業費に含めているもの
1事業 不当と認める国庫補助金 5,279,000円
〔3〕 補助金を過大に交付しているもの
1事業 不当と認める国庫補助金 1,178,000円
計 4事業  不当と認める国庫補助金 27,891,000円
(2) 教員宿舎
 補助の対象とは認められないものを補助対象事業費に含めているもの
2事業 不当と認める国庫補助金 8,127,000円

これを県別に示すと次のとおりである。

県名 補助事業 事業主体 補助対象事業費 左に対する国庫補助金 不当と認める補助対象事業費 不当と認める国庫補助金 摘要
(1)校舎、屋内運動場

(6)

栃木県

金田北中学校屋内運動場増築等

大田原市
千円
191,875
千円
81,926
千円
4,800
千円
1,110

補助種目の適用誤り
 この事業は、平成4年度の補助事業として、金田北中学校の屋内運動場を増改築したもので、屋内運動場の必要面積1,237m2 から保有面積608m2 を差し引いた629m2 を増築事業の補助対象面積とし、また、既存の屋内運動場が不適格建物であることから、保有面積608m2 を不適格改築事業の補助対象面積としていた。そして、これらにそれぞれ1m2 当たりの補助単価169,700円又は136,900円を乗ずるなどして補助対象事業費を191,875,000円(国庫補助金81,926,000円)と算定していた。
 しかし、大田原市は、屋内運動場の保有面積に含めることとされている同運動場内の半地下倉庫43m2 を上記の保有面積に含めておらず、一方、保有面積に含めないこととされているポーチ15m2 を含めていた。この結果、屋内運動場の保有面積は28m2 増加して636m2 となる。
 したがって、増築事業(補助率2分の1)の補助対象面積は601m2 となり、不適格改築事業(補助率3分の1)の補助対象面積は、上記の倉庫が不適格建物であることから、これを加えた636m2 となる。これにより算定すると、適正な補助対象事業費は190,946,000円(国庫補助金80,816,000円)となり、国庫補助金1,110,000円が過大に交付されていた。
(7) 千葉県 昭栄中学校校舎増築等 長生郡長柄町 201,918 91,080 10,559 5,279 補助の対象外
 この事業は、平成5年度の補助事業として、昭栄中学校の校舎を増改築したもので、校舎の必要面積にコンピュータ教室の必要面積を加算した2,528m2 から保有面積1,843m2 を差し引き、さらに、コンピュータ教室の必要面積とその実施面積との差43m2 を差し引いて、増築事業の補助対象限度の面積を642m2 としていた。そして、保有面積のうち218m2 及び23m2 をそれぞれ危険改築事業、不適格改築事業の補助対象面積とし、増改築の実施面積822m2 からこれらを差し引いた581m2 が上記642m2 を下回るため、581m2 を増築事業の補助対象面積としていた。これらにそれぞれ1m2 当たりの補助単価243,100円(危険改築事業)、247,200円(不適格改築事業)又は243,100円(増築事業)を乗ずるなどして補助対象事業費を201,918,000円(国庫補助金91,080,000円)と算定していた。
 しかし、長柄町は、実施面積に含めないこととされている、風雨を防ぎ得ない屋外通路35m2 及びバルコニー8m2 計43m2 を上記の実施面積に含めており、これを差し引くと実施面積は779m2 となる。
 したがって、増築事業の補助対象面積は上記779m2 から危険改築事業及び不適格改築事業の補助対象面積を差し引いた538m2 となる。これにより算定すると、適正な補助対象事業費は191,359,000円(国庫補助金85,801,000円)となり、国庫補助金5,279,000円が過大に交付されていた。
(注)コンピュータ教室を設ける場合には、校舎の必要面積にコンピュータ教室の必要面積を加算できることになっているが、加算した必要面積をその実施面積が下回る場合には、この差の面積は補助対象面積に含めないことになっている。
(8) 滋賀県 南中学校校舎増築 彦根市 121,944 60,972 121,944 20,324 補助種目の適用誤り
 この事業は、平成4年度の補助事業として、南中学校の校舎を増築したもので、校舎の必要面積にコンピュータ教室の必要面積を加算した7,509m2 から保有面積6,879m2 を差し引き、さらに、コンピュータ教室の必要面積とその実施面積との差69m2 を差し引いて、増築事業の補助対象限度の面積を561m2 としていた。そして、実施面積534m2 が上記561m2 を下回るため、534m2 を増築事業の補助対象面積としていた。これに1m2 当たりの補助単価226,100円を乗ずるなどして増築事業の補助対象事業費を121,944,000円(国庫補助金60,972,000円)と算定していた。
 しかし、彦根市は、昭和63、平成元年度に同校校舎6,879m2 を改築した際に旧校舎8,379m2 を取り壊しており、これは取壊し後5年を経過していない建物であるので、この時に改築した6,879m2 を上回る旧校舎1,500m2 は上記の保有面積に含めなければならないのに含めていなかった。これを含めると保有面積は8,379m2 となる。
 したがって、本件事業は、必要面積7,509m2 が保有面積8,379m2 を下回ることから増築事業(補助率2分の1)の補助の対象とならず、また、上記の取り壊した旧校舎1,500m2 は危険建物であったので、危険改築事業(補助率3分の1)の補助の対象となり、危険改築事業の補助対象面積は実施面積の534m2 となる。これにより算定すると、補助対象事業費121,944,000円に対する適正な国庫補助金は40,648,000円となり、20,324,000円が過大に交付されていた。
(9) 宮崎県 高城中学校屋内運動場増築等 北諸県郡
高城町
174,212 69,823 2,915 1,178 補助金の過大交付
 この事業は、平成4年度の補助事業として、高城中学校の屋内運動場を増改築したものである。
 高城町は、補助金の算定に当たり、増築事業については、交付決定時の補助単価170,300円が、実際に建築に要した工事費183,555,000円を実施面積1、061m2 で除して得た実施単価173,000円を下回るとして、交付決定時の補助単価を補助単価としていた。また、危険改築事業についても、交付決定時の補助単価179,800円が、上記実施単価に1m2 当たりの解体撤去工事費9,600円を加えて得た実施単価182,600円を下回るとして、交付決定時の補助単価を補助単価としていた。そして、補助対象面積(増築事業410m2 、危険改築事業571m2 )に、これらの補助単価を乗ずるなどして補助対象事業費を174,212,000円(国庫補助金69,823,000円)と算定していた。
 しかし、同町は、上記実施単価の算定に当たり、実施面積に含めることとされているポーチ(注) 38m2 を実施面積に含めておらず、これを含めると実施面積は1,099m2 となる。一方、上記の工事費の中に補助対象となる経費の一部を含めていなかったので、これを含めると実際に建築に要した工事費は183,912,152円となる。そして、この工事費を実施面積1,099m2 で除して得た167,300円が増築事業の実施単価となり、これに1m2 当たりの解体撤去工事費9,600円を加えた176,900円が危険改築事業の実施単価となって、いずれも交付決定時の補助単価を下回ることとなる。
 したがって、適正な補助単価は167,300円及び176,900円となり、これにより算定すると、適正な補助対象事業費は171,297,000円(国庫補助金68,645,000円)となり、国庫補助金1,178,000円が過大に交付されていた。
(注) ポーチは、左右を壁に囲まれ、かつ、間口の長さ奥行きの長さの2倍未満である場合に実施面積に含めることとなっている。
(1)の計 689,949 303,801 140,218 27,891
(2)教員宿舎
(10) 秋田県 笹子中学校へき地教員宿舎整備 由利郡
鳥海町
8,841 4,862 8,841 4,862 補助の対象外
 この事業は、平成4年度の補助事業として、笹子中学校の教員宿舎1戸を建築したものである。そして、鳥海町では、基準日において、同校の既設の教員宿舎6戸には教職員6人が入居していて、このうち1戸を、老朽により取り壊すとして、不足戸数を1戸と算定し、これにより補助対象戸数を1戸としていた。
 しかし、実際は、上記の取り壊すとした既設の教員宿舎には基準日において教職員は入居しておらず、それ以前から空家となっていて、同校の教員宿舎には、不足戸数は発生していなかった。
 したがって、本件事業は、補助の対象とならず、これに係る国庫補助金4,862,000円は交付の要がなかった。
(11) 岡山県 加茂川中学校へき地教員宿舎整備 御津郡
加茂川町
11,872 6,529 5,937 3,265 補助の対象外
 この事業は、平成5年度の補助事業として、加茂川中学校の教員宿舎2戸を建築したものである。そして、加茂川町では、基準日において、同校の既設の教員宿舎2戸には教職員2人が入居しているとして、さらに、借家、借間に入居している教職員2人がいることから、不足戸数を2戸と算定し、これにより補助対象戸数を2戸としていた。
 しかし、実際は、既設の教員宿舎2戸のうち1戸については、教職員ではない者が入居していることから、不足戸数は1戸となり、適正な補助対象戸数は1戸となる。
 したがって、本件事業の教員宿舎2戸のうち1戸については、補助の対象とならず、これに係る国庫補助金3,265,000円が過大に交付されていた。
(2)の計 20,713 11,391 14,778 8,127
(1)、(2)の合計 710,662 315,192 154,996 36,018