会計名及び科目 | 一般会計 (組織)厚生本省(項)保健衛生諸費 |
部局等の名称 | 秋田、長野両県 |
補助の根拠 | 予算補助 |
事業主体 | 村2、一部事務組合1、その他1、計4事業主体 |
補助事業 | へき地中核病院運営事業及びへき地診療所運営事業 |
補助事業の概要 | へき地の住民の医療を確保するため、平成3、4両年度に、当該地域を対象とする巡回診療等を行うべき地中核病院、及び当該地域のへき地診療所を運営するもの |
上記に対する国庫補助金交付額の合計 | 平成3年度 | 37,649,000円 |
平成4年度 | 39,500,000円 | |
計 | 77,149,000円 | |
不当と認める国庫補助金交付額 | 平成3年度 | 12,756,000円 |
平成4年度 | 14,967,000円 | |
計 | 27,723,000円 |
上記の補助事業において、へき地中核病院運営事業における医療活動費等の基準額の算定に当たり医療活動延べ日数を過大に算定したり、へき地診療所運営事業における診療収入額を実際の収入額より過小に計上したりなどしていたため、補助対象事業費が過大に精算されていて国庫補助金27,723,000円が不当と認められる。
1 補助金の概要
医療施設運営費等補助金は、離島、山村等の医療に恵まれない地域住民の医療を確保することなどを目的として、都道府県又は市町村等が、へき地保健医療対策事業等を行う場合に、その経費の一部を国が直接又は間接に補助するものである。
この補助金の交付対象事業のうち、へき地中核病院運営事業はへき地を対象とする巡回診療や医師派遣等(以下「巡回診療等」という。)を行うものであり、また、へき地診療所運営事業はへき地診療所において診療活動を行うものである。
そして、これらの事業のうち、市町村等が都道府県知事の指定を受けた病院(以下「指定病院」という。)において行うへき地中核病院運営事業及び市町村等が行うへき地診療所運営事業に対し、都道府県が補助する場合の国の補助金の交付額は、次により算定することとなっている。
(1) へき地中核病院運営事業について
(ア) 指定病院が巡回診療等を行うための医療活動費や研究費等の経費の種目ごとに、所定の基準額と補助対象となる経費の実支出額とを比較して少ない方の額を選定する。
(イ) (ア)により選定した額の合計額と、総事業費から診療収入額及び寄付金等の収入額を控除した額と都道府県が市町村等に補助した額とを比較して最も少ない額(以下「補助対象事業費」という。)に2分の1を乗じて得た額を交付額とする。
そして、(ア)のうち医療活動費の基準額については、へき地医療活動年間延べ日数(巡回診療等に従事した時間が1日4時間以下の場合は0.5日として日数計算をする。以下「医療活動延べ日数」という。)の区分ごとに定められた額に、医師及びその他従事者の区分ごとに定められた単価に巡回診療等の従事者ごとの延べ日数(日数計算は医療活動延べ日数と同じ。)を乗じて得た額等を合算した額となっている。
(2) へき地診療所運営事業について
(ア) 市町村等がへき地診療所を運営するための事務費や医療費等の経費の種目ごとに、所定の基準額と補助対象となる経費の実支出額とを比較して少ない方の額を選定する。
(イ) (ア)により選定した額の合計額(以下「選定額」という。)から診療収入額を控除した額と、総事業費から診療収入額及び寄付金等の収入額を控除した額とを比較して少ない方の額(以下「補助対象事業費」という。)に3分の2を乗じる。
(ウ) (イ)により得られた額と都道府県が市町村等に補助した額とを比較して少ない方の額を交付額とする。
2 検査の結果
検査の結果、森吉町外四力町村病院組合(秋田県北秋田郡森吉町)ほか3事業主体では、へき地中核病院運営事業における医療活動費等の基準額の算定に当たり、医療活動延べ日数を過大に算定したり、へき地診療所運営事業における診療収入額を実際の収入額より過小に計上したりなどしていた。このため、補助対象事業費が過大に精算されていて国庫補助金27,723,000円が不当と認められる。
これを、県別に示すと次のとおりである。
県名 | 事業主体 | 年度 | 補助対象事業費 | 左に対する国庫補助金 | 不当と認める補助対象事業費) | 不当と認める国庫補助金 |
(へき地中核病院運営事業) | ||||||
(107) 秋田県 |
森吉町外四力町村病院組合 |
3 |
千円 17,255 |
千円 8,627 |
千円 10,117 |
千円 5,059 |
4 | 18,261 | 9,130 | 7,281 | 3,641 | ||
小計 | 35,516 | 17,757 | 17,399 | 8,700 | ||
森吉町外四カ町村病院組合では、平成3、4両年度に公立米内沢総合病院で実施したへき地中核病院運営事業における医療活動費等の基準額の算定に当たり、医療活動延べ日数は巡回診療の時間が1日4時間以下の場合は0.5日として計算すべきところを誤って1日として計算していた。 このため、実際の医療活動延べ日数は3年度47.5日、4年度50日であるのに、これを3年度95日、4年度100日としていた。その結果、基準額がいずれも過大になっていて、補助対象事業費が3年度10,117,940円、4年度7,281,464円それぞれ過大に精算されていた。 したがって、適正な補助対象事業費に基づき国庫補助金を算定すると、3年度3,568,000円、4年度5,489,000円となり、3年度5,059,000円、4年度3,641,000円がそれぞれ不当と認められる。 |
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(108) 秋田県 | 秋田県厚生農業協同組合連合会 | 3 | 50,846 | 25,422 | 13,010 | 6,506 |
4 | 54,123 | 27,060 | 16,032 | 8,016 | ||
小計 | 104,969 | 52,482 | 29,043 | 14,522 | ||
秋田県厚生農業協同組合連合会では、平成3、4両年度に鹿角組合総合病院ほか2病院で実施したへき地中核病院運営事業における医療活動費等の基準額の算定に当たり、医療活動延べ日数は巡回診療の時間が1日4時間以下の場合は0.5日として計算すべきところを誤って1日として計算していた。 このため、実際の医療活動延べ日数は3年度195日、4年度185.5日であるのに、これを3年度374日、4年度358日としていた。その結果、基準額がいずれも過大になっていて、補助対象事業費が3年度13,010,936円、4年度16,032,182円それぞれ過大に精算されていた。 したがって、適正な補助対象事業費に基づき国庫補助金を算定すると、3年度18,916,000円、4年度19,044,000円となり、3年度6,506,000円、4年度8,016,000円がそれぞれ不当と認められる。 |
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(へき地診療所運営事業) | ||||||
(109) 秋田県 | 仙北郡西木村 | 4 | 4,965 | 3,310 | 4,965 | 3,310 |
仙北郡西木村では、平成4年度に西明寺診療所で実施したへき地診療所運営事業において、補助金の交付額が事業費等の予定額を基に算定された交付決定額と同額となるように、実際の診療収入額46,900,810円を40,569,844円と過小に調整していた。 このため、実際の診療収入額が選定額を上回ることから、補助対象事業費は算定されないことになる。 したがって、交付された国庫補助金3,310,000円の全額が不当と認められる。 |
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(110) 長野県 | 更級郡大岡村 | 3 | 5,534 | 3,600 | 1,919 | 1,191 |
更級郡大岡村では、平成3年度に大岡村診療所で実施したへき地診療所運営事業において、補助金の交付額が事業費等の予定額を基に算定された交付決定額と同額となるように、医療材料費等の医療費の実支出額10,643,728円を12,563,369円と過大に調整していた。このため、補助対象事業費が1,919,641円過大に精算されていた。 したがって、適正な補助対象事業費に基づき国庫補助金を算定すると2、409,000円となり1,191,000円が不当と認められる。 |
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(107)-(110) の計 | 3 | 73,635 | 37,649 | 25,048 | 12,756 | |
4 | 77,349 | 39,500 | 28,279 | 14,967 | ||
合計 | 150,984 | 77,149 | 53,327 | 27,723 |