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老人福祉施設保護費負担金の経理が不当と認められるもの


(118)−(136)老人福祉施設保護費負担金の経理が不当と認められるもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)厚生本省 (項)老人福祉費
部局等の名称 北海道ほか12県
国庫負担の根拠 老人福祉法(昭和38年法律第133号)
事業主体 県2、市17、計19事業主体
国庫負担対象事業 老人福祉施設保護事業
国庫負担対象事業の概要 老人の健康保持等のため、平成4年度に養護を必要とする老人を特別養護老人ホーム等に入所させ養護するもの
上記に対する国庫負担金交付額の合計 8,951,763,921円
不当と認める国庫負担金交付額 26,121,355円
 上記の補助事業において、国庫負担の対象となる費用の額から差し引くことになっている老人やその扶養義務者からの徴収金の額を過小に算定していたため、国庫負担対象事業費が過大に精算されていて国庫負担金26,121,355円が不当と認められる。

  1 負担金の概要

 老人福祉施設保護費負担金は、老人の健康の保持及び生活の安定を図り老人の福祉に資するため、都道府県又は市町村(特別区を含む。)が、身体上又は精神上の理由等により居宅において必要な養護を受けることが困難な老人を特別養護老人ホーム又は養護老人ホーム(以下「老人ホーム」という。)に入所させ養護する場合に、その費用の一部を国が負担するものである。
 そして、この負担金の各事業主体に対する交付額は、次により算定することとなっている。

老人福祉施設保護費負担金の経理が不当と認められるものの図1

 この費用の額及び徴収金の額は、それぞれ次により算定することとなっている。

(ア) 費用の額は、老人ホームを運営するための事務費(老人ホームの所在地域、入所定員等の別に応じて入所した老人1人当たり月額で定められている。)と入所した老人の生活費(地域別に1人当たり月額で定められている。)とを加えた額に入所人員を乗じて年間の施設ごとの額を算出し、これに移送費等を加えて算定する。

(イ) 徴収金の額は、入所した老人の収入(前年の収入から租税、社会保険料、医療費等の必要経費を控除したもので、以下「対象収入」という。)に応じて定められている額と、その老人の主たる扶養義務者の前年分の所得税額等に応じて定められている額とを加えて算定する。

2 検査の結果

 検査の結果、北海道帯広市ほか18事業主体では、対象収入等の認定に当たって調査が十分でなく、老人の収入を誤認するなどして対象収入を過小に算定したり、主たる扶養義務者の認定を誤っていたり、主たる扶養義務者の所得税額等を誤認して実際の額より少ないとしたりなどして、徴収金の額を過小に算定していた。このため国庫負担対象事業費が過大に精算されていて、国庫負担金26,121,355円が不当と認められる。
 上記の徴収金の額を過小に算定していた事態について一例を示すと次のとおりである。

<事例>  老人の対象収入を過小に算定していたもの

 A事業主体では、平成4年度に、特別養護老人ホームに入所している老人Bについて、同人の対象収入は、3年の国民年金355,666円から社会保険料等の必要経費38,829円を控除した316,837円とし、徴収金の額を40,800円と算定していた。しかし、実際は、3年に援護年金が1,691,375円あり、これに国民年金を加えた収入は合計2,047,041円となり、これから必要経費を控除した対象収入は2,008,212円であった。これにより計算すると徴収金の額は1,370,400円となり、差し引き1,329,600円過小となっていた。

 また、これを道県別に示すと次のとおりである。

道県名 事業主体 年度 国庫負担対象事業費 左に対する国庫負担金 不当と認める国庫負担対象事業費 不当と認める国庫負担金 摘要
        千円 千円 千円 千円  
(118) 北海道 帯広市 4 871,523 435,761 3,043 1,521 老人の対象収入を過小に算定していたものなど
(119) 秋田県 大曲市 4 233,534 116,767 1,401 700
(120) 石川県 加賀市 4 483,306 241,653 4,923 2,461
(121) 山梨県 韮崎市 4 170,828 85,414 1,119 559
(122) 長野県 岡谷市 4 283,113 141,556 1,694 847 老人の対象収入を過小に算定していたものなど
(123)  同 茅野市 4 256,444 128,222 3,090 1,545
(124) 静岡県 磐田市 4 392,146 196,073 943 471
(125)  同 焼津市 4 348,526 174,263 2,729 1,364 主たる扶養義務者の所得税額等を誤認していたものなど
(126) 滋賀県 彦根市 4 367,468 183,734 3,218 1,609 老人の対象収入を過小に算定していたものなど
(127) 奈良県 奈良市 4 892,810 446,405 2,151 1,075 老人の対象収入を過小に算定していたもの
(128)  同 橿原市 4 391,733 195,866 1,201 600 老人の対象収入を過小に算定していたものなど
(129) 島根県 益田市 4 423,947 211,973 1,830 915
(130) 岡山県 岡山県 4 5,411,718 2,705,859 7,887 3,943
(131) 山口県 下関市 4 1,103,262 551,631 6,413 3,206
(132)  同 宇部市 4 757,042 378,521 3,790 1,895
(133)  同 柳井市 4 354,342 177,171 1,075 537
(134) 高知県 高知県 4 4,139,007 2,069,503 2,128 1,064 主たる扶養義務者の認定を誤っていたものなど
(135)  同 中村市 4 252,563 126,281 1,396 698
(136) 宮崎県 都城市 4 770,208 385,104 2,203 1,101 老人の対象収入を過小に算定していたものなど
(118)-(136) の計 17,903,527 8,951,763 52,242 26,121